音楽ナタリー Power Push - AK-69
異ジャンルのゲストを迎えて描く、挑戦者の夜明け
女より男のほうがずっと相手のことを忘れられない
──「Rainy Day feat. 清木場俊介」に招いた清木場さんとは、どんないきさつでコラボすることに?
清木場くんもTAKUYA∞と出会い方が似ていて、共通の知り合いにずっと「清木場くんとAKさんは絶対合うから」って言われてたんです。同じことを清木場くんも言われてたらしく。で、「SUMMER BOMB 2016 produced by Zeebra」に出たときに、その知り合いに連れられて清木場くんが観に来てくれたんですよ。
──すごく最近の出会いだったんですね。出会ってみての印象は?
もっと派手な生活をしてるのかと思ったら全然地味なんです。飲みに行くところもラグジュアリーな会員制のバーじゃなくて、場末のバーみたいなところだったりしてけっこう哀愁系なんですよ。不良上がりの哀愁系(笑)。
──あはは(笑)。
すげえ愛すべきキャラで、不良上がりだから同じ匂いもするし、メシを食ったときに初めて会った感じがしなくて。清木場くんとはその席で「何か一緒にできたらいいね」っていう話をしたんです。「やるならド渋な男のバラードみたいなのがいいっすね」とか。その日はそれで別れたんですけど、数日後に「今だ、それ」と思って「清木場くん、曲やりたいんだけど」って電話したら「今っすか。早いっすね」って(笑)。
──で、さっそく哀愁たっぷりの、未練たらしい男の歌ができたと(笑)。
そう(笑)。
──「Rainy Days」では、別れることになった女への心残りを歌っています。
設定が俺と清木場くんでちょっと違うんですけどね。今の女に言ってるのか、過去の女に言ってるのかっていう。いずれにしても女より男のほうがいつまでもずっと相手のことを忘れられないって言いますから。だから、これもある意味、男臭いバラードなんです(笑)。
般若はライバルでありリスペクトする男
──男臭いといえば、般若との「もう1ミリ feat. 般若」は、お二人が参加するHALEO TOP TEAM(サプリメントブランドのHALEOが運営するトレーニングチーム)を題材にした曲ですか?
そうです。HALEO TOP TEAM にはUFCの選手や井岡、ラグビー日本代表のリーチマイケル選手とかが所属してるんです。アーティストでは長渕(剛)さんと般若の2人だけが所属してたんですけど、俺も般若の紹介で仲間入りさせてもらって。限界に挑戦するキツいトレーニングを日々やってて、そこからこの曲が生まれたんです。
──2人の並大抵じゃないストイックさを感じる曲でした。
ツラさの極致といえるトレーニングを一緒に味わってる仲だし、般若も今「フリースタイルダンジョン」のラスボスとして新しい畑を切り拓いて、新しい挑戦をして踏ん張ってるところなんで、カタチは違えど同じ気持ちかなと思って。同い年だけどライバルだし、でもがんばってるから共感できる部分はたくさんあるし、本当リスペクトしてる男なんです。
──般若を傍で見ていて、「こいつ、やっぱりストイックだな」と思う部分は?
トレーニングのときに思いますね。般若はスタミナがハンパじゃないんです。それって天分のものじゃなくトレーニングを積み上げて得られるものだから、影でどれだけ努力してきたかがわかる。トレーニングしてるときも心肺系のトレーニングはアイツのほうが強くて、筋持久力とか瞬発系のトレーニングは俺のほうが上なんです。だから、お互いに「今日は般若が得意なメニューだぞ」とか「AKが得意なメニューだぞ」って思ってても、2人とも黙って負けないようにやってて。「本当ストイックだな、コイツ」って思います。
──「Flying Lady feat. CITY-ACE, HIDE春」ではFlying Bに新しく加入した2人をフックアップしていますが、CITY-ACEはメロラップという持ち味を発揮していますね。
CITY-ACEは名古屋でずっとやってきてる後輩で、本当にいいものを持ってるのにタイミングや環境をモノにできず燻っていたのがすごく歯がゆかったんです。「Flying Lady」のヴァースには、「俺がカッコいいと思うCITY-ACEはこれだ!」っていう感じが出てますね。
──HIDE春も、いい意味で青々しいソウルフルな歌声を披露しています。
俺がこのトラックで最初に浮かんだメロディを歌わせたんですけど、「自分が書いたメロディか?」って思うくらいの歌を聞かせてくれて。歌唱力でこんなに変わるんだなって驚きの仕上がりになりました。
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- ニューアルバム「DAWN」 / 2016年11月23日発売 / Def Jam recordings
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 4104円 / UICV-9215
- 通常盤 [CD] / 3240円 / UICV-1077
CD収録曲
- Dawn
- Flying Lady feat. CITY-ACE , HIDE春
- Forever Young feat. UVERworld
- Streets feat. 2WIN(T-PABLOW & YZERR)
- Flying B ~DAWN ver.~
- Hangover
- Rainy days feat. 清木場俊介
- With You ~10年、20年経っても~
- Baby
- 上ヲ向イテ
- もう1ミリ feat. 般若
- We Don't Stop feat. Fat Joe
- KINGPIN
初回限定盤DVD収録内容
- KINGPIN(MUSIC VIDEO)
- With You~10年、20年経っても~(MUSIC VIDEO)
- Flying B(MUSIC VIDEO)
- We Don't Stop feat. Fat Joe(MUSIC VIDEO)
- 2016.2.27「NON FICTION~一夜限りのプレミアム・ライブ~」@豊洲PIT LIVE映像
- Opening~The Cartel From Streets
- Prologue -The Man They Call Rain Man-
- The Throne
- 雨音
- Click da trigger
- CROWZ feat. Lil'J
- You don't care
- Ding Ding Dong ~心の鐘~
- IRON HORSE -No Mark-
- THE RED MAGIC
- ICU
- START IT AGAIN
- Lookin' In My Eyez ~ ロッカールーム -Go Hard or Go Home-
- Flying B
- And I love You So
- IT'S OK
AK-69(エーケーシックスティーナイン)
1978年生まれの男性ヒップホップアーティスト。MCおよびラッパーとして活動する際にはAK-69、シンガーとして活動する場合はKALASSY NIKOFFを名乗っている。2004年にKALASSY NIKOFF名義でリリースしたアルバム「Paint The World」を皮切りにソロ活動をスタート。2012年にニューヨークに滞在し、現地のヒップホップ専門ラジオ局「HOT 97」のインタビューを受けたほか、同局主催の野外イベント「Harlem Day」、そして数々のアーティストを輩出したイベント「Who’s Next?」に日本人ラッパーとして初出演を果たした。2014年3月に東京・日本武道館にてワンマンライブを行い成功を収めたほか、翌2015年にはキャリア最大規模となる全国ホールツアーを開催した。ボクサーや野球選手などアスリートたちからの支持も厚く、プロ野球選手の登場曲使用率1位を2014年と2015年の2年連続で記録。2016年1月に「さらなるインディペンデントな活動」を目指して自ら代表を務める事務所・Flying B Entertainmentを立ち上げた。4月にはアメリカの名門ヒップホップレーベルのDef Jam Recordingsと契約を結び、同レーベルからの第1弾作品となるシングル「With You ~10年、20年経っても~ / KINGPIN」を7月にリリース。11月にニューアルバム「DAWN」を発表した。