音楽ナタリー Power Push - AK-69
異ジャンルのゲストを迎えて描く、挑戦者の夜明け
TAKUYA∞や清木場くんとはすごく運命的に出会った
──UVERworldと清木場俊介の参加には意表を突かれました。今回、ゲストの顔ぶれについてはどんなことを?
今まで自分の作品でジャンル外の人を呼んだことはないんです。ジャンル外の人に呼ばれることはラッパーとして光栄なことだと思うので参加させてもらってるんですけど、自分の作品に自分より有名な人を呼んだことはなくて。例えばくうちゃん(倖田來未)の曲に参加させてもらったときも、俺があの時点でくうちゃんを呼ぶのは、俺の作品を売ることに彼女を荷担させるカタチになるようですごく嫌だったんです。
──売名行為に思われる。
そう。だからそれをせずに、身内というか同じジャンルのヤツらでカッコいい音楽を作ることにこだわってきた。でも前回まででやることをやったし、「KINGPIN」でも言ってるけどメジャーとインディーの壁なんて壊したから、今はジャンル外の人を呼んだところで「売れるためにやったな」って言われないところまで来た自負があるし、抵抗がなくなったんです。それにTAKUYA∞(Vo / UVERwolrd)や清木場くんとはすごく運命的な出会い方をして、共通するものや惹かれるものがあって、一気に仲良くなって。そこから生まれたコラボだから成り立ちが自然だったんですよね。
「『ここぞ』が今なんで行きます」
──UVERworldとはどんな経緯で知り合ったんですか?
5年くらい前から、俺が合宿でこもるスタジオをUVERworldも使ってたんです。だから最初はスタッフから「こないだUVERが来てましたよ」って言われたり、あっちも「AKが来てましたよ」とか言われてお互いの存在を知って。で、3年くらい前かな。井岡の試合を観に行ったときにTAKUYA∞と席が前後になって、お互い顔は知ってるから「あ、どうも」って挨拶だけして。で、あとから知ったんですけど、TAKUYA∞が可愛がってる後輩が俺のファンでもあって、昔からしょっちゅうライブに来てたそうなんです。そいつが「AKさんとTAKUYA∞さんは、ライブで言ってることも歌で言ってることもメッチャ共通するところがあるから絶対に気が合うはず」ってずーっとTAKUYA∞にプレゼンしてたらしいんですね。
──スタジオでもニアミスしてるし、そう言われると気になりますよね。
そしたらあるとき、TAKUYA∞がその後輩を連れてK-1の試合を観に来て、そこでもまた俺と席が前後だったんです。そのときに後輩を連れてたこともあってか、TAKUYA∞が肩をトントンと叩いて話しかけてくれて、いきなり「電話番号、交換してもらっていいですか」って言ってきて。TAKUYA∞は普段、あまり知らない人と番号を交換することはないらしんです。けど、後輩の押しも効いてたみたいで。そのあとにまた井岡の試合があって、試合後に井岡も交えてみんなでメシを食いに行ったときにゆっくり話せて打ち解けたんです。
──そこから曲を作る話に?
そうです。アルバム制作がこんなタイトなスケジュールで進んでいる中、無理だろうなって思ってたけど、言うだけはタダだから言ってみようと思って、「今回一緒にやれたりしないかな?」って話して。でもUVERはこれまで客演したことは1回もないんですよ。TAKUYA∞がソロで客演したことはあるんですけど、そのあとメンバー間で「客演は『ここぞ』っていうとき以外はしないで、UVERworldでの表現を大事にしていこう」っていう方針になったらしくて。そのことを電話で聞いて「そうだよね」ってなったんだけど、TAKUYA∞が「でもね、AKくん。『ここぞ』が今なんで行きます」って言ってくれて。
──うれしいですね、その言葉は。
自分から誘っときながら「え、俺でいいの?」とか思いましたけど(笑)。しかも「バンドも全部出動させるんで、UVERworldでいきますよ」って言ってくれてうれしかったですね。
気持ちひとつで全然まだまだイケるぞって伝えたい
──曲作りはどのように進めていったんですか?
