あいみょん|官能的な香りを忍ばせた新作と日本映画への憧れ

「満月の夜なら」MVで描く“狼になるまで”

──リリースの発表時にサビだけを聴かせるティザー映像を公開したのも今までにないやり方でしたよね。いつもアートワークでタッグを組んでいるとんだ林蘭さんと初めて一緒に動画を作ったそうで。サビを最初に切り出して聴かせるというのはやっぱりすごく自信があったからなのかなと思いました。

自信はありますね。でも私はもっと先を聴かせたい。本当にいい曲なんですよ。個人的にはラップっぽくなる2番のAメロを早く聴かせたいです。とんださんは前から動画を作りたいとおっしゃっていて、アートワークについて話し合っている中で、今回の動画のアイデアも出てきました。

──あの映像とリンクしたジャケットも素敵ですよね。満月にあいみょんさんがごろりと横たわっているという。

私たちはアートワークでも魅せたいなと思っているので、とんださんとタッグを組んだアートワークは見どころです。ぜひ楽しんでもらいたいです。

──ミュージックビデオはまた別の雰囲気で撮られたんですか?

はい。まったく別物です。今回はThe 16.という映像制作チームにお願いして。全部で3日間撮影したんですけど、今回は私以外のキャストも出演しています。春の嵐が吹いた日で、撮影はすごく大変でした(笑)。

──どういうコンセプトのビデオに仕上がったのでしょうか?

満月が空に昇るまでをテーマにしています。でも月はまったくと言っていいほど出てこないですし、夜でもない。あえてMVは官能的な部分はなく、青春っぽい画を撮りました。私がストーリーテラーみたいな役割で存在していて、ボーイズの青春のワンシーンをいくつも切り取った感じです。例えるのなら……“狼になるまで”みたいな感じなのかな。ぜひ映像を観てほしいですね。

シングルで出したかった2曲

──カップリングの「わかってない」はいつ頃できた曲なんですか?

この曲は去年の4月にできた曲です。

──1年越しのリリースなんですね。女性目線の歌詞で、奥ゆかしい女性が胸に秘めた思いを歌う曲です。リアルな感情がストレートに書かれた1曲ですね。

この曲を書いたとき、私に何かあったのかなって考えたんですけど、1年も前なのであんまり覚えていなくて(笑)。もしかしたら恋愛のことじゃなくて、何かに対して「ホンマの私はこうなのに勘違いされてるな。わかってないな」って思ったのかもしれない。

──世間的なイメージとのズレみたいな部分は以前インタビューでお話しされていましたよね(参照:あいみょん「生きていたんだよな」発売記念あいみょん×キュウソネコカミ対談)。

ああ、そうですね。誰かにこう思われたいとか、こういう見られ方をしたいとか、そういう明確なものはないんですけど、「まだまだみんな私のことをわかってないな」って思ったりもしたのかなって。

──最初に女性目線と言いましたが、今の話を聞くとあいみょんさん自身のことを歌っているのかもしれないですね。

基本的には妄想で曲を書いているつもりなんですけど、結局は自分から出てくるものなので自分自身を歌っていることもあるんですよね。でもそれを認めたくないんですよね(笑)。

──そしてこちらもアコースティックなサウンドのシンプルなアレンジに仕上がりましたね。

シングルは基本的に2曲入りなので、流れで聴いていて違和感がない組み合わせにしようと思ったんです。「満月の夜なら」にそのままつながっているような感じになる曲を選びました。

──「満月の夜なら」が男性目線で、「わかってない」が女性目線だと捉えると、ある種対になっている感じもします。

あいみょん

それは狙いです。実際は曲ができた時期も全然違うし、つながっていないんですけど、アンサーソングのようにも取れる関係の曲たちになったなと思っています。「満月の夜なら」に出てくる“君”の感情を歌ったのが「わかってない」に聴こえると言うか。カップリングも大事な曲なので、この2曲をセットで聴いてもらえたらなって思います。

──そうやって聴かせたい形態でのリリースができる環境なのは素晴らしいですね。若手のアーティストはタイアップが決まってシングルを切る、という形が多いのかなと思うので。この2曲はシングルだからこそアンサーソングらしさが出ていて、これが10曲入りのアルバムに収録された2曲だとそういう見え方はあまりしなかったのかなと思いますし。

私は曲ごとに「この曲でシングルを出したい」とか「この曲はアルバムの流れで聴かせたい」とか、そういう思いが強いので、その希望が通っているのは本当に感謝しています。もちろん自分の曲が何かに使っていただけるのであればそれはうれしいんですけど、それに固執しちゃうと好きな曲がリリースできなくなっちゃいますし。自分が世の中に出したいと思った曲を自分が理想とする形でリリースしていきたいんですよね。

あいみょん「満月の夜なら」
2018年4月25日発売 / Warner Music Japan
あいみょん「満月の夜なら」

[CD]
1080円 / WPCL-12877

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収録曲
  1. 満月の夜なら
  2. わかってない
  3. 満月の夜なら(Instrumental)
あいみょん「愛を伝えたいだとか Remix EP」
2018年5月23日発売 / Warner Music Japan
あいみょん「愛を伝えたいだとか Remix EP」

[アナログ]
1944円 / WPJL-10102

Amazon.co.jp

収録曲

SIDE A

  1. 愛を伝えたいだとか Neetz ft. Ryohu "studio991" Remix
  2. 愛を伝えたいだとか Lil'Yukichi Remix

SIDE B

  1. 愛を伝えたいだとか
  2. 愛を伝えたいだとか(Instrumental)
あいみょん
あいみょん
兵庫県西宮市出身のシンガーソングライター。歌手を夢見ていた祖母や音響関係の仕事に就いている父の影響で音楽に触れて育ち、中学時代にソングライティングを始める。2015年3月に発表したタワーレコード限定シングル「貴方解剖純愛歌~死ね~」など、センセーショナルな世界観の楽曲でSNSを中心に話題を集め、同年「tamago」「憎まれっ子世に憚る」という2枚のミニアルバムを発表した。2016年11月に1stシングル「生きていたんだよな」でワーナーミュージック内のレーベルunBORDEよりメジャーデビュー。2017年5月にメジャー2ndシングル「愛を伝えたいだとか」をリリース。8月に発表したシングル「君はロックを聴かない」の表題曲は全国42局のラジオ局でパワープレイを獲得した。9月に1stフルアルバム「青春のエキサイトメント」を発売。10月には東京と大阪で初のワンマンライブ「TOUR2017『excitement of youth』」を行い、満員御礼となった。アルバムのロングヒットが実を結び、2018年に入ってからは、テレビ朝日系「関ジャム 完全燃SHOW」や「ミュージックステーション」をはじめ、多数の地上波番組に出演。東名阪福に規模を拡大して行ったワンマンツアー「AIMYON TOUR 2018 -TELEPHONE LOBSTER-」のチケットも完売するなど、さらなる人気を獲得している。4月にはニューシングル「満月の夜なら」をリリースする。