ナタリー PowerPush - あふりらんぽ
解散ライブ盤とともに2人が振り返る あふりらんぽ激動の8年間
昨年6月、突如あふりらんぽの解散が発表されたとき、驚きよりも先に1つの時代の終幕を感じた人も多かったのではないだろうか。大阪から世界へ向けて無軌道に飛び出し、間違いなく1つの時代を作った2000年代の最重要バンドのひとつ、あふりらんぽ。オニとピカという、同じ大阪の高校に通っていた者同士で2002年に結成された彼女たちは、たまたま聞いた大学教授の話に触発されてアフリカに飛び、そのまま2カ月間滞在したり、根回しなしにアメリカツアーを敢行したりといった突貫ぶりで新しい道を切り開いてきた。その結果、SONIC YOUTHやヴィンセント・ギャロらのラブコールを受けて、ワールドツアーや音楽フェスティバル「All Tomorrow's Parties」に招かれる。さらにズイノシンやオシリペンペンズらと共に“関西ゼロ世代”なるシーンを築いていったりと、思わぬ“成果”が後から後からついてきて、2人は一躍時代の寵児となっていったのだった。
ドラムとギターとシャウト紛いのボーカルというスタイルでジャンクなロックを鳴らしながら、根っこにはブラックミュージックやアフリカ音楽の持つ原始的なエネルギーをも持っていた彼女たち。昨年の解散ライブをまとめたCD+2DVDアルバム「NEVER ENDING AFRIRAMPO」には、そんな2人が多くのファン、ミュージシャン仲間から愛されていた理由が鮮やかに刻まれている。DVDでは山本精一、須原敬三、ウルトラビデ、オシリペンペンズ、砂十島NANI、ワッツーシゾンビ、クリトリック・リス、稲田誠、枡本航太、DODDODOなどそうそうたる顔ぶれが曲ごとに登場。さながら関西シーンのオールスターズのような展開は感動的でさえある。今回ナタリーでは、怒濤の活動に突然終止符を打った理由とこの8年への思いを2人に訊ねた。2人とも今後はソロとして活動していくそうだが、またいつか手を組むときがきっとくると信じている。
取材・文/岡村詩野
女2人やし、険悪になったこともあった
──ピカさんが4年くらい前からなんとなく解散を意識し始めていたとのことですが、どういう理由からピリオドを打つことを考え始めていたんでしょうか。
ピカ(D, Vo) 理由はいろいろあって。例えば、きっかけとしてはオニの妊娠がやっぱり大きかったんですけど、個人的には自立したかったというのがありました。ただ、あふりらんぽがどんどんすごい勢いで大きくなっていってたし、実際楽しかったし、アイデアもたくさん出てきていたし、そのときはまだいいかなあ、くらいに考えていたんです。でも、オニとの間での出来事もいろいろとあって……で、解散することに決めたんです。もともとオニのほうがソロ指向が強くて。でも、お互いソロ活動をするのに、あふりらんぽをどうするか? みたいな話をちゃんとできないままでいたりして……。
オニ(G, Vo) あふりはメチャクチャ衝動的に始まったバンドやったから、「これこれこうしてこうしよう」みたいなビジョンとかが最初からなかったんですよね。ただ、確かにやっているうちに存在が大きくなっていって……でもソロとしてもやっていきたいな、みたいな気持ちは、うちは前からありました。
ピカ ほんまに楽しかったし、そういう話をちゃんとする機会がないままになって……。でも、そのうちに自分たちが無意識でやる、みたいなことにはいかなくもなってきていて。いろんな人がかかわるようになってきていたし、一緒に行動したりすることが増えて、互いに知らなかった部分を見たりもして……。言ってみれば、お互いの“我”が出てしまって、あふりがピュアじゃなくなってきていたんですよね。そこへきてオニが妊娠して……。やりたいベクトルが違ってきてたんやと思います。
──かなり険悪な雰囲気になっていた時期もあった、と?
ピカ ありましたよ、女2人やし(笑)。ツアー中とか「部屋、掃除せえよ!」とか、チャーハン作ってみたら「米は白米や!」とか(笑)。関係性が近過ぎて、どっちがどっちかわからへんようになったりもして。音楽とはまったく関係のないところばかりですね(笑)。
オニ どんどんライブが決まったりしていたから、険悪になってもライブはうまいことやってましたけどね(笑)。
真剣に「地球を救える!」って思ってた
──無意識でピュアだったとはいえ、イメージしていた形はそれなりにあったと思うんですけど、結成当時はあふりらんぽというバンドをどのように考えていたんですか?
ピカ 真剣に「地球を救える!」って思ってましたね。
オニ ああ、それ、よう言うてたな。
ピカ これやってたらみんな笑えるし、本気で地球が救えるんじゃないかって思ってました。でも、それをずっとオニに強要してたんかなあ、いつのまにか一番近いところにいたオニが笑えなくなっていて。地球救えるって思ってたけど、実際はこのままやったら救えないんやな……って、挫折したんです。まあ、だんだんそう思えてきたんやけど。
オニ 一番初めのライブから自分たちが思っていた以上にお客さんにウケて。そこから勝手にアメリカに行ってライブやったりして。手応えはメチャクチャあったんです。メジャーに行ったときもそうやったけど、自分たちの意識外のところでものすごい動きになってるんやろな……ってことは感じつつ、自分たちとしてはすごい楽しんでいたんですよね。
ピカ 今となっては「地球を救う」なんておこがましいなとも思うけど、やっぱり“無敵”でした。最初から「ライブ、絶対面白いんで絶対観にきて!」ってチラシを渡したり、最初に勝手にアメリカに行ったときもいい感じやし、すぐ次も行かな! すぐ次つなげな! って感じで、そういうところは考えていました。ホンマに「ミラクルラッキーガールズ」。例え憧れていたミュージシャンでも、この人と何か一緒にやりたい! と思ったら実現したりして……ビックリもできひんくらいに感謝感謝でしたね。
DISC 1 LIVE CD
WE ARE UCHU NO KO TOUR 2010 AFRIRAMPO FINAL LIVE at Umeda Shangri-La, Osaka on 2010.6.26
- おいしくなーれ
- ミラクルラッキーガールズ
- I did Are
- それがあふりらんぽ
- CAVA
- 海
- スートブレイコー
- ドドドド
- あかんこのまま帰さない
- 雪景色
- あふりらんぽ
DISC 2 LIVE DVD
WE ARE UCHU NO KO TOUR 2010 AFRIRAMPO FINAL LIVE at Umeda Shangri-La, Osaka on 2010.6.26
- オープニング ~仲良くしようぜ!!!~
- ミラクルラッキーガールズ
- I did Are
- In the Space Night
- それがあふりらんぽ
- CAVA
- 海
- 夏が来た
- アートブレイコー
- あかんこのまま帰さない
- ドドドド
- エゴロ島
- 星の唄
- あふりらんぽ
DISC 3 LIVE DVD
<Live>
あふりらんぽ バイバイ祭り!やっぱり最後はBEARSで!!☆ at Namba BEARS, Osaka on 2010.07.26
- ラジャ・マハラジャー with アウトドアホームレス+モンモン♀トゥナイト
- あかんこのまま帰さない with ワッツーシゾンビ+クリトリック・リス
- ドドドド with 稲田誠+枡本航太+DODDODO
- オニピカ★ハート with 心臓&大王(from YDESTROYDE)
- 愛してる with BUN666+Hide(from ULTRA BIDE)
- 雪景色 with 河端一(from Acid Mothers Temple)
- 引き止め男と去る女 with オシリペンペンズ
- あふりダムステーション wiwh KA4U+ガルペプシ
- ケッコー with 砂十島NANI
- ヤーヤーエー with トンチ+須原敬三+和田晋侍+砂十島NANI+山本精一
- あふりらんぽ with JB
<Special>
- 雪景色 at 12 Galaxies,S.F.on 2005.07.02
- 夏が来た at SHIBUYA O-nest,Tokyo on 2005.06.03
- プリプリプップップー!?ツアーセッション at Daikanyama UNIT, Tokyo on 2005.12.19
- Improvisation at Brooklyn, N.Y. on 2005.7.23
- あふりらんぽの100年後
- あふりらんぽの100年後(インタビュー編)
- 秘蔵映像でヤーヤーエー
<Music Video>
- あふりらんぽ
- あかんこのまま帰さない
- ミラクルラッキーガールズ
- エゴロ島
あふりらんぽ
2002年に大阪で結成された、オニ(Vo, G)とピカ(Vo, Dr)の2人からなるバンド。ギターロックに原始的なサウンドを取り入れた個性あふれる音楽性と、奇抜なファッションとパフォーマンスで、結成当初から大きな注目を集める。2003年に初の音源となるアルバム「A」をリリース。2005年にはKi/oon Recordsからアルバム「URUSA IN JAPAN」でメジャーデビューを果たした。メンバーそれぞれのソロ活動も精力的に展開し、音楽性の幅をさらに広げていったが、2010年7月の地元・大阪でのライブを最後に解散。2011年3月、解散ライブの模様を収録したライブCD+DVD「NEVER ENDING AFRIRAMPO」をリリースする。