最初は今回のベースになったトラックと、今のUSの流れを汲んだトラックと、バンドサウンドを意識したトラックの3パターンを渡したんです。で、話してたら「やっぱり俺の気持ちが一番乗るもの、みんなが聴いてグッとくるものがいいんじゃないか」ということで1番目のトラックになり。だけどUVER全員が出動するんだからということで、TAKUYA∞の提案でサビの部分はコードも変えて、メンバーが演奏したものに全替えしたんです。そのあとはそのサビからヒントをもらってヴァース部分にギターを加えたり、俺が歌うBメロの部分もUVERがアレンジを加えていって。夜中や朝方にもやりとりしながら何日間かかけて曲と詞を固めて、最後の仕上げにアウトロの掛け合いのところをスタジオでセッションしながら作ったんです。
──今、夢を追いかけてる若者への応援歌にもなっているし、年を取って夢をあきらめかけてる人への叱咤激励ソングにもなっていますね。
俺たちが意気投合した部分でもあるんですけど、年も1個しか違わない俺たちがモチベーションを保って音楽を続けてる原動力は、歌が好きだっていうこととか、スポットライトを浴びてることが好きっていうことだと思うんです。でも、俺たちの年って、がんばって続けてきてもあきらめちゃうような年齢でもある。それでも気持ちひとつで全然まだまだイケるぞっていうことを伝えたかったんです。「今日という日が人生で一番若い日」って歌ってるけど、本当その通り。そういうことを幅広い世代に伝えたかったんです。
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- ニューアルバム「DAWN」 / 2016年11月23日発売 / Def Jam recordings
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 4104円 / UICV-9215
- 通常盤 [CD] / 3240円 / UICV-1077
CD収録曲
- Dawn
- Flying Lady feat. CITY-ACE , HIDE春
- Forever Young feat. UVERworld
- Streets feat. 2WIN(T-PABLOW & YZERR)
- Flying B ~DAWN ver.~
- Hangover
- Rainy days feat. 清木場俊介
- With You ~10年、20年経っても~
- Baby
- 上ヲ向イテ
- もう1ミリ feat. 般若
- We Don't Stop feat. Fat Joe
- KINGPIN
初回限定盤DVD収録内容
- KINGPIN(MUSIC VIDEO)
- With You~10年、20年経っても~(MUSIC VIDEO)
- Flying B(MUSIC VIDEO)
- We Don't Stop feat. Fat Joe(MUSIC VIDEO)
- 2016.2.27「NON FICTION~一夜限りのプレミアム・ライブ~」@豊洲PIT LIVE映像
- Opening~The Cartel From Streets
- Prologue -The Man They Call Rain Man-
- The Throne
- 雨音
- Click da trigger
- CROWZ feat. Lil'J
- You don't care
- Ding Ding Dong ~心の鐘~
- IRON HORSE -No Mark-
- THE RED MAGIC
- ICU
- START IT AGAIN
- Lookin' In My Eyez ~ ロッカールーム -Go Hard or Go Home-
- Flying B
- And I love You So
- IT'S OK
AK-69(エーケーシックスティーナイン)
1978年生まれの男性ヒップホップアーティスト。MCおよびラッパーとして活動する際にはAK-69、シンガーとして活動する場合はKALASSY NIKOFFを名乗っている。2004年にKALASSY NIKOFF名義でリリースしたアルバム「Paint The World」を皮切りにソロ活動をスタート。2012年にニューヨークに滞在し、現地のヒップホップ専門ラジオ局「HOT 97」のインタビューを受けたほか、同局主催の野外イベント「Harlem Day」、そして数々のアーティストを輩出したイベント「Who’s Next?」に日本人ラッパーとして初出演を果たした。2014年3月に東京・日本武道館にてワンマンライブを行い成功を収めたほか、翌2015年にはキャリア最大規模となる全国ホールツアーを開催した。ボクサーや野球選手などアスリートたちからの支持も厚く、プロ野球選手の登場曲使用率1位を2014年と2015年の2年連続で記録。2016年1月に「さらなるインディペンデントな活動」を目指して自ら代表を務める事務所・Flying B Entertainmentを立ち上げた。4月にはアメリカの名門ヒップホップレーベルのDef Jam Recordingsと契約を結び、同レーベルからの第1弾作品となるシングル「With You ~10年、20年経っても~ / KINGPIN」を7月にリリース。11月にニューアルバム「DAWN」を発表した。