ナタリー PowerPush - 赤い公園

まだまだ成長期!

昨年8月にリリースした1stフルアルバム「公園デビュー」でロックバンドの既成概念を塗り替え、ポップミュージックの限界値を引き上げるサウンドを示した赤い公園。2014年は2月に3rdシングル「風が知ってる / ひつじ屋さん」を、間髪入れずに3月に4thシングル「絶対的な関係 / きっかけ / 遠く遠く」をリリースする(※槇原敬之のカバー曲「遠く遠く」を除き、プロデューサーに亀田誠治、エンジニアに井上うにを迎えている)。この2枚のシングルに込めた思いと、さらなる飛躍を見据えた意気込みを佐藤千明(Vo)と津野米咲(G)に聞いた。

取材・文 / 三宅正一(ONBU) 撮影 / 福本和洋

まいた種をムダにしたくない

──もう3月ではあるんですけど、2014年をどういう年にしたいかまず聞きたいなと。

左から津野米咲(G)、佐藤千明(Vo)。

津野米咲(G) 2013年にまいた種を1つもムダにしたくないというのと、2013年と違うところは基本に立ち返って、演奏や歌のスキルを向上させる。いい曲を書いて、いいライブをするということに重きを置きたいなと思ってます。バンドの状況的にはワーッと攻めてる感じなんですけど、基本に立ち返る余裕が出てきたのかもしれないですね。忙しい中でも冷静になれてる自分たちがいるのかなと。

──まいた種はどういうものだと思いますか?

津野 これまでの赤い公園のライブって私たちより年下のお客さんがほぼいなくて。

──ああ、確かに以前から大人が多かったよね。

津野 そう。それから徐々に大学生の方とかも来てくれるようになったけど、中高生とかはなかなか来ないなと思っていて。ほかのバンドもそうなのかなと勘違いしてたけど、私が高校生のときはよくライブを観に行ってたし、そういうことじゃないんだなって(笑)。

──ポジティブに解釈すれば、まず耳の肥えた人たちを引き寄せたとも言えると思うんだけど、そこで完結したらもったいないしね。

津野 そうですね。私は届いてない人たちに向けて届けようとしているときのエンジンのかかり方がすごく好きで。アウェイのライブしかり。そこに届けるためにどこまで身を切り崩して、どこは守っていくのかを考えるのも好きだし。それは、活動を再開して、2013年7月に「今更 / 交信 / さよならは言わない」をリリースしてから、この2枚のシングルをリリースするまでもまだまだ道のりは途中だと思いますけど、種はまき続けられてる気がします。

2014年は勉強の年

──津野さんが手がけたSMAPの「Joy!!」だってとんでもなく大きな種だったし。

津野米咲(G)

津野 そうですね。「Joy!!」のおかげで赤い公園というバンドの存在を知った方もけっこういたと思うし。

──佐藤さんはどうですか?

佐藤千明(Vo) 2014年は勉強の年にしたいですね。

──例えば?

佐藤 年明けのタイミングで会議があったときに、津野さんからメンバーに課題が出たんです。「みんな練習するのは当たり前として、勉強しないよね」って。それで、「すぐにできなくてもいいから、楽譜の読み書きをできるようになってください」という課題が出て。なので、今年は音楽的な勉強と、あとはタイアップのように、赤い公園の存在や音楽を知ってもらえるチャンスをいただいてるので、そこでガッとお客さんの心をつかみたいですね。それも私たち自身にかかってると思いますし。だからこそ、基本を見つめ直すというか。

──津野さんが課題を出したのはやっぱり音楽的な基礎体力をつけようという狙いで?

津野 そうですね。去年の秋にやった「公園デビュー」のツアーが終わったときに、そろそろみんなの気が緩んでくるなという空気をなんとなく感じていて。ツアーはみんなすごくがんばったんですよ。「こんなライブじゃダメだ、曲をやるだけでカッコいいライブをしよう!」って夏からしっかり目標を立ててツアーに向かって。

歌っていく覚悟ができた

──僕はファイナルのキネマ倶楽部でのライブを観させてもらって。メジャーデビュー前から赤い公園のライブを観てきたけど、文句なしに過去最高のステージだった。いよいよメンバーの表現力が楽曲のポテンシャルに追いついたなって。

津野 ありがとうございます。私たちもあのツアーはすごくいいものになったと思っていて。

──改めて佐藤さんのフロントマンとしての覚醒が目覚ましいなとも思ったんですよね。

佐藤 うれしいです。やっぱり活動休止前とあとで全然違うのは、これから先、自分が歌っていく覚悟ができたことなんですよね。ライブ1本1本に対して賭ける気持ちも以前とは全然違っていて。それがツアーには表れていたと思います。ただ、ツアー直後は津野さんが言うようにみんなの空気がどこか緩んでいたかもしれない。

