今のAimerの決意を込めた新曲「zero」
──「noir」に収録された新曲「zero」は、まさにAimerさんの激しい路線を突き詰めたような、非常にアグレッシブなデジロックナンバーです。
こちらも、やっぱり新しい一面をお見せしたくて。例えば「March of Time」が徐々に歌えるようになってきた温かいバラードとして、「歌鳥風月」が日本的な美意識を前面に押し出したという意味で新しかったとしたら、この「zero」は、おっしゃる通りより激しい表現に挑戦した曲です。と言うのも、TKさんから「us」(2016年7月リリース)という曲をいただいて、「私、ここまで激しくなれるんだ!」っていうことに気が付いて(笑)。
──えらいことになっていましたね(笑)。その意味では「us」もターニングポイントとなった1曲かもしれないですね。
おっしゃる通りです。特にライブでは、今は「us」がキーになっている部分があるので、そういう曲をもっと歌いたいなと。作詞に関して言うと、私は、先ほどお話に出た「Brave Shine」だったり、あるいは「noir」に入っている「眠りの森」(2013年8月リリース)だったり、局面局面で自分の決意を表す詞を書いてきたんですね。
──「眠りの森」は、「どんなに不安でも、後ろは振り返らない」と、とにかく前進するんだという決意が表れています。
今振り返ると「眠りの森」は、1stアルバム「Sleepless Nights」をリリースしたあとに初めて作詞した曲ということもあって、シンプルに言えば「先が見えなくても、私は走っていくから」という、当時の私の意思が込められていますね。この「zero」も同じように、今の決意を書いてます。ただ今回は、私の歌を聴いてくださる方へ向けての決意という意味合いが強いです。
──やはりベクトルが外に向いている?
そういうことになりますね。
武道館は、誰も寂しくならないような場所にしたい
──先ほど、「歌鳥風月」は「3年くらいしたら録り直したくなるかもしれない」と冗談めかしておっしゃいましたが、「blanc」と「noir」にはそれこそ3年前、さらにさかのぼって5年前に歌われた歌も収録されています。それらを改めて聴いてみて、何か思うところはありましたか?
いや、「blanc」と「noir」には、私が歩いてきた5年間をそのまま届けるという意味があるので、やっぱり、そのまま聴いていただきたいっていう気持ちはあります。ただ、昔の曲は……あの、ライブでも聴いてほしいなって思うときはあります(笑)。
──あはは(笑)。でも、そのときにしか歌えない歌というのもあると思うんです。
はい。そういう意味で、過去の歌も大事にしたいですよね。一方、ライブはライブで、今しか歌えない歌を歌おうと、いつも心がけているので。
──たしかにライブは、“今”そのものですもんね。
そこでしか存在できない歌というのがあると思っているので、だからライブにもぜひ足を運んでいただきたいなって。
──そんなAimerさんの今の歌を届ける場として、8月には日本武道館でのワンマンライブがありますが、どのようなライブにしたいですか?
構想自体はまだ練っているところなんですけど、来てくださった方全員が、リアルに歌声を感じられるようなライブにしたいです。大きな会場だと、ステージから遠い席からはアーティストが豆粒のように見えてしまったりして、ちょっと寂しい気分になってしまうこともあるじゃないですか。なので、そういう気分にさせない、誰も寂しくならないような場所にしたいなと。あとは単純に、先ほど言ったようにベスト盤を出したタイミングだからこそ、今歌える私の歌を、きちんと整えて皆さんにお届けします。
自分の歌は、自分1人のものではないという意識が芽生えた
──その武道館の先、例えば次の5年間の活動については、何か思い描いていることはありますか?
繰り返しになってしまうんですけど、やっぱり私は人に恵まれていて、作曲家さんに限らず、ファンやスタッフの方々も含めた、皆さんとの出会いに導かれてここまで来たという思いが強いんですね。だからこの先も、そうした偶発的な要素も大事にしていきたいなと。
──運命に身を任せる、的な。
自分の中では、具体的には内緒ですけど(笑)、ちゃんと先を見据えて考えてる部分もあって。ただ、今の心持ちとしては、やはりライブを精力的にやっていきたいなと思います。それは、もっと大きなところを目指したいという意味でも。
──それも、ベクトルが外向きになったという発言とつながりますね。
この5年間を通して、自分の歌というものが、自分1人のものではないっていう意識が芽生えてきているんです。例えば、誰かが「Aimerの音楽に救われた」と言ってくれたとしたら、それは私の歌がその人の人生に関わりを持ったということでもありますし。あるいは、私の声を求めてくださってる人がいるならば、一番いい響きで届けなきゃいけないっていう使命を感じますし、もっと届けたいっていう思いも強くなっていて。なので、シンプルに言うなら、なんだろな……シンプルに言えません。すみません(笑)。
──はっはっは(笑)。
抽象的な言い方になってしまうかもしれないんですけど、もっと外に向けて歌を届けられる可能性があるなら、その可能性を拒みたくないという気持ちがあります。
──最後に、ベタな質問ですが、デビューするタイミングの自分自身に何か言葉をかけるとしたら、どんな言葉をかけますか?
