「太陽と雨」の次のステージを“image”できる
──続く8曲目は新曲の「i-mage <in/AR>」です。こちらの作詞、作曲、編曲は澤野弘之さんですが、「ninelie」(2016年5月発売の9thシングル)以来およそ2年10カ月ぶりのコラボになりますね。
まったくの新録はすごくひさしぶりですね。といっても、もともとこの曲は澤野さんのアルバム(2019年3月発売のSawanoHiroyuki[nZk]のアルバム「R∃/MEMBER」)に私が参加して新録した「i-mage」という曲をリアレンジして、ボーカルも録り直して「Penny Rain」に入れさせてもらったんです。この曲は、歌詞の「陽射しと雨の 次を浴びせる」という1行がまさに今回のアルバムコンセプトにシンクロしているんですけど、歌ってみるとそのインパクトが思ったより強くて。私にとっては「太陽と雨」の次のステージを、それこそ“image”できるような、もっと先を見据えることができる曲なんですよ。それを鑑みて「i-mage <in/AR>」は当初はアルバムの序盤に持ってくる予定だったんですけど、8曲目という終盤に入れさせてもらいました。
──ちなみに「i-mage <in/AR>」の「in/AR」は、「Rain」のアナグラムですか?
そうです。「AR」は、「Aimer」の綴りの最初と最後の文字を取っているのかな? きっとそうだと思うんですけど、今度澤野さんに確認します(笑)。
──レコーディングには澤野さんも立ち会われたんですか?
はい。リアレンジも澤野さんにお任せしたので。やっぱり、澤野さんに書いていただいた「RE:I AM」(2013年3月発売の5thシングル)があって今の自分があるし、この曲こそAimerの“強さ”の原点だと思っているんですよね。だから、その澤野さんもご自分のアルバムを出されたタイミングで、また新曲を一緒に作れてうれしかったです。
──「i-mage <in/AR>」は紛れもなく澤野楽曲ですが、今おっしゃった「RE:I AM」や「StarRingChild」(2014年5月発売の6thシングル)のようなヘビーなロックバラードとは雰囲気が違いますね。
今までの澤野さんの曲と比べると、ここまで曲調的にも歌詞的にも開けたものを私にくださったのは、もしかしたら初めてかもしれませんね。「i-mage <in/AR>」にはホントにポジティブなメッセージがあるし、曲調にしてもどんどん光が差してくるような曲だし。だから歌っていてけっこう新鮮で、おのずと声の感じもちょっと高めになりました。コラボレーションしがいのある、新しい曲だなと思いましたね。
──特に1コーラス目は、澤野さん特有の“圧”がほとんどない。さわやかですらありますね。
そうなんです。「i-mage <in/AR>」はアレンジとしては原曲からそこまで大きく変わってはいないんですけど、澤野さんが「雨」に寄せてくださったのか、1コーラス目は音数を減らしたりして、原曲よりも軽やかな感じになりました。でも曲自体は、おっしゃる通り紛れもなく澤野さんの曲なんですよね。なので、澤野さんのアルバムで私のことを知ってくださった方も、こちらの<in/AR>バージョンも楽しんでいただけたらうれしいですし、その逆も然りです。私自身、さっきも言いましたけど、このタイミングでまた澤野さんとご一緒できたことがすごくうれしいし、この曲がまたいろんなきっかけになってくれるような予感があります。
最後はしっとりとした雨で
──そして、梶浦由記さんプロデュースの「花の唄」(2017年10月発売の13thシングル「ONE / 花の唄 / 六等星の夜 Magic Blue ver.」収録曲)を挟んで、新曲の「April Showers」で「雨」のアルバムは幕を閉じます。最後にものすごくAimerさんらしいバラードを持ってこられたなと。
確かにその通りですね。それこそキャリアの初期の、まだ夜の歌を歌っていた頃のような。例えばベストアルバムの「noir」に収録した「zero」のような強い曲で終わるという選択肢もあり得たと思うんですけど、実は今回のアルバムにはオーセンティックな、正統的なバラードはそんなに入っていないんですよ。もちろん「Ref:rain」や「Sailing」のような曲もあるけれど、もっとしっとりしたバラードで最後を締めくくるのがいいかなって。
──ピアノとストリングスのみのアレンジというのも初期のAimerさんのそれですよね。
そうなんです。当時はギターが入っていない曲も多かったですし。だからというわけでもないんですけど、この曲は、ストリングスも打ち込みではなくて、ちゃんと生で録らせていただいて。うん、やっぱりしっとりとした雨で終わりたかったんです。ちなみに「Penny Rain」のジャケットを撮影した日は大変な豪雨で、みんなずぶ濡れになってたんですけど(笑)。
──ははは(笑)。Aimerさんにとって「April Showers」すなわち「4月の雨」とはどういうものですか?
