ナタリー PowerPush - 赤い公園
まだまだ成長期!
「絶対的な関係」歌ってるのはトリンドル玲奈!?
──「絶対的な関係」で赤い公園を知って、「きっかけ」を聴いたときに驚くリスナーも多いと思うし。「絶対的な関係」が全然このバンドの王道じゃないんだっていう。罠っぽいというか(笑)。
津野 そうそう。「絶対的な関係」はFacebookとかTwitterのアイコンに使う詐欺写メみたいなもので。で、「きっかけ」は完全にすっぴんっていう(笑)。
佐藤 まさに! 若者たちが多く観るであろうドラマで、私たちのお客さんには少ない層をつかめるチャンスだと思うから。そこに思いっきり乗っかっていきたいなって。「絶対的な関係」と一緒に「きっかけ」を出すのも私たちの確信犯的な狙いがあるので。そこも含めて楽しんでもらえたら、と思います。
津野 ちーちゃんは「絶対的な関係」をトリンドル(玲奈)さんになりきって歌ってるもんね!
佐藤 そう「絶対的な関係」を歌ってるのは、私じゃなくてトリンドルさんです!
──……それはさておき、歌詞も挑発的だと思ったんですよ。ドラマの内容に沿ってるけど、バンドの挑発的なイズムを歌っているようにも聞こえる。まだまだ、バンドの正体をつかませないぞっていう。
津野 ああ! 「企んでることは秘密 目論んでることは秘密 私たちだけの秘密」とか。
──そうそう。
津野 確かに深読みすればそういうふうにも捉えられますね。面白い。でも、私の中ではドラマの資料を読んで、学校やグループの関係性でギクシャクしながら、毎日探り合って生きている若者たちの感じを出したくて。すごくシニカルな歌詞だと思いますね。気に入ってます。
とんでもない傑作アルバム作りたい!
──で、2曲目の「きっかけ」なんですけど。この曲は「風が知ってる」でも話した、自分と自分の対峙をさらに突き詰めた曲だと思った。
津野 うん、そうですね。これはもう、まさに2012年の活動休止中に書いた曲で。2012年の最後に作った曲です。ずっと温めていたんですけど、さっき言っていただいたようにメンバーのライブが曲に追いついて、今ならできると思ったんです。ライブで同期ものも使えるようになったし。
──言うまでもなく精神的に一番しんどい時期に書いた曲ですよね。
津野 療養生活を送っている中で、「もう許してくれ、もう十分に生きただろう」って思うことがしばしばあって。死ぬのをためらう理由が見つからないくらい。歌詞にもあるように「若いままの私で終えたいな」とも思っていたんですけど、そのときにふと部屋を見ると、部屋のゴミ箱がいっぱいになっていて。鼻をかんだティッシュがゴミ箱に入らなかったんです。台所の三角コーナーにも食べた果物の皮が入っていて、それを捨てなきゃと思って。燃えるゴミの日はいつかなってカレンダーを見たら、翌日だったんですね。その日の私は、それだけで生き延びることができたんです。
──燃えるゴミの日が、生きる動機になった。
津野 そう。生ゴミを捨てることで、生き延びて。私はいつも曲を書くときにリアルの中に少しのフィクションを忍ばせることを心がけているんですけど。自分が実際に心で感じたことをそのまま言葉にしたら、伝わりづらくなると思うし。ちょっとしたものでも親切心を持ってないとダメだなって。でも、燃えるゴミの日が自分の小さな灯火になったときに、この曲だけはそのままの言葉で書いてもいいかなって思ったんです。それで、次の日に目が覚めてからこの曲を作って。
──ラストの「明後日はあなたの誕生日」っていうフレーズもよく出てきたね。
津野 燃えるゴミの日が1つの生きるきっかけになったのなら、次のきっかけを希望として込めたくて。ここで書いてある誕生日は自分の誕生日ではないんです。「あなた」というのは誰でもよくて。隣に住んでる人でも、大家さんでも、猫でも犬でも。
──ピアノと弦の流麗かつ荘厳な響き、プログラミングのバランス、そして後半のすさまじいバンドサウンド。このサウンドも今だからこそ体現できるものだと。
津野 そうですね。余裕でできるというわけじゃないけど、ちょっとがんばってできるものもいつもやりたいから。そういうサウンドだと思います。
佐藤 私自身がこの曲で印象的だったのは、練習のときもレコーディングのときも歌い終わったらすごく疲れて。
津野 ああ、曲は短いんだけどね。
佐藤 うん。それが自分の声の出し方とかじゃなくて、曲のパワーによってそうなってしまうというか。
──そういうときもあるんですね。曲から食らうというか。
佐藤 ありますね。今までだったら「何を言う」もそうだったし、あとまだ作品として世に出てない曲でも食らったものがありました。
津野 (藤本)ひかりなんて、最後の1回ししかベースが出てこないけど疲れてた。
佐藤 わかる。私は自分が食らう歌い方が好きじゃないから、とにかく冷静にいなきゃと思いながら歌ってましたね。
津野 私も演奏してると単純にカッコいいなと思うんだけど、聴くと食らうんですよね。
──この2枚のシングルを聴くと、気が早いけど、次のアルバムはホントにとんでもない傑作になる予感しかしないんですけど。
津野 とんでもない傑作アルバム作りたいですね!
