あいみょんが4月25日にニューシングル「満月の夜なら」をリリースする。
昨年9月発売の「青春のエキサイトメント」以来の新作「満月の夜なら」。表題曲は官能的な香りの漂う歌詞をタイトなリズムと軽快なギターのストロークに乗せて歌うナンバーだ。リリース発表と同時にサビだけ聴くことのできる“very short movie”が公開され話題を集めたこの楽曲は、ライブでもすでに披露されている。音楽ナタリーではリリースに先駆けてあいみょんにインタビューを実施。今年に入ってからテレビ朝日系「関ジャム 完全燃SHOW」や「ミュージックステーション」に出演し、これまで以上に多くのファンを魅了しているあいみょんにシングルの制作についての話、自身を取り巻く状況、これからの夢について語ってもらった。
取材・文 / 清本千尋 撮影 / マスダレンゾ
スタイリング / 服部昌孝
口コミはホンマにありがたい
音楽ナタリーでインタビューをするのは、昨年9月発売の1stフルアルバム「青春のエキサイトメント」のリリース時以来になりますが、アルバムの反響はいかがでしたか?(参照:あいみょん「青春のエキサイトメント」特集)
発売から6カ月経っても(取材は2018年3月)、まだ皆さんに聴いていただいているみたいなんです。じわじわ愛されていくアルバムになったんやなと思うと、本当にうれしい気持ちでいっぱいです。
──発売時から注目を集めていた作品だったように思いますが、1月放送のテレビ朝日系「関ジャム 完全燃SHOW」で蔦谷好位置さんやいしわたり淳治さんがあいみょんさんの曲を2017年のベストソングの中に挙げていたり、RADWIMPSの野田洋次郎さんがSNSで絶賛していたりと、芸能人をはじめ、さまざまな人の口コミであいみょんという存在が世の中に広がっていった気がしました。
そうなんですよね。口コミってホンマにありがたいなって改めて実感しました。私のお客さんには若い女の子のファンが多いんですけど、あの子たちの口コミ力ってすごいんですよ。
──ファン層に変化はありましたか?
大きな変化はないと思うんですけど、年齢層がどんどん若くなっている気がしますね。若い男の子のファンも増えました。最近だと、中高生の子がよくライブに来てくれて。若い子が観に来てくれるのはうれしいんですけど、若い子はグッズが欲しくても買えへんやろうなって考えるともどかしい気持ちになります。お小遣いだって限られてるだろうし。だからこそ中高生たちと会える機会を作ってあげたいなって日々考えています。
──2月にはテレビ朝日系「ミュージックステーション」に出演されました。SNS上でも大きな反響がありましたね。
一番うれしいのは私自身のはずなのに、みんなが喜んでくれているこの状況は不思議だなと思いました。出演はホンマに急遽決まって。たまたま予定が空いていてよかったです。
──「Mステ」に出ることが決まったとき、親御さんや地元の友達には報告しましたか?
しました。みんなすごく盛り上がってましたね(笑)。でも出たからと言って、SNSのフォロワーが増えたことを別にすると、それがどれくらい自分の活動に影響があったのかはまだわからないです。自分の中でも心境の変化もなかったし。だからこそその翌日からすぐに曲作りを始められたし、わりと落ち着いています。
──とは言え、ツアーのチケットもソールドしていて、人気度の上昇具合は顕著に表れていますよね。みんなあいみょんさんに会いたいんだなと思いました。
あの短い尺のパフォーマンスで、映像や音源だけじゃなくて、実際にライブを観てみたいって思ってもらえたのであればホンマにうれしいです。
官能的な歌詞をシンプルなサウンドに乗せて
──人気が急上昇しているタイミングで、今回のシングル「満月の夜なら」がリリースされます。まず表題曲についてお話を聞かせていただければと思うのですが、この曲ができたきっかけはなんだったんでしょうか?
今年の1月に「次のシングルの曲を書こう」と思って、10曲作ったんですよ。曲作りのモードに入っていたのか、思うがままにどんどん曲が出てきたんですが、その中でもメロディができたときに「あ、いいの来たかもしれへん」っていう感覚があった曲です。スタッフさんに「いいのできたかも」って送ったら、みんなが「いいね」って言ってくれて、シングルの表題曲に決まりました。
──歌詞やメロディはそのときのままなんですか?