うーん、難しいですね……私はよくライブの前に、バンドの皆さんやスタッフさんに「丁寧にやろうね」って言うんですけど、デビュー前の私にも、人にもモノにも丁寧に接してほしいなって思います。
──いいですね。というか、Aimerさんの活動を振り返るに、丁寧に歌を届けてきた結果として今があると思います。
だとしたらうれしいです。私の中で「丁寧にやる」とは、真摯になることを意味しているんです。誰かに対しても自分に対しても、全力で、まっとうな気持ちで向き合うことが「丁寧」だと思っているので、そういう気持ちでいてほしい。というか、これからもいたいですね。
- Aimer「BEST SELECTION "blanc"」
- 2017年5月3日発売 / SME Records
-
初回限定盤A
[CD+Blu-ray]
3980円 / SECL-2139~40 -
初回限定盤B [CD+DVD]
3580円 / SECL-2141~2 -
通常盤 [CD]
2980円 / SECL-2143
- DISC 1(CD)収録曲
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- 六等星の夜
- 蝶々結び
- あなたに出会わなければ~夏雪冬花~
- ポラリス
- Re:pray
- 星屑ビーナス
- broKen NIGHT
- カタオモイ
- 君を待つ
- 茜さす
- 雪の降る街
- everlasting snow
- March of Time
- 歌鳥風月
- DISC 2(初回限定盤Blu-ray / DVD)収録内容
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- 「蝶々結び」MUSIC VIDEO
- 「Re:pray」MUSIC VIDEO
- 「あなたに出会わなければ~夏雪冬花~」MUSIC VIDEO
- 「ポラリス」MUSIC VIDEO
- 「君を待つ」MUSIC VIDEO
- 「カタオモイ」MUSIC VIDEO
- 「broKen NIGHT」MUSIC VIDEO
- 「茜さす」MUSIC VIDEO
- 「雪の降る街」MUSIC VIDEO
- 「everlasting snow」MUSIC VIDEO
- 「六等星の夜」MUSIC VIDEO
- 「寂しくて眠れない夜は」LIVE from Aimer Hall Tour 2016@東京国際フォーラム ホールA(2016/11/06)
- 「夏草に君を想う」LIVE from Aimer Hall Tour 2016@東京国際フォーラム ホールA(2016/11/06)
- Aimer「BEST SELECTION "noir"」
- 2017年5月3日発売 / SME Records
-
初回限定盤A
[CD+Blu-ray]
3980円 / SECL-2144~5 -
初回限定盤B [CD+DVD]
3580円 / SECL-2146~7 -
通常盤 [CD]
2980円 / SECL-2148
- DISC 1(CD)収録曲
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- StarRingChild
- Brave Shine
- insane dream
- Stars in the rain
- 眠りの森
- LAST STARDUST
- 凍えそうな季節から -extended ver.-
- 誰か、海を。
- ninelie
- holLow wORlD
- us
- s-AVE
- RE:I AM
- zero
- DISC 2(初回限定盤Blu-ray / DVD)収録内容
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- 「凍えそうな季節から」MUSIC VIDEO
- 「Stars in the rain」MUSIC VIDEO
- 「Brave Shine」MUSIC VIDEO
- 「us」MUSIC VIDEO
- 「誰か、海を。」MUSIC VIDEO
- 「眠りの森」MUSIC VIDEO
- 「insane dream」MUSIC VIDEO
- 「RE:I AM」MUSIC VIDEO
- 「ninelie」MUSIC VIDEO
- 「StarRingChild」MUSIC VIDEO
- 「s-AVE」MUSIC VIDEO
- 「ninelie」LIVE from Aimer Hall Tour 2016@東京国際フォーラム ホールA(2016/11/06)
- 「Cold Sun」 LIVE from Aimer Hall Tour 2016@東京国際フォーラム ホールA(2016/11/06)
- Aimer Live in 武道館 “blanc et noir”
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- 2017年8月29日(火)東京都 日本武道館
- Aimer(エメ)
- 女性シンガーソングライター。幼少期よりピアノやギターでの作曲や英語での作詞を始め、15歳のとき声が一切出なくなるアクシデントの末に独特の歌声を獲得する。2011年から音楽活動を本格化し、同年9月にシングル「六等星の夜 / 悲しみはオーロラに / TWINKLE TWINKLE LITTLE STAR」でメジャーデビューを果たす。以降、「夏雪ランデブー」「機動戦士ガンダムUC」といったアニメ作品のテーマソングを担当する。2014年6月に2ndアルバム「Midnight Sun」と、澤野弘之らとのコラボレーションアルバム「UnChild」を同時発売し、同年9月には菅野よう子、青葉市子らが参加する新作「誰か、海を。」を発表した。2015年7月に3rdフルアルバム「DAWN」をリリース。2016年7月にONE OK ROCKのTaka(Vo)と凛として時雨のTK(Vo, G)が提供およびプロデュースした楽曲を収めた両A面シングル「insane dream / us」、8月にRADWIMPSの野田洋次郎(Vo, G)制作の「蝶々結び」を収めたシングルをリリース。9月にTaka、野田のほか、andropの内澤崇仁(Vo, G)、スキマスイッチが楽曲提供およびプロデュースをした新曲を含むアルバム「daydream」を発表し話題を集める。2017年5月にベストアルバム「BEST SELECTION "blanc"」と「BEST SELECTION "noir"」を同時リリース。8月に初の東京・日本武道館単独公演を行う。