ナタリー PowerPush - Aimer
大人と子供、永遠と刹那、優しさと寂しさ 相反する何かを歌う
Aimerのニューシングル「StarRingChild」が5月21日にリリースされる。
「StarRingChild」の表題曲は5月17日より全国公開される「機動戦士ガンダムUC episode 7 ~虹の彼方に~」の主題歌に採用されている。今作でAimerは「ガンダムUC episode 6」主題歌「RE:I AM」に続いて、「ガンダムUC」シリーズの劇伴を手がける澤野弘之と再びタッグを結成。自身のディスコグラフィでは珍しいエモーショナルなギターロックサウンドを作り上げている。アニメシーンに燦然と輝くビッグタイトルの主題歌を手にネクストステージに臨む彼女は今何を思うのか。話を聞いた。
取材・文 / 成松哲
ハードな楽曲を歌う楽しみ
──Aimerさんにナタリーにご登場いただくのは昨年11月のミニアルバム「After Dark」リリース時以来なんですけど(参照:Aimer「After Dark」インタビュー)、今回のシングル「StarRingChild」を発表するまでってどんな半年でした?
年明け早々には「StarRingChild」の制作が始まっていたので、すごくドタバタしていた印象があります。前回のインタビューのときに「After Dark」は今までの私の活動の軌跡をまとめるための1枚になっているというお話をさせていただいたかと思うんですけど、だから2014年はそれ以降。これまでの活動を踏まえた上でどんどん動いていこうっていう感じだったので。
──「StarRingChild」って確かに「After Dark」以降の楽曲ですよね。例えば「機動戦士ガンダムUC episode 6 ~宇宙と地球と~」の主題歌で1つ前のシングルだった「RE:I AM」もタフな楽曲ではあったんだけど、「episode 7」の主題歌である「StarRingChild」はそれ以上にタフ。また新しいAimer楽曲に仕上がっている気がします。
確かにそうですね。ただ今回作詞と作曲と編曲を手がけてくださった澤野(弘之)さんとは「RE:I AM」のときにもご一緒していて。そのときにこういった壮大な楽曲を歌うっていう経験を初めてさせていただいていたので、不安は取り払えていたというか。「RE:I AM」を歌ったことで自分自身ひと皮剥けたと感じられたので、またこうやって澤野さんの激しい楽曲を歌えることはすごく楽しみでしたし、レコーディング自体もわりとスムーズだった気がします。
“シンガー”と“シンガーソングライター”
──Aimerさんは基本的にご自身で作詞していますよね。そういう方が「StarRingChild」のようなほかの方が書いた詞を歌うときって、自作詞曲に向かうときとはまた心持ちが違うものですか。
澤野さんの「StarRingChild」や「RE:I AM」とか、阿部真央さんの「words」とか、これまで4回くらいほかの方に歌詞を書いていただいてるんですけど、歌うたびに、“歌うこと自体”が好きな自分に気付かされる感じはあります。“シンガー”に徹することもできるんだなあ、と自覚させられるというか。もちろん自分の中にはエゴイスティックな部分もあるんですけど、それを伝えたいなら、“シンガーソングライター”として自分で詞を書けばいい。自分で詞を書くときには自分が感受している世界のことをそのまま歌いたいなと思うんですけど、人にいただいた歌詞をシンガーとして歌うときには、その歌詞の中にある感情を抽出して歌いたい。自分の中にシンガーとシンガーソングライターという2つの側面があって、それをコントロールしながら活動しているんだな、っていう気はしていますね。
──提供された詞が内包している感情や寓意ってどうやって抽出するんですか。
とにかく念入りに読み込んでいます。レコーディング前に何度も歌詞を読んで、そこに描かれている風景や感情を自分なりに解釈する作業を丁寧に行っていくと、だんだん歌詞の世界に入り込めるというか、自分を投影できるようになるんです。ただそれができるのは、これまであまりにも自分からかけ離れている歌詞に出会ったことがないからのような気もしていて。澤野さんの歌詞しかり、真央さんの歌詞しかり、自分の歌詞に共通している部分がある。すごく共感できる部分があるから入り込めるっていう面は大きいのかもしれないですね。
- ニューシングル「StarRingChild EP」 / 2014年5月21日発売 / DefSTAR Records
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1620円 / DFCL-2060~1
- 通常盤 [CD] 1350円 / DFCL-2062
- 期間生産限定盤 [CD] 1620円 / DFCL-2063
CD収録曲
- StarRingChild
- Even Heaven
- Mine
- StarRingChild(Movie ver.)
- StarRingChild(instrumental)
- Even Heaven(instrumental)
初回限定盤DVD収録内容
- StarRingChild(Music Video)
Aimer(エメ)
女性シンガーソングライター。幼少期より両親の影響で音楽に親しみ、ピアノやギターでの作曲や英語での作詞を始める。15歳のときに声が一切出なくなるアクシデントに見舞われるが、回復とともに独特の甘い歌声を得る。2011年から本格的に音楽活動を開始。幅広いジャンルのクリエイターとコラボレーションし、楽曲提供やゲストボーカリストとしての活動を通じてその才能が知られるようになる。2011年9月にシングル「六等星の夜 / 悲しみはオーロラに / TWINKLE TWINKLE LITTLE STAR」でメジャーデビュー。2012年8月発売のシングル曲「あなたに出会わなければ ~夏雪冬花~」はテレビアニメ「夏雪ランデブー」のエンディングテーマに採用され、大きな注目を集めた。その後10月に初のフルアルバム「Sleepless Nights」、12月にカバーアルバム「Bitter & Sweet」と精力的なリリースを展開。2013年3月にはアニメ「機動戦士ガンダムUC episode 6 ~宇宙と地球と~」の主題歌「RE:I AM」を、同11月には新曲とライブ音源を収録したアルバム「After Dark」をリリースした。そして2014年5月、表題曲が「機動戦士ガンダムUC」シリーズ最終章となる「episode 7 ~虹の彼方に~」の主題歌に採用されたシングル「StarRingChild」を発表する。