ナタリー PowerPush - 赤い公園

まだまだ成長期!

小説で表現力を磨く

──あと、佐藤さんはよく読書をするようになったとか。

佐藤 そうなんですよ。私はあらゆる面で知らないことが多すぎて。例えばラブソングだったら、私自身の恋愛経験が少ないから、そこで壁にぶつかることもあるのかなと思って。今のところ赤い公園にはラブソングというラブソングがないから助かってるんですけど(笑)。今後もしそういう曲を津野さんが書いたときに──歌詞の内容は100%理解しなくてもいいと思うんですけど──自分が知っていたほうがいいことはいっぱいあるなと思ったんです。それは経験しないと得られないものでもあると思うし、どうしたらいいか考えたときに人から読書を勧められて。

──主に小説を読んでるんですか?

佐藤千明(Vo)

佐藤 小説が多いですね。小説はドラマや映画よりも密接に登場人物の思考を理解できるんじゃないかと。

──想像するからね。

佐藤 そう、登場人物の気持ちを想像して理解しようとするし、ドラマや映画みたいに物語が流れていかないし、こちらが立ち止まることもできるから。それでいろんな本を読んでるんですけど。最近、顕著に助かってるなと思うのは、難しい言葉の意味や知らなかった言葉に読書で触れることで、こうしたインタビューで自分が言いたいことを以前よりはうまく伝えられるようになって。さっきは小説版の「星の王子さま」を読んでました。その前は「整形で人生は変わるのか」みたいな本を読んでたんですけど(笑)。

──小説じゃないじゃん(笑)。

佐藤 ときにはそういうものも挟みつつ(笑)。で、それは「結局、自分次第だ」という結論の本だったんですけど。

赤い公園が「Joy!!」をやってもしょうがない

──前回のインタビュー(参照:赤い公園「公園デビュー」インタビュー)で津野さんは「赤い公園の音楽性は説明する言葉を見つけるのに時間がかかる音楽だと思う」と言っていて。「でも結果が欲しい」と。そのあたりで今、思っていることはありますか。

津野米咲(G)

津野 うーん、やっぱり挑戦することだと思いますね。それは音楽的にもそうだし。いろんな音楽を聴いて、テレビを観て、CD屋さんに行って、伝えるのに時間がかからない音楽がどういうものなのか自分ではわかってるつもりなんですよ。それに対して自分がそういう曲を作るのはダサいからやめよう、これは赤い公園っぽくないからやめようって、挑戦せずにいるのは逃げなんだなってことに気付いて。詳細な部分まで見たら、自分が想像してることと同じように想像してる人なんていないわけだから。似通ったところはあっても、絶対どこかは違うはずで。それってオリジナリティというものだと思うんですね。だから、まず形にしてみて、それがホントに伝わるのが早い音楽なのかどうなのか試してみる必要があるんじゃないかと。それは今、すごくやるべきことだなって思ってますね。そう思えるのもきっと冷静になれてるからで。いろんなことが怖いけど、それに対しても冷静になって、いいところと悪いところがだんだん見極められるようになってきてる。だからこそ、挑戦していくことは自分たち次第でまったく損にならないと思ってます。

──例えば「Joy!!」はSMAPという大きなフィルターがあるにせよ、ほかのシンガーが歌っていても、あの曲を聴いたら誰もが純粋にこれは楽しくていい曲だって感じると思うんですよ。お題があればそういう曲を自分がいくらでも書けることを津野さんは自覚してるわけですよね。

津野 ああ、そうですね。でも、バンドになってくるとまた話は違うから。

──そこだよね。

津野 うん。今のバンドシーンを考えると「Joy!!」みたいなアプローチを赤い公園がやってもしょうがないなと思う。

──自分でもそこに面白味も感じないし。

津野 そう。特にあの曲の歌詞は私たちみたいな若い女性が歌ってもグッとこないと思うんですよね。歌詞も込みで音楽だから。

──っていうか、その発言にグッとくる。

津野 あはははは(笑)。もちろん、曲を作ってる脳は同じだし。

──ただ赤い公園の楽曲ではもっと傷跡のようなインパクトを残したいし、そこに「赤い公園が体現する自分の歌」としての必然性がないと違うなと思うっていうことなのかなって。それは「風が知ってる」や「きっかけ」にも感じることだし。