津野 ツアー後の目標をみんな探そうとしているのかな?と思ったときに、みんなちょっと休憩してるなって感じたんです。で、絶対に自分たちのためになると思いついたのが楽譜の読み書きで。以前からリズムが噛み合わなくなるようなことがしょっちゅうあるバンドなので(苦笑)、楽譜を読み書きできなきゃいけないこともないけど、読み書きできて損はないし。例えば(歌川)菜穂がほかのアーティストから「明日ドラムを叩く人を探してる」ってオファーがあったら、パッと譜面を渡されてすぐ叩けるようになったらいいなと思うし。もちろんバンドとしての向上が一番だけど、1人のミュージシャンとして魅力的であるに越したことはないから。始めるなら早いほうがいいと思ったし。すぐにできるようにならなくてもいいから、やろうとする意気込みが重要だなって。それからバンドの空気も締まったし。

佐藤 うん、引き締まったね。そうやって津野さんが具体的な課題を出してくることはこれまでなかったし、すごく求められてると思って、「これは覚悟を決めてやらねば!」と思いましたね。それもあって今の状態はなかなかいい感じだと思います。

津野 ふふふふふ(笑)。

赤い公園 ニューシングル「絶対的な関係 / きっかけ / 遠く遠く」/ 2014年3月12日発売 / EMI R
初回限定盤 [CD+DVD] 1890円 / TYCT-39014
通常盤 [CD] 1260円 / TYCT-30022
CD収録曲
  1. 絶対的な関係
  2. きっかけ
  3. 遠く遠く
  4. 絶対的な関係(Instrumental)
  5. きっかけ(Instrumental)
  6. 遠く遠く(Instrumental)
初回限定盤DVD 収録内容
  • 「絶対的な関係」MUSIC VIDEO+ドキュメンタリー映像「情熱公園」
赤い公園 ニューシングル「風が知ってる / ひつじ屋さん」/ 2014年2月12日発売 / EMI R
初回限定盤 [CD+DVD] 1890円 / TYCT-39013
通常盤 [CD] 1260円 / TYCT-30021
CD収録曲
  1. 風が知ってる
  2. ひつじ屋さん
  3. POP STAR
  4. 風が知ってる(Instrumental)
  5. ひつじ屋さん(Instrumental)
  6. POP STAR(Instrumental)
  7. めっちゃPON!~わりとPON!~やっぱりPON!(通常盤のみ収録)
初回限定盤DVD 収録内容
  • 「風が知ってる」MUSIC VIDEO+ドキュメンタリー映像「情熱公園」
ライブ情報
赤い公園「絶対的な関係」発売記念イベント「接待的な歓迎」 2014年3月14日(金)
東京都 六本木 ハイサイJr.
  • 【第1回目】START 16:30(集合時間16:20)
  • 【第2回目】START 18:00(集合時間17:50)
  • 【第3回目】START 19:00(集合時間18:50)
<内容>
赤い公園のニューシングル「絶対的な関係」の発売記念イベント。タイトルの言葉遊びから派生して「接待的な歓迎」と称し、メンバー自らファンの皆様を接待させていただく企画です。乾杯あり、トークあり、ゲームあり、笑いあり、涙あり(?)……日頃の感謝とこれからもごひいきいただきたく、スペシャルな空間をご用意します!
赤い公園 フリーライブ 2014年3月16日(日)
東京都 立川タカシマヤ 1階パレスホテル口前広場
  • 1部 16:20~
  • 2部 16:50~
~赤鬼VS藍鬼VS栗鬼~ 2014年3月27日(木)
東京都 LIQUIDROOM ebisu
<出演者>
赤い公園 / 藍坊主 / クリープハイプ
赤い公園(あかいこうえん)
赤い公園

佐藤千明(Vo)、津野米咲(G)、藤本ひかり(B)、歌川菜穂(Dr)からなる4人組。高校の軽音楽部の先輩後輩として出会い、2010年1月に結成される。さまざまなジャンルの音楽を内包したサウンドと、予測不能かつアグレッシブなライブパフォーマンスが魅力。東京・立川BABELを拠点に活動をスタートさせ、自主制作盤「はじめまして」「ブレーメンとあるく」を経て、EMIミュージック・ジャパン(現ユニバーサルミュージック内EMI R)からミニアルバム「透明なのか黒なのか」でメジャーデビューする。しかし津野の体調不良を受け、2012年10月より半年間活動を休止。2013年3月1日活動再開を発表したのち、5月に東名阪で復活ツアーを開催し、8月に1stフルアルバム「公園デビュー」をリリースした。2014年2月にシングル「風が知ってる / ひつじ屋さん」、3月にシングル「絶対的な関係 / きっかけ / 遠く遠く」を発表。なお津野はソングライターとしても高く評価されており、SMAP「Joy!!」の作詞および作曲、南波志帆「ばらばらバトル」の作詞および編曲を手がけるなど活動の幅を広げている。