音楽ナタリー PowerPush - a flood of circle
佐々木亮介×Duran 転がり続けるためにそれぞれの道へ
ギタリストのDuranが加入して半年──順風満帆に活動していたa flood of circleから、3月31日をもってDuranがバンドを離れることになった。
メンバーの脱退や加入を何度も繰り返しながらも、活動を止めることなく、常に進化し続けていたa flood of circle。Duranの加入によって勢いが加速していただけに、このニュースは多くのファンを驚かせることだろう。
半年前のインタビューでは相思相愛ぶりをうかがわせる発言をしていた佐々木亮介とDuranだったにもかかわらず、この半年間でバンド内に一体何があったのか。その理由を2人に聞いた。
取材・文 / 中野明子 撮影 / 上山陽介
止まったらダメ
──最初にDuranさんがバンドを離れるという話を聞いたときは、「なんで? もう?」という言葉が思わず出てしまいました。
佐々木亮介(Vo, G) 自然な反応ですね(笑)。
──またこういうお知らせって、ひっそりとオフィシャルサイトで告知することも多いと思うんですけど……。
佐々木 Duranが入ってから辞めるまでの期間がどう考えても短いよなと思うんで、ちゃんと理由が伝えられる場所を作りたいと思ったんです。4人のa flood of circleを好きでいてくれている人に申し訳ないという気持ちもあるし、お互いにバンドを続けていくから、ひっそり辞めてく形にしたくなかった。いろんな人にこの件をきちんと知ってもらうには、ナタリーを通して話すのがいいと思ったんです。
Duran(G) 音楽の方向性が違うから辞めるっていうなら納得してもらいやすいでしょうけど、そういう話ではないので。
──では単刀直入に聞きますが、理由はなんでしょうか?
佐々木 一番大きな理由は、Duranが自分のバンドであるMade in Asiaでの活動をメインにすると決めたからですね。a flood of circleに入る前の時点でDuranはMade in Asiaのフロントマンとして活動してたけど、本人を含めて俺らも2つのバンドを掛け持ちできると考えてたんです。ベースのHISAYO姐さんも、複数のバンドをやってるし。単純にスケジュールをすり合わせていけば大丈夫だと思ったし、なんとかなると思ってたんですよ。でも、Made in Asiaには別の事務所が付いてて、彼らもこれからの展開を考え始めてたときだったんですよね。
──ええ。
佐々木 俺らは来年結成10周年で、傷だらけの歴史でも俺たちにとっては大切な10年だし、デカい花火を打ち上げてやろうと思って、それに向けて今年のスケジュールを組んでたんですよ。それを昨年末にDuranに渡したときに、「それだとちょっとMade in Asiaの活動が……」ってなっちゃったんですよ。
Duran Made in Asiaも動きを止めたくなかった。かといって、自分のせいでフラッドを止めてしまうのもイヤだったし。
佐々木 その話が出てきたとき、Duranが辞める、辞めないの話はしなくて。ただ、これはヤバイ!と。1月とかけっこう大変だったもんね。結論は出ないし、ライブはしなくちゃいけないし。Duranも俺も落ち込んじゃって。
Duran うん。
佐々木 それでもすごくいいアルバム作ったという自信はあったし、目の前のツアーをやりきろうって話をして。ツアーは無事やり切って、3月7日と8日のEX THEATER ROPPONGIの2DAYSが終わったあとで、改めてDuranを口説き直して。変な話、Made in Asiaを俺が面倒みるからみたいな話まで持ち出したりして。
──面倒みるというのは?
佐々木 「フラッドの活動時期はMade in Asiaが止まるから、その分の給料を払うよ」くらいなことを言って(笑)。でも、そういう話でもなくって。DuranはMade in Asiaの動きを止めないって決めちゃってるし、メンバーとの関係もあるし。ただ、何カ月もライブをしないa flood of circleなんて、活動休止状態と同じだから。Duranはフラッドに残りたいって言ってくれたけど、俺も待てないから。お互いマグロタイプというかサメタイプというか。止まったらダメなんですよ。
Duran 自分の性格上、バンドを掛け持ちしてもなんとかなるって思ってたんですよ。純粋に演奏するのが好きだし、気持ちがあれば乗り切れるだろうと。でもそれだけじゃダメなんだってことを改めて痛感しましたね……。
佐々木 俺はそういう性格が好きだったんですよね。「なんとかなるでしょ」って楽天的に考えてるところとか、ギター弾く以外はダメなところとか。ライブ前に乗馬して落馬して、Made in Asiaのライブ飛ばすとかね(笑)。そういう破天荒な人間だからこそできるプレイもあった。特にa flood of circleの奏でるブルースとかロックンロールにすごくハマってたんですよ。「GOLDEN TIME」のレコ発ツアーも評判がよかったし。だからこそみんなDuranと作ったアルバム「GOLDEN TIME」や、ツアーはなんだったんだって言うと思うんですよ。
──ええ。
佐々木 でも俺とDuranの化学反応は、ちゃんと「GOLDEN TIME」に刻まれてるし、ツアーもホントに充実してた。意味はあったんですよ、フラッドにとって。だから、