ナタリー PowerPush - aiko
熱狂ライブの魅力を徹底解剖
「男子! 女子! そうでない人!」
まずaikoライブの“基本”としてご紹介したいのが、「男子! 女子! そうでない人!」コール。参加方法は、自分に該当するとき、両手を挙げて力いっぱい「イエーイ!」と叫ぶだけ。aikoは続けて「バンド! サイドスタッフ! 照明! PA席! 警備のお兄さん!」と呼びかける。普段険しい顔をしている警備員さえも巻き込んでしまうのがaiko流。そして最後は「全員!!」というコールで会場の誰もが大きな声を張り上げる。これで場内に一体感が生まれ、ライブはさらなる高みに向けて盛り上がっていく。
チビaikoのためのお立ち台
aikoの身長は152cm。自称“チビ”なaikoのために、ライブではステージ前方のど真ん中に突起した箱=“お立ち台”が設置されている。このお立ち台は、aikoが立ってじっくりと歌ったり、観客を煽ったり、片足をかけてロックに乱れたり、腰かけてドリンクを飲みながらMCしたりと、さまざまな場面で活躍する。また、チビaikoならではのポイントは、グッズのTシャツのサイズ展開にも。ドデカ、デカ、ナミ、チビ、ドチビとあるうち、ドチビは「aikoサイズ」、つまり小柄な女性向けという注意書きがある。ファンは豊富な5種類の中から自分にピッタリのサイズを探すことができる。
ぐちゃぐちゃのキーワードが1つに! この日だけの即興ソング作り
LLPでは、aikoのキーボード弾き語りパートで客席からお題を集めての即興ソングを作るのが名物。これはまず、aikoに指名されたファンがキーワードを出し、それを6~7人分集める。例えば2012年11月に長崎ブリックホールで行われたLLP15ファイナル公演のキーワードは「昨日雪が降った」「milk」「抱き枕」「波佐見焼(長崎の陶磁器ブランド)」「くまモン」「金環食」という6つ。そしてaikoはキーワードをすべて盛り込んだ歌詞を即座に作り、メロディに乗せてキーボードで弾き語る。その日にしか聴けない幻の1曲は、ライブに来たファンにとって一番のお土産と言ってもいいだろう。
お客さんとの会話で作るMC
aikoライブの醍醐味といえば親しみやすいMC。「男子! 女子! そうでない人!」コールの応用編として「旦那! 人妻! 彼女募集中! 彼氏募集中!」「小学生! 中学生! 浪人生! 会社員!」などの身分別や「保育士! 看護師! ドクター!」といった職業別、ときには「セブン! ローソン! ファミマ!」といったバイト先のコンビニ別でも聴取し、aikoが「そっちの子とこっちの子、友達になり!」と持ちかけることも。また、ファンも「aikoー! 今日誕生日ー!」「この前結婚しました!」「雨降ってたよー!」と積極的にステージのaikoへ声をかけるのは、aikoが丁寧にオーディエンスの声を拾い上げるという相互の信頼関係があるからだろう。
しゃべり過ぎランプ
aikoのライブでは、会話が盛り上がり過ぎてMCの予定時間を超過することもしばしば。そんなときスタッフがaiko本人に「そろそろ曲に行って!」と知らせているのが、彼女の足元にある“しゃべりすぎランプ”。赤い×マークが点灯するとオーバーしている合図で、aikoはそれを客席側にも見せて笑いを誘う。ちなみにこのランプは、×マーク以外にもドクロマークやカラフルな○マークを表示させることができる高性能なもの。
毎回違う長文メドレータイトル
LLPやLLRでたびたび披露されるメドレー。aikoはそのメドレーに公演ごとに異なるタイトルを付けている。例えばLLP15の場合、2012年7月19日のNHKホールでは「毎日毎日暑いね。どうでもいいけど夏の東京ディズニーランドってなんで花火上がらへんねやろメドレー」、2012年11月28日の長崎ブリックホールでは「LOVE LIKE POP vol.15最終日!! このメドレーを最後に長崎で歌う事が出来て本当に良かったです。聴いてくれてありがとうございました!!メドレー」といった形。このメドレー名は、終演後スクリーンに流れるセットリストにもぬかりなく反映されている。
