ナタリー PowerPush - 赤髪
☆Taku Takahashiとボカロ談義
赤髪は本当にm-floが憧れだったのか問題
☆Taku それはともかく、なんで髪、赤くないんですか?(笑)
赤髪 いや、赤髪っていう名前は友達がつけてくれたんですよ(笑)。
☆Taku 赤くしなきゃマズいじゃないですか。
赤髪 いやー。僕「黒髪が一番似合う」って言われるんですよね。この名前、どう思われましたか?
☆Taku いやあ、どうもこうも。髪が赤くないのが大問題ですよ! 似合いそうじゃないですか、赤。このアルバムのジャケットの人っぽくなりますよ。
赤髪 マジですか(笑)。まあ、もっとカッコいい名前がよかったんですけどねえ。
☆Taku 赤髪ってカッコいいじゃないですか。
赤髪 そうですかね。でもニコニコ動画に投稿する人って、名前は悩みどころだと思うんですよね。
☆Taku まあそうでしょうねえ。アルファベットにするのか漢字にするのかによっても印象が違いますしね。
赤髪 そうなんですよ。アルファベットのほうがやっぱカッコいいから、そっちにしとけばよかったなあと思ったりもします(笑)。でももうみんな漢字で覚えているから、今さらアルファベットに変えても、認識してもらえないと思うんですよね。
☆Taku え、そう? それもまたネガティブですねえ。作品はすごく自信に満ちあふれた音なんだけど、本人は全体的にネガティブなんですね(笑)。
赤髪 もともとちょっとネガティブな人間なのかもしれないですね。わりと家に引きこもってるから、だんだんマイナス思考が強くなって。大学を卒業してからはまあ基本的に引きこもってますね。バイトとかはしてましたけど。
☆Taku でも髪とかちゃんと切ってあるじゃないですか。
赤髪 今日の対談があるからちょっとパーマをかけたんです(笑)。まあでも大学を卒業してからは基本的に家でDTMとかをがんばってました。
☆Taku その頃は自分がプロになってリリースするっていうことはまったく想像できなかったんですか?
赤髪 いや、僕はもう音楽で食べていこうと思ってはいたんですけどね。大学でも作曲専攻でしたし。
☆Taku じゃあ大学でもプロになるために音楽を勉強してたんですね。だけど大学時代に組んでたバンドが解散して。
赤髪 そうなんです。かつて憧れた音楽はそういうものだったんですけど。
☆Taku どういうのに憧れてたんですか?
赤髪 それはもう……m-floさんですよ。
☆Taku いや、うちはバンドじゃないしさ。ここ、絶対カットしちゃダメ!(笑)
赤髪 まあ、ほかに憧れてたのはBUMP OF CHICKENとかDo As Infinityなんですけど。
☆Taku m-floとぜんぜん違うじゃないですか!
赤髪 初めて好きになった音楽はGLAYとかで。
☆Taku うーん……まあ近い近い。アルファベットの文字の数とかが(笑)。
赤髪 その後にL'Arc-en-Cielにいったりしながら、音楽をやる人にずっと憧れてたんです。ただその後、大学に行った頃は作家になりたいと思うようになったんですよ。やっぱり自分はそうやって表に出ることはできない人間だなと思ってたので。まあ、今も思ってますけど(笑)。
☆Taku 自分で歌っていくより、作曲家になりたいと思ったわけですね。でも大学時代はバンドやってたんですよね?
赤髪 バンドは大学4年の文化祭からやり始めて。それで作家と表に出るのと、両方できたらいいなって思うようになったんです。バンドはわりといい感じになって「イケるかも」って思ったんですけど、その後ドスンと落ちた感じなんですよね。
☆Taku 難しいですよね。人間関係もあるし。何人編成だった?
赤髪 5人編成です。
☆Taku 5人! それが3対2とか4対1の構図になって解散したんですかね。
赤髪 いや、2対2対1だったんですけど。
☆Taku これはすごいアクシズですね(笑)。エゥーゴ、ティターンズ、ネオ・ジオンみたいな。
赤髪 ガンダムですか。
☆Taku あ、ごめんなさい。
赤髪 いやいや、僕もあの、ガンダムSEEDが好きですけど。
☆Taku はいはいはい、ここでまたジェネレーションギャップを感じますね(笑)。
赤髪 バンドの2対2対1は、付き合ってる2人、付き合ってる2人、そして僕という感じだったんですよ。
☆Taku ああー! 男3人、女2人だったんですね。なるほど……。
赤髪 結局そこでもひとりぼっちだったんですよね……。
- 1stアルバム「NEXUS UTILITY」 / [CD+DVD] / 2013年3月20日発売 / 2800円 / ヤマハミュージックコミュニケーションズ / YCCV-10013/B
- 1stアルバム「NEXUS UTILITY」
CD収録曲
- Future
- Dive Drop -album version-
- Oneself
- StarCrew -album version-
- Connect
- Loto -album version-
- GHOST
- 黒 猫
DVD収録内容
- Loto MV
- StarCrew MV
- Dive Drop MV
- Interview
赤髪(あかがみ)
楽曲クオリティと調声レベルの高さで支持を集めるボーカロイドプロデューサー。3歳からピアノ、中学時代からギターを始め、音大卒業後の2011年9月にオリジナル曲「Loto」をニコニコ動画で公開する。その後「StarCrew」「Dive Drop」の2曲を発表。3作品合計14万再生と寡作ながら、その楽曲クオリティの高さが認められYamaha公式ボカロ専門レーベル「VOCALOID RECORDS」と契約。2013年3月にアルバム「NEXUS UTILITY」でメジャーデビュー。
☆Taku Takahashi(たく たかはし)
DJ、プロデューサー。1998年にVERBALとm-floを結成。ソロとしても国内外アーティストのプロデュースやリミックス制作を行う。「Incoming... TAKU Remix」でbeatportの音楽賞「beatport MUSIC AWARDS 2011 TOP TRACKS」を日本人として初めて獲得し、その実力を証明。2010年にはアニメ「Panty&Stocking with Garterbelt」のサウンドトラックも監修する。またソロ名義「THE SUITBOYS」としてミックスCD「AFTER 5 VOL.1」を発表。国内外のDJが最先端の音と情報を発信するインターネットラジオ「block.fm」を設立し、注目を集めている。2012年にはm-floとしての約5年ぶりのオリジナルアルバム「SQUARE ONE」を発表。さらに2013年3月13日にニューアルバム「NEVEN」をリリースする。