津野 確かにそうですね。あとはなんだろうな……ホントはすごくストレートなJ-POPが好きなんですよ。歪んだギターとかはなくてもいいくらいの。温かい曲も大好きだし。でも、「風が知ってる」や「きっかけ」とか自分のすごくコアな部分から言葉を引っ張り出したときにこそ、赤い公園っぽい音になると思うんですよ。

──間違いないね。

津野 そういう曲ができたら、このバンドでやるしかないと思うし。選ぶまでもなく。

──人に預けられないよね。佐藤さんに歌ってほしいと思うし。

津野 そう! 人に預けられない。そういう曲を受け止めてくれるのがうちのメンバーだから。でも、それだけじゃいけないこともわかってます。赤い公園の明るい未来をみんなに見せたいし、ポップなものはポップなもので置いていくんじゃなくて、赤い公園で勝負できるところもあると思うから。そこには挑戦していきたい。

赤い公園 ニューシングル「絶対的な関係 / きっかけ / 遠く遠く」/ 2014年3月12日発売 / EMI R
初回限定盤 [CD+DVD] 1890円 / TYCT-39014
通常盤 [CD] 1260円 / TYCT-30022
CD収録曲
  1. 絶対的な関係
  2. きっかけ
  3. 遠く遠く
  4. 絶対的な関係(Instrumental)
  5. きっかけ(Instrumental)
  6. 遠く遠く(Instrumental)
初回限定盤DVD 収録内容
  • 「絶対的な関係」MUSIC VIDEO+ドキュメンタリー映像「情熱公園」
赤い公園 ニューシングル「風が知ってる / ひつじ屋さん」/ 2014年2月12日発売 / EMI R
初回限定盤 [CD+DVD] 1890円 / TYCT-39013
通常盤 [CD] 1260円 / TYCT-30021
CD収録曲
  1. 風が知ってる
  2. ひつじ屋さん
  3. POP STAR
  4. 風が知ってる(Instrumental)
  5. ひつじ屋さん(Instrumental)
  6. POP STAR(Instrumental)
  7. めっちゃPON!~わりとPON!~やっぱりPON!(通常盤のみ収録)
初回限定盤DVD 収録内容
  • 「風が知ってる」MUSIC VIDEO+ドキュメンタリー映像「情熱公園」
ライブ情報
赤い公園「絶対的な関係」発売記念イベント「接待的な歓迎」 2014年3月14日(金)
東京都 六本木 ハイサイJr.
  • 【第1回目】START 16:30(集合時間16:20)
  • 【第2回目】START 18:00(集合時間17:50)
  • 【第3回目】START 19:00(集合時間18:50)
<内容>
赤い公園のニューシングル「絶対的な関係」の発売記念イベント。タイトルの言葉遊びから派生して「接待的な歓迎」と称し、メンバー自らファンの皆様を接待させていただく企画です。乾杯あり、トークあり、ゲームあり、笑いあり、涙あり(?)……日頃の感謝とこれからもごひいきいただきたく、スペシャルな空間をご用意します!
赤い公園 フリーライブ 2014年3月16日(日)
東京都 立川タカシマヤ 1階パレスホテル口前広場
  • 1部 16:20~
  • 2部 16:50~
~赤鬼VS藍鬼VS栗鬼~ 2014年3月27日(木)
東京都 LIQUIDROOM ebisu
<出演者>
赤い公園 / 藍坊主 / クリープハイプ
赤い公園(あかいこうえん)
赤い公園

佐藤千明(Vo)、津野米咲(G)、藤本ひかり(B)、歌川菜穂(Dr)からなる4人組。高校の軽音楽部の先輩後輩として出会い、2010年1月に結成される。さまざまなジャンルの音楽を内包したサウンドと、予測不能かつアグレッシブなライブパフォーマンスが魅力。東京・立川BABELを拠点に活動をスタートさせ、自主制作盤「はじめまして」「ブレーメンとあるく」を経て、EMIミュージック・ジャパン(現ユニバーサルミュージック内EMI R)からミニアルバム「透明なのか黒なのか」でメジャーデビューする。しかし津野の体調不良を受け、2012年10月より半年間活動を休止。2013年3月1日活動再開を発表したのち、5月に東名阪で復活ツアーを開催し、8月に1stフルアルバム「公園デビュー」をリリースした。2014年2月にシングル「風が知ってる / ひつじ屋さん」、3月にシングル「絶対的な関係 / きっかけ / 遠く遠く」を発表。なお津野はソングライターとしても高く評価されており、SMAP「Joy!!」の作詞および作曲、南波志帆「ばらばらバトル」の作詞および編曲を手がけるなど活動の幅を広げている。