○? ×? はたまたX? みんなで楽しむバンド紹介
通常バンドのメンバー紹介というと、名前とパートをコールされてソロプレイを披露することが多いが、aikoのライブではソロプレイとあわせて日替わりのお題に合った曲を披露し、観客がその選曲や演奏について○か、×か、問題外のX(エックス)かをジャッジするというゲーム感覚のお遊びを取り入れている。バンドメンバーはaikoがその日のお題を発表するまで何を演奏するか決められない上、場合によっては会場中を引かせてしまうこともあるのでドキドキ。ちなみにX判定の場合はX JAPANのライブでおなじみの“Xジャンプ”をするのがお決まりで、なぜかaikoのライブ会場で圧巻のXジャンプの海を見ることができる。
じんわり感動OP&ED演出
ライブの始まりと終わりはドラマチックな感動演出が見もの。オープニングはaiko楽曲をストリングスバージョンにアレンジした壮大なSEが流れる中、幕にツアーロゴが浮かび上がり、場内は一気にaikoワールドへ誘われる。そしてライブが終わった直後は、スクリーンにてこの日のセットリストがaikoの手書き文字で映し出され、あっという間に過ぎた楽しい時間の余韻に浸ることができる。DVD / Blu-ray「15」では、オープニングやエンディングの様子にも注目して観てみよう。
超太っ腹! 「お~いお茶」無料配布
夏の野外イベントは、気温も高く人も密集するためこまめな水分補給が大切。そこで8月のビーチで行われた「Love Like Aloha vol.3」「Love Like Aloha vol.4」では、来場者に伊藤園「お~いお茶」の500mlペットボトルが無料配布された。なぜ「お~いお茶」かというと、aikoが普段から愛飲しているお茶だから。これを知った伊藤園の厚意によって、なんと2万本の無料配布が実現した。フリーライブに無料でドリンク配布と、LLAはaikoの心意気が伝わるポイントが多々あるのだ。
茅ヶ崎に響くサザン&桑田リスペクトカバー
近年のLLAは、aikoの敬愛するサザンオールスターズの名が付いたサザンビーチちがさきで開催されている。これにちなんでこのライブでは、サザンや桑田佳祐のカバーが堪能できる。LLA3では「目指せ、夏オンナ!ここではこの曲を歌わないと!」と意気込んで「チャコの海岸物語」「いとしのエリー」を、LLA4では「この会場のこのライブ、この人の歌を歌わずして何を歌うー!!」と叫んで「波乗りジョニー」「マンピーのG★SPOT」をメドレー中に披露している。aikoがワンマンライブでカバー曲を歌うのは非常に稀なこと。これもLLAでしか観られない光景のひとつだ。
普段使いもOKなこだわりグッズ
ライブ会場でのお楽しみのひとつはグッズ販売。Tシャツ、ステッカー、パンフレット、バッグといった定番に加え、これまでにシェルアクセサリー、ジャージ、マスキングテープ、扇子、シリコンブレスレット、ガーゼストール、ポストイットなどファンの要望を反映させた毎回異なるラインナップのグッズが制作されている。そのほとんどはaiko渾身のイラストがあしらわれ、普段使いも十分にできる良品質なもの。ちなみにaikoは街中で自分のグッズを身に付けている人に会うと、思わず声をかけたくなってしまうそう。
ファンとaikoをつなぐアンケート
入場時、手元に配布されるアンケートはファンとaikoをつなぐ大切なツール。LLP15 add.のアンケートは冒頭にaikoからのメッセージとして「…こんな寒い中よう来たなぁ。ありがとう。なぁなぁ、今日のライブで何か忘れてない? …チッチッチッチ……チ…!? そう!!! そうやで! アンケートやで!!! 是非とも書いていってね」とあり、質問もイラストを交えてaikoらしい文体で書かれている。aikoは記入後のアンケートを1つひとつ楽しく読んでいるそうなので、来場者は彼女への手紙のような気持ちで書いてみては?