いや、その時点からメロディも歌詞も変わりましたね。歌詞は官能的な内容なんですが、これって自分の原点に近いものなんですよね。今このタイミングで原点にあったものがハマったという感じです。
──官能的な内容を言葉のチョイスでおしゃれな雰囲気を持った歌詞に仕上げたのはあいみょんさんの手腕ですよね。出てくる言葉の意味1つひとつが聴き手に委ねられていると言うか。
いつも歌詞の内容は聴き手に妄想させてなんぼやなと思っているんですけど、今回は特にそうですね。この曲は「アイスクリームってなんの例えなんだろう?」とか「スパンコールってもしかしたらあれのこと?」とか「『満月の夜なら』っていうタイトルは歌詞のどこにかかっているんだろう?」とか、いろいろ妄想を膨らませてもらって、何回も繰り返し聴いていただけたら本望です。
──この曲は冒頭の「君のアイスクリームが溶けた」をはじめ、すべての表現がなんだか日本映画っぽい表現だなと思いました。日本の映画って、例えば男女が愛し合うシーンを直接的な描写をせずに、ほかのもので表すことがありますよね。それと似ているなと。
直接的ではない表現は日本映画によくある手法ですよね。私は洋画より邦画派で、そういうところからインスピレーションを受けることがよくあって。あとそういう描写はやっぱり官能小説がすごいんです。それと……平井堅さんと桑田佳祐さんの歌詞はホンマにすごい。2人の歌詞の表現方法は素晴らしいです。
──ギターとドラムのリズムがメインで、シンプルな音作りも特徴ですよね。
今までの音源と比べるとかなりシンプルなアレンジになりました。今回もアレンジはいつもお世話になっている田中ユウスケ(agehasprings)さんにお願いしました。まず私が作ったデモを投げて、特にこちらからの要望は伝えず、この曲からイメージされるアレンジを田中さんにしてもらったんです。そしたらCDになったものよりも、さらにシンプルなアレンジがあがってきたんですよ。そのあと田中さんと一緒にスタジオに入って、仮歌録りをしたときに、いろいろ私のリクエストを伝えて、それに田中さんがアイデアを出して……お互いの意見を出し合いながら作り上げました。それでもかなりシンプルになったのは、この曲はこういうアレンジのほうが生きるなと思ったから。歌詞を聴かせるにしても、リズム的にも、このシンプルな感じが一番効果的かなと。
──あいみょんさんの曲はギターのサウンドが前に出ているものが多い印象だったので、リズムで持っていく感じの曲は新鮮でした。
そうですね。ド頭がリズムだけで始まる曲はあんまりなかったかも。冒頭部分のリズムと声だけで始まる感じはミックスのときにいろいろ試してここに落ち着きました。
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「満月の夜なら」MVで描く“狼になるまで”
- あいみょん「満月の夜なら」
- 2018年4月25日発売 / Warner Music Japan
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[CD]
1080円 / WPCL-12877
- 収録曲
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- 満月の夜なら
- わかってない
- 満月の夜なら(Instrumental)
- あいみょん「愛を伝えたいだとか Remix EP」
- 2018年5月23日発売 / Warner Music Japan
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[アナログ]
1944円 / WPJL-10102
- 収録曲
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SIDE A
- 愛を伝えたいだとか Neetz ft. Ryohu "studio991" Remix
- 愛を伝えたいだとか Lil'Yukichi Remix
SIDE B
- 愛を伝えたいだとか
- 愛を伝えたいだとか(Instrumental)
- あいみょん
- 兵庫県西宮市出身のシンガーソングライター。歌手を夢見ていた祖母や音響関係の仕事に就いている父の影響で音楽に触れて育ち、中学時代にソングライティングを始める。2015年3月に発表したタワーレコード限定シングル「貴方解剖純愛歌~死ね~」など、センセーショナルな世界観の楽曲でSNSを中心に話題を集め、同年「tamago」「憎まれっ子世に憚る」という2枚のミニアルバムを発表した。2016年11月に1stシングル「生きていたんだよな」でワーナーミュージック内のレーベルunBORDEよりメジャーデビュー。2017年5月にメジャー2ndシングル「愛を伝えたいだとか」をリリース。8月に発表したシングル「君はロックを聴かない」の表題曲は全国42局のラジオ局でパワープレイを獲得した。9月に1stフルアルバム「青春のエキサイトメント」を発売。10月には東京と大阪で初のワンマンライブ「TOUR2017『excitement of youth』」を行い、満員御礼となった。アルバムのロングヒットが実を結び、2018年に入ってからは、テレビ朝日系「関ジャム 完全燃SHOW」や「ミュージックステーション」をはじめ、多数の地上波番組に出演。東名阪福に規模を拡大して行ったワンマンツアー「AIMYON TOUR 2018 -TELEPHONE LOBSTER-」のチケットも完売するなど、さらなる人気を獲得している。4月にはニューシングル「満月の夜なら」をリリースする。