音楽ナタリー PowerPush - a flood of circle
佐々木亮介×Duran 転がり続けるためにそれぞれの道へ
佐々木くんの背中に影響を受けて
──半年間という短い時間でしたけど、一緒にフラッドとして活動したことはお互いにとっていい経験になったと思うんです。振り返るには少し早いかもしれませんが、お互いどんな刺激を受けましたか?
佐々木 改めてDuranってすごいギタリストだなってのを感じましたね。ジャンルレスで弾ける才能もすごいけど、こんなに楽しそうに無邪気にプレイしてるヤツいないし。特にナベちゃん(ドラムの渡邊一丘)は影響受けて。ナベちゃんってけっこう神経質で、思い込むと一直線のタイプだから、今までライブで緊張してるときもあって。そんなときに、目の前にめっちゃ笑って弾いてるDuranがいると気持ちがほぐれてたみたい。あとナベちゃんがドラムソロをやるようになったのもDuranの影響でしょうね。前だったら「俺のドラムソロなんて……」って遠慮してたかもしれないけど、楽しいからやってみようって考えるようになったみたいで。Duranの存在は、間違いなくバンド全体にいい影響を与えてくれましたね。
──それは今後の活動にも反映されていきそうですね。
佐々木 ポジティブな空気感はこれからも引き継いでいきたいですね。あと今回のことでDuranみたいなすごいメンバーがいればいるほど、俺が最高にカッコいいロックンロールを書くしかないってことも感じたし。Duranが入ったことによっていろんな化学反応があったけど、その化学反応を起こす素材は俺が作ってることを改めて自覚しました。
──なるほど。一方でDuranさんにはどんなフィードバックがありましたか?
Duran あの……入る前とイメージが違ったんだよね。
──どういうことでしょうか?
Duran フラッドって、ノリでライブのリハをやってるんだろうなと思ったら、けっこう細かいところまできっちりやってて。ライブの現場での空気も大事にしつつ、3人ともにリハの段階で120%できてないと納得しない。特にナベちゃんは、クリックを気にしながら叩いてるし。俺は「楽しけりゃいいでしょ!」っていうノリでやってきましたから、もっとちゃんとしなきゃなって思うようになりました。でも一番影響を受けたのは、佐々木くんのバンドに対する一途な思いですね。俺はずっといろんなバンドを渡り歩いてて、自分で旗を揚げたMade in Asiaですら中途半端だったから。フラッドに入って佐々木くんの背中を見て、Made in Asiaをちゃんとやろうと思ったんです。だからこそ、その気持ちが結果的に「a flood of circleを抜ける」という決意にもつながってしまいました。
「レコード返して」「飲みすぎんなよ」
──それぞれの今後についてお聞きしたいんですが、まずa flood of circleはどんな形で活動をしていくんですか?
佐々木 Duranのあとにメンバーは入れず、3人編成でやっていきます。ただライブはサポートを入れて。まあ、サポートメンバーも最近決まったばかりだから、どんな感じになるかは未知数ですけど。
──今後のサポートメンバーはどなたなんですか?
佐々木 The SALOVERSの藤井清也くんです。彼はDuranとは真逆で、The SALOVERSでしかギターを弾いたことがないし、若いから音楽的な知識の量も違うと思う。でも、Duranと似たタイプを迎える気はないし、新鮮な感じでやりたくて。初めて年下とやるんでどうなるかわからないですけど、楽しみですよ。Duranが抜けるのは寂しいし、Duranがいた頃も“ベスト”だったと思うんです。でも、もっとフラッドは先に行けると思うし、これから新しい“ベスト”を作っていこうと思ってます。
Duran うんうん。Made in Asiaは俺が旗揚げしたバンドだけど、俺のせいで制作が滞って、ライブしかできない状態なんで、これからちゃんとやっていきたいなと。バンド名がなんたってMade in Asiaですから。アジアでの展開も視野に入れて活動したいですね。すべての経験をMade in Asiaにつなげられるようにして。
──4月からはお互い自分たちのバンドに全力投球するわけですね。
佐々木 そうですね。せっかく4人になって勢いに乗ってるのにって、がっかりする人もいると思うんです。その部分に関しては本当に申し訳ない。だけどメンバー自身もそういう気持ちなんですよ。でも足踏みしてる状態じゃないし、次に向かっていかないと。俺は自分の生き様を音楽にすべて反映させてるし、Duranの脱退とかもこうやって話しちゃう痛い部分があるけど、そういうバカな人間が勝ち上がる姿を見せることで日本が変わるんじゃないかって思ってるから。音楽シーンを変えたいというよりは、人の気持ちや社会を変えたいんですよね。
──なるほど。本当にフラッドって何があっても止まらないですよね。
佐々木 休む意味がわかんないですもん。音楽がすごい好きだし、もっと曲を作りたいし、ライブがやりたいんですよね。たまに「ゆっくりしないと作れない音楽もあるよ」って周りに言われるんですけど、俺の性分としてはゆっくりしてられないんですよ。止まるときは病気のときでしょうね(笑)。
──これからはライバルになる2人ですが、バンドとして活動を続ける以上競演の機会が遅かれ早かれあると思うんです。
佐々木 どうせやるんだったら「FUJI ROCK FESTIVAL」のGREEN STAGEで対バンしたいですよね。そんくらい理想を抱いて生きていこうよ。
Duran そうだね。お互いがすごく大きくなって、最高のライブをすれば、なんでここで別れたかわかってもらえるかなって。
──最後にお互いに言っておきたいことはありますか?
佐々木 早くレコード返してよ。
Duran そうだ! ごめん返すわ。
佐々木 あと、飲みすぎんなよ。
Duran わかったよ……。
佐々木 結成のきっかけも飲んだ勢いだったから、飲むなとは言わないけどさ。あとMade in Asiaっていう居場所を決めたんなら、それを貫いてくれよってことですね。
Duran うん。a flood of circleにはこのまま転がっていてほしい。この先のビジョンもあるだろうから、それを俺も信じてるし。ってきれいごとかな?
佐々木 いやいや。ありがとう。でもさ、Duranと一緒にフラッドとしてワンマンツアーができなかったのは悔しいなあ。
Duran 俺も弾きたい曲があったんだけど……。
佐々木 うん。でも、Duranと一緒に過ごした半年はめちゃめちゃ濃密でしたよ。その経験があったからこそ、フラッドは次に進んでいけると。だからa flood of circleについてもMade in Asiaについても、これからを楽しみにしててほしいですね。
- 最新アルバム「GOLDEN TIME」2014年11月5日発売 / IMPERIAL RECORDS
- 「GOLDEN TIME」
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3564円 / TECI-1422 / Amazon.co.jp
- 通常盤 [CD] 3024円 / TECI-1423 / Amazon.co.jp
CD収録曲
- GO (Album ver.)
- Golden Time
- スカイウォーカー
- STARS
- ホットチョコレート
- Cigarette Roll
- Black Eye Blues
- Rodeo Drive
- KIDS
- アカネ
- Party!!!
初回限定盤DVD収録内容
- 「Golden Time」PV
- 「STARS」PV
- 「KIDS」PV
- 8th Anniversary Oneman Live“レトロスペクティヴ” 東京キネマ倶楽部3daysのドキュメント映像
- ナイスサポート曽根巧ドライブデート風インタビュー