帰路も幸せいっぱい「親愛なる皆様へ」
LLP15 add.では、終演後会場を出る際に全来場者へaikoからのメッセージペーパー「親愛なる皆様へ」が配布された。ここにはこの日のライブに来てくれた人への感謝と、これからも一緒にがんばろうというメッセージがすべて手書きでつづられている。ライブが終わったあともその感動に浸ることをaikoは「余韻ライブ」と言うが、「親愛なる皆様へ」を家まで持ち帰ってたびたび読み返すことで、素敵な思い出がよみがえり余韻ライブをさらに深く楽しめる人も多いだろう。
特製ツアーパス
細部にまでオリジナリティを発揮するaikoのライブは、毎回関係者に配布するバックステージパスも特別仕様。単なるツアーロゴではなく、カラフルな下地にキュートな手描きイラストが描かれており、さらにスタッフ用、ゲスト用、DVDパッケージ封入用とすべて異なるデザイン! ここにも「ライブに関わる人たちが楽しい気持ちでいられるように」というaikoの遊び心、優しい心遣いが垣間見える。ちなみに「Love Like Pop vol.15 add.」の会場では、これまでのツアーパスを全面に散りばめたデザインの折りたたみジャンプ傘が販売された。
超難解!DVD隠し映像
aikoのDVD作品には、パスワード入力の扉を見つけ、難解なクイズやゲームを攻略すると観られる隠し映像が複数収録されている。この攻略法はファンのみならずゲーマーも頭を悩ませるほどで、あまりに要望が多かったためaikoオフィシャルサイトでは過去の作品に限り「マル秘映像への道」が公開されている。やっとの思いでたどり着いた先では、aikoがイチゴのパウンドケーキを黙々と作る「aikoのLOVE LIKE COOKING」や、弾き語り映像「ひとりLOVE LIKE POP 2011 夏」、1000ピースパズルをひたすら作っていく「LOVE LIKE チャレンジ 1000ピースパズル挑戦!!」といった貴重な特典映像を観ることができる。最新作「15」にはゲームなしで観られる特典映像もたっぷり収められるので、楽しみにしておこう。
- ライブ映像作品集「15」/ PONY CANYON
- DVD盤 [DVD3枚組] 2013年4月3日発売 / 7875円 / PCBP-55015
- Blu-ray盤 [Blu-ray Disc 3枚組] / 2013年5月1日発売 / 8925円 / PCXP-55015
aiko-Live DVD『15』trailer movie
収録内容
<DISC 1>Love Like Rock vol.5
- 恋愛ジャンキー
- エナジー
- 鏡
- milk
- 恋愛
- 密かなさよならの仕方
- ぬけがら
- 寒いね...
- 二人の形
- 悪口
- ロージー
- 飛行機
- キスする前に
- どろぼう
- 二人
- ライン
- ずっと
- be master of life
- 恋のスーパーボール
- 愛の病
<DISC 2>Love Like Aloha vol.4
- milk
- 愛の病
- 夏が帰る
- ジェット
- ぬけがら
- くちびる
- メドレー
- カブトムシ
- 鏡
- 運命
- ボーイフレンド
- 二人
- 花火
<DISC 3>Love Like Pop vol.15 add.
- ジェット
- 白い道
- 猫
- Power of Love
- より道
- ココア
- くちびる
- Aka
- 傷跡
- 二時頃
- カブトムシ
- ぬけがら
- 運命
- 相合傘
- キスする前に
- be master of life
- クラスメイト
- 自転車
- 桜の時
- beat
aiko(あいこ)
1975年大阪出身の女性シンガーソングライター。1998年にシングル「あした」でメジャーデビューを果たす。その後「花火」「桜の時」「ボーイフレンド」などのシングルがヒットを記録し、2000年に「NHK紅白歌合戦」初出場を果たすなど、トップアーティストとして人気を不動のものとする。女性の恋心を綴った歌詞と絶妙なコード進行によるポップなメロディで幅広いファンを獲得している。2011年には、デビュー13年目にして初のベストアルバム「まとめI」「まとめII」を2枚同時リリース。翌年6月に10thオリジナルアルバム「時のシルエット」を発表し、全国ツアー「Love Like Pop vol.15」「Love Like Pop vol.15 add.」を開催した。2013年はライブ映像作品集「15」を4月にDVDで、5月にBlu-rayでリリースする。
2013年4月3日更新