もともと「April showers bring May flowers」、つまり「4月の雨が5月の花を連れてくる」ということわざがあって、そのことわざをモチーフに歌詞を書きました。4月にリリースするアルバムで、「雨」がコンセプトで、なおかつその先に訪れるものをイメージできるので。
──確かに歌詞の中の「雲雀」は「四月の雨」に濡れながらも、最後は「花咲く五月へと」羽ばたいていますね。テンションはまったく違いますが、「SUN DANCE」の歌詞と相通じるものがあります。
やっぱり、アルバムを作って今はすごく満足感があるけど、その先をまた考えていかないといけないというか、ここで終わりじゃないので。だから、おっしゃる通り「SUN DANCE」で「It's starting over」と歌ったみたいに、「April Showers」でもまた「羽を広げて」先に進んでいかなきゃいけないという気持ちも込めていますね。
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原点を大事にしながら挑戦し続けたい
- Aimer「Sun Dance & Penny Rain」
- 2019年4月10日発売 / SME Records
-
完全生産限定盤
[CD2枚組+Blu-ray2枚組]
9720円 / SECL-2409~13 -
初回限定盤A
[CD2枚組+Blu-ray]
5184円 / SECL-2414~6 -
初回限定盤B
[CD2枚組+DVD]
4752円 / SECL-2417~9 -
配信
- 「Sun Dance」収録曲
-
- soleil
- ONE
- We Two
- 3min
- コイワズライ
- 花びらたちのマーチ
- 思い出は奇麗で
- Monochrome Syndrome
- SUN DANCE
- One -epilogue-
- 「Penny Rain」収録曲
-
- pluie
- I beg you
- Black Bird
- Sailing
- 眩いばかり
- Stand By You
- Ref:rain
- i-mage <in/AR>
- 花の唄
- April Showers
- 完全生産限定盤 Blu-ray 収録内容
-
DISC 1
- I beg you
- Black Bird(Movie ver.)
- zero
- ONE
- 眩いばかり
- 思い出は奇麗で(Father's day edit)
- Ref:rain
- 花びらたちのマーチ
- 歌鳥風月
- 花の唄
DISC 2
- soleil(soleil et pluie)
- ONE(soleil et pluie)
- Monochrome Syndrome(soleil et pluie)
- Believe Be:leave(soleil et pluie)
- 3min(soleil et pluie)
- あなたに出会わなければ~夏雪冬花~(soleil et pluie)
- 今日から思い出 Evergreen ver.(soleil et pluie)
- カタオモイ(soleil et pluie)
- 思い出は奇麗で(soleil et pluie)
- Ref:rain(soleil et pluie)
- 眩いばかり(soleil et pluie)
- 花の唄(soleil et pluie)
- Black Bird(soleil et pluie)
- After Rain -Scarlet ver.-(soleil et pluie)
- Hz(soleil et pluie)
- 蝶々結び(soleil et pluie)
- 初回限定盤A Blu-ray / 初回限定盤B DVD 収録内容
-
- I beg you
- Black Bird(Movie ver.)
- zero
- ONE
- 眩いばかり
- 思い出は奇麗で(Father's day edit)
- Ref:rain
- 花びらたちのマーチ
- 歌鳥風月
- 花の唄
- Aimer「Sun Dance」
- 2019年4月10日発売 / SME Records
-
通常盤 [CD]
2160円 / SECL-2420
- 収録曲
-
- soleil
- ONE
- We Two
- 3min
- コイワズライ
- 花びらたちのマーチ
- 思い出は奇麗で
- Monochrome Syndrome
- SUN DANCE
- One -epilogue-
- Aimer「Penny Rain」
- 2019年4月10日発売 / SME Records
-
通常盤 [CD]
2160円 / SECL-2421
- 収録曲
-
- pluie
- I beg you
- Black Bird
- Sailing
- 眩いばかり
- Stand By You
- Ref:rain
- i-mage <in/AR>
- 花の唄
- April Showers
- Aimer(エメ)
- 女性シンガーソングライター。幼少期よりピアノやギターでの作曲や英語での作詞を始め、15歳のとき声が一切出なくなるというアクシデントを経験し、それがきっかけとなり独特の歌声を獲得する。2011年から音楽活動を本格化させ、同年9月にシングル「六等星の夜 / 悲しみはオーロラに / TWINKLE TWINKLE LITTLE STAR」でメジャーデビューを果たした。2014年6月に2ndアルバム「Midnight Sun」と、澤野弘之とのコラボレーションアルバム「UnChild」を同時発売し、同年9月には菅野よう子、青葉市子らが参加する新作「誰か、海を。」を発表した。2016年7月にONE OK ROCKのTaka(Vo)と凛として時雨のTK(Vo, G)が提供およびプロデュースした楽曲を収めた両A面シングル「insane dream / us」、8月にRADWIMPSの野田洋次郎(Vo, G)制作の「蝶々結び」を収めたシングルをリリース。9月にTaka、野田のほか、andropの内澤崇仁(Vo, G)、スキマスイッチが楽曲提供およびプロデュースをした新曲を含むアルバム「daydream」を発表し話題を集める。2017年5月にベストアルバム「BEST SELECTION "blanc"」と「BEST SELECTION "noir"」を同時リリース。8月に初の東京・日本武道館単独公演を行い、13000人を動員した。2018年2月にCocco提供の「眩いばかり」を含むニューシングル「Ref:rain / 眩いばかり」を、9月に映画「累-かさね-」の主題歌「Black Bird」を収録したシングルをリリース。2019年1月に劇場版「『Fate/stay night[Heaven's Feel]』II.lost butterfly」の主題歌「I beg you」を収めたトリプルA面シングルを発表した。4月に2年半ぶりとなるオリジナルアルバム「Sun Dance」「Penny Rain」を2枚同時リリース。