佐藤 すでにいい曲はいっぱいありますよー!
津野 でも、あそこにいる、みっつ(マネージャー)にもっと作れって言われていて(笑)。ホントにとんでもない傑作アルバムを作りますんで、楽しみにしていてください!
- 赤い公園 ニューシングル「絶対的な関係 / きっかけ / 遠く遠く」/ 2014年3月12日発売 / EMI R
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1890円 / TYCT-39014
- 通常盤 [CD] 1260円 / TYCT-30022
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CD収録曲
- 絶対的な関係
- きっかけ
- 遠く遠く
- 絶対的な関係(Instrumental)
- きっかけ(Instrumental)
- 遠く遠く(Instrumental)
初回限定盤DVD 収録内容
- 「絶対的な関係」MUSIC VIDEO+ドキュメンタリー映像「情熱公園」
- 赤い公園 ニューシングル「風が知ってる / ひつじ屋さん」/ 2014年2月12日発売 / EMI R
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1890円 / TYCT-39013
- 通常盤 [CD] 1260円 / TYCT-30021
-
CD収録曲
- 風が知ってる
- ひつじ屋さん
- POP STAR
- 風が知ってる(Instrumental)
- ひつじ屋さん(Instrumental)
- POP STAR(Instrumental)
- めっちゃPON!~わりとPON!~やっぱりPON!(通常盤のみ収録)
初回限定盤DVD 収録内容
- 「風が知ってる」MUSIC VIDEO+ドキュメンタリー映像「情熱公園」
- ライブ情報
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赤い公園「絶対的な関係」発売記念イベント「接待的な歓迎」
2014年3月14日(金)
東京都 六本木 ハイサイJr.- 【第1回目】START 16:30(集合時間16:20)
- 【第2回目】START 18:00(集合時間17:50)
- 【第3回目】START 19:00(集合時間18:50)
赤い公園のニューシングル「絶対的な関係」の発売記念イベント。タイトルの言葉遊びから派生して「接待的な歓迎」と称し、メンバー自らファンの皆様を接待させていただく企画です。乾杯あり、トークあり、ゲームあり、笑いあり、涙あり(?)……日頃の感謝とこれからもごひいきいただきたく、スペシャルな空間をご用意します! -
赤い公園 フリーライブ
2014年3月16日(日)
東京都 立川タカシマヤ 1階パレスホテル口前広場- 1部 16:20~
- 2部 16:50~
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~赤鬼VS藍鬼VS栗鬼~
2014年3月27日(木)
東京都 LIQUIDROOM ebisu
<出演者>
赤い公園 / 藍坊主 / クリープハイプ
赤い公園(あかいこうえん)
佐藤千明(Vo)、津野米咲(G)、藤本ひかり(B)、歌川菜穂(Dr)からなる4人組。高校の軽音楽部の先輩後輩として出会い、2010年1月に結成される。さまざまなジャンルの音楽を内包したサウンドと、予測不能かつアグレッシブなライブパフォーマンスが魅力。東京・立川BABELを拠点に活動をスタートさせ、自主制作盤「はじめまして」「ブレーメンとあるく」を経て、EMIミュージック・ジャパン(現ユニバーサルミュージック内EMI R)からミニアルバム「透明なのか黒なのか」でメジャーデビューする。しかし津野の体調不良を受け、2012年10月より半年間活動を休止。2013年3月1日活動再開を発表したのち、5月に東名阪で復活ツアーを開催し、8月に1stフルアルバム「公園デビュー」をリリースした。2014年2月にシングル「風が知ってる / ひつじ屋さん」、3月にシングル「絶対的な関係 / きっかけ / 遠く遠く」を発表。なお津野はソングライターとしても高く評価されており、SMAP「Joy!!」の作詞および作曲、南波志帆「ばらばらバトル」の作詞および編曲を手がけるなど活動の幅を広げている。