売るものが「佐々木亮介」しかない
LiSA a flood of circleのニューアルバム聴かせてもらいましたが、めちゃめちゃ最高でした! a flood of circleとしての根底は変わらないけど、新しく感じられる曲ばかりというか。特に4曲目の「如何様師のバラード」は佐々木さんならではのパーティ感のあるサウンドやリズム感が新しかったし、「花降る空に不滅の歌を」がツービートだったのにもびっくりしました。a flood of circleにあまりパンクなイメージがなかったから。でも、がんばって挑戦してる感じではなく、気取らずに好きなものを取り入れているカッコよさがよかったです。
佐々木 完璧なレビューじゃないですか! これまでa flood of circleってメンバーの入れ替わりが何度もあって、でも今の4人で5年過ごせて、アルバムも3枚作ることができたんだよね。結成16年目でやっと固まったなと思えてる。このアルバムもバンドメンバーに対して全幅の信頼を置いて作れたんです。バンドの内側の悩みがない状態だからこそ、徹底的に自分のことを出すしかないと思って挑んだのが今回のアルバム。そんな作品のサウンドがフレッシュと言われるのはうれしいな。特にLiSAちゃんが挙げてくれた「如何様師のバラード」と「花降る空に不滅の歌を」は鍵盤とかホーンも入れて、そこが新しい印象につながってるのかも。あとは歌詞も一生懸命書きました。
LiSA 私、「GOOD LUCK MY FRIEND」の歌詞で泣きました。めっちゃエモかった。「カメラソング」みたいな“キュンソング”もあるし。
佐々木 「カメラソング」はLiSAちゃんの影響で生まれた曲なんだよ。「シャンプーソング」のレコーディングのときにかわいいカメラをオススメしてもらったじゃない? まだ買えてないんだけど、それをきっかけに写真をテーマに曲を書こうと思いついて。
LiSA 私、佐々木さんが書く、最初はすごく罵倒してるんだけど最後のほうで素直にキュンとさせてくれる歌詞が好きで。「シャンプーソング」にもそういう一面があるから、「これこれ!」って思ってたんです。「くたばれマイダーリン」も好きです。「くたばれ」と「マイダーリン」を組み合わせるのが佐々木さんらしいですよね。
佐々木 これもLiSAちゃんに歌ってほしいタイプの歌詞だな。曲を書いてて田淵さんの気持ちがわかったんだよね。「自分で歌いたい言葉」ってあんまりないんだけど、楽曲提供だと「こんなこと歌ってくれたら面白いな」と違う発想ができる。新しいギターを買ったときや、初めてパソコンで作曲した瞬間に近い感覚。今までと違う作り方をするとすごく刺激があるということを「シャンプーソング」の制作で思い出させてもらって。その影響がアルバムに出ているかも。
LiSA (笑)。
佐々木 あと、今回は1曲目の「月夜の道を俺が行く」の歌詞に「佐々木亮介」を登場させちゃってるからね(笑)。俺は誰にも頼まれてない曲を、リスナーに売り付けようとしてる。だったら、カッコつけてない本当の自分で勝負をして、それを面白いと思ってもらいたくて。自分を出さなきゃって思った結果、売るものが「佐々木亮介」しかないというか。「如何様師のバラード」の歌詞に出てくる如何様師って自分のことなんですよ。こんなに中身のない自分を革ジャン着せて売ろうとしてるのってどうなんだって(笑)。それでも、自分を打ち出すことをトライした。それがこのアルバムのチャームポイントかな。
LiSA どの曲を聴いても佐々木さんを感じますよね。奈良美智さんが描いたジャケットもかわいいし。
佐々木 超かわいいでしょう? 奈良さんは俺にいろんな気付きを与えてくれるアーティストで。世の中で起きてる複雑なことを、このシンプルな絵に込めてくれた気がするんです。勝手にいろいろ想像して泣けちゃう。LiSAちゃんに曲を提供できたし、憧れの奈良さんがジャケットイラストを描いてくれたし、この1年はマジで考えられなかったような奇跡が続いていて、すごくラッキーだなと思ってます。
ロックには必要としてもらえた
佐々木 「LANDER」の話になるんだけど、歌詞にLiSAちゃんの魂の叫びっぽいものがいっぱい入っているなと思って。歌詞ってどう書いてるの?
LiSA 私、傷付くのが嫌いじゃなくて、むしろ自分の感情が動くことが好きなんです。ムカつくことも、悲しいことも、大変なことも嫌いじゃないんです。ちょっとマゾなのかも。むしろ感情が動かなくなることのほうが怖くて、わざと絶望するような映画を観たり、傷付くような場所に飛び込んでみたり。そういう場所をなくさないようにしたくて。
佐々木 つええ……。
LiSA そこで気付いたことをノートに全部書いておく。言葉にならなくても吐き出しておくようにしてるんです。それで作詞するときに当時の気持ちを思い出したり。
佐々木 目をふさぎたくなるようなことでも、わざわざ見に行って気持ちを確かめるんだ。
LiSA はい。それで全部ちゃんと音楽にしますね。
佐々木 器がデカいなあ。傷付いたことも音楽として昇華しちゃうんだ。
LiSA でも技術が追い付いてないから、まだ自分としては昇華できていない気がしていて。田淵先輩が私に書いてくれる曲の中で言葉にしてくれたり、人の手をたくさん借りてLiSAという音楽で表現させてもらっているんです。
佐々木 謙虚ー! これが好かれるところですよね、LiSAちゃんの。偉そうにしているところ見たことないもん、マジで。
LiSA いやいや(笑)。
佐々木 俺は音楽はあくまで音楽であって、どういう人間がやってるかは置いといて聴くべきだって楽曲至上主義的なところがずっとあったんだけど、最近は音楽は人だなと思うようになったんだよね。聴いてるとだんだん歌ってる人がどういう人なのかわかってくるんだよ。これが本当に好きなんだろうなとか、こういうことを大事にしているんだろうなとか。
LiSA そうじゃないものって、わかっちゃいますよね。
佐々木 そう。無理してるとか、嘘ついているなとかわかるとがっかりしちゃう。ところでLiSAちゃんがロックをやる理由って何? 俺の場合は、「自分でいていい」と肯定してもらえるからなんだけど。
LiSA ロックをやる理由……私はなんだろう。一番は好きだからなんだけど、自分の声で歌える音楽がロックだったからかも。ロックには必要としてもらえたんです。
佐々木 名言だね。
LiSA 佐々木さんがさっき、ロックしかできないからやってるって言ってましたけど、私もこれしかできないからやってるんだと思う。
佐々木 LiSAちゃんはロックを“前進”させてるよね。昔からSPEEDが好きって言ってて、トリビュートアルバム(2021年リリースの「SPEED SPIRITS」)にも参加してたじゃない? 俺、リアルタイムでSPEEDを聴いてたけど、ロックとは関係ない音楽だと思ってたの。でも、LiSAちゃんがカバーしてる音源を聴いて、SPEEDがすごく好きなことが伝わってきたし、ロック的なものが感じられて感動したんです。今はロックが廃れてるとか元気がないとか言われてるけど、ロックが好きなLiSAちゃんがアニソンを歌ってきたこととか、SPEEDが好きなこととかが全部結び付いてこんな歌になるんだって。ロックに新しい輝きを与えられる人がいるんだと思ったときに、「ロックくん、よかったね」みたいな気持ちになった。田淵さんもそうで、アニメのテーマソングってたまにバンドっぽい曲を貼り付けてるだけだなと感じることがあったけど、田淵さんはアニメソングを心から愛してるから、そこに自分の要素を取り入れて、誰も聴いたことのないロックミュージックを作ってる。以前だったら“なし”だったものを“あり”にしちゃう人たちって最高だよな、とLiSAちゃんのカバーを聴きながら刺激を受けました。
LiSA ありがとうございます。
佐々木 いつか対バンしようね。
LiSA ぜひ! そのときはa flood of circleにお邪魔して歌いたいです。
佐々木 それは自分も観たいな。でも、ギターに徹して背中を観ちゃいそう。カッコいいなーって。
LiSA 横で一緒に歌ってください(笑)。
佐々木 はい(笑)。
a flood of circle ライブ情報
Tour 花降る空に不滅の歌を
- 2023年2月23日(木・祝)千葉県 千葉LOOK
- 2023年2月24日(金)千葉県 千葉LOOK
- 2023年3月2日(木)静岡県 Shizuoka UMBER
- 2023年3月3日(金)愛知県 CLUB UPSET
- 2023年3月10日(金)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
- 2023年3月15日(水)岡山県 PEPPERLAND
- 2023年3月16日(木)岡山県 PEPPERLAND
- 2023年3月18日(土)京都府 磔磔
- 2023年3月22日(水)東京都 新代田FEVER
- 2023年3月23日(木)東京都 新代田FEVER
- 2023年3月28日(火)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
- 2023年3月30日(木)岐阜県 yanagase ants
- 2023年4月1日(土)石川県 vanvanV4
- 2023年4月2日(日)長野県 LIVE HOUSE J
- 2023年4月7日(金)香川県 DIME
- 2023年4月9日(日)大阪府 FANDANGO
- 2023年4月14日(金)北海道 札幌PENNY LANE24
- 2023年4月15日(土)北海道 CASINO DRIVE
- 2023年4月22日(土)福島県 郡山HIP SHOT JAPAN
- 2023年4月23日(日)新潟県 CLUB RIVERST
- 2023年5月18日(木)茨城県 mito LIGHT HOUSE
- 2023年5月20日(土)岩手県 Club Change WAVE
- 2023年5月21日(日)宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
- 2023年5月25日(木)大分県 club SPOT
- 2023年5月27日(土)鹿児島県 SR HALL
- 2023年5月28日(日)福岡県 LIVE HOUSE CB
- 2023年5月30日(火)広島県 広島セカンド・クラッチ
- 2023年6月1日(木)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2023年6月2日(金)大阪府 umeda TRAD
- 2023年6月16日(金)東京都 Zepp Shinjuku(TOKYO)
LiSA ライブ情報
LiSA LiVE is Smile Always~LANDER~
- 2023年9月30日(土)千葉県 森のホール21
- 2023年10月1日(日)千葉県 森のホール21
- 2023年10月8日(日)福岡県 福岡サンパレス ホテル&ホール
- 2023年10月9日(月・祝)熊本県 市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
- 2023年10月14日(土)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
- 2023年10月15日(日)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
- 2023年10月20日(金)新潟県 新潟県民会館
- 2023年10月21日(土)群馬県 高崎芸術劇場
- 2023年10月28日(土)石川県 本多の森ホール
- 2023年11月3日(金・祝)広島県 広島文化学園HBGホール
- 2023年11月5日(日)愛媛県 西条市総合文化会館
- 2023年11月24日(金)北海道 函館市民会館
- 2023年11月26日(日)北海道 札幌文化芸術劇場hitaru
- 2023年12月1日(金)大阪府 フェスティバルホール
- 2023年12月2日(土)大阪府 フェスティバルホール
- 2023年12月9日(土)宮城県 仙台サンプラザホール
- 2023年12月10日(日)宮城県 仙台サンプラザホール
- 2023年12月16日(土)東京都 東京ガーデンシアター
- 2023年12月17日(日)東京都 東京ガーデンシアター
プロフィール
a flood of circle(アフラッドオブサークル)
佐々木亮介(Vo, G)、渡邊一丘(Dr)、HISAYO(B)、アオキテツ(G)による4人組ロックバンド。2006年に結成され、2009年4月に1stフルアルバム「BUFFALO SOUL」でメジャーデビュー。ブルース、ロックンロールをベースにしつつ最新の音楽要素を吸収したサウンドと、佐々木の強烈な歌声や観る者を圧倒するライブパフォーマンスで話題を集める。結成10周年を迎えた2016年には初のイギリス・ロンドン公演や海外レコーディングを行ったほか、主催フェス「A FLOOD OF CIRCUS」を立ち上げた。2021年8月に提供曲のみで構成されたアルバム「GIFT ROCKS」を、12月にオリジナルアルバム「伝説の夜を君と」をリリースした。2022年7月に初のホールワンマンライブを東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて開催。2023年2月にニューアルバム「花降る空に不滅の歌を」を発表した。
a flood of circle official web
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LiSA(リサ)
岐阜県出身、6月24日生まれ。2011年春にソロデビュー。テレビアニメ「Fate/Zero」「ソードアート・オンライン」「魔法科高校の劣等生」「鬼滅の刃」など数々の人気作品の主題歌を担当し、国内のみならず世界中にて人気を博す。2019年4月にリリースした「紅蓮華」が大ヒットを記録し、同年末に「NHK紅白歌合戦」に初出場。2020年秋にリリースした「炎」は「第62回輝く!日本レコード大賞」にて大賞を受賞した。熱量の高いライブパフォーマンスにも定評があり、アニソンシーンにとどまらず、数多くのロックフェスでも活躍するライブアーティストとして、その存在感を示している。2022年11月に6枚目となるフルアルバム「LANDER」を発表し、2023年4月19日には自身初となるライブ映像ベスト盤と2021年に開催したアリーナツアーの模様を収録した「LiVE is Smile Always~LiVE BEST 2011-2022 & LADYBUG~」をリリース予定。座右の銘は「今日もいい日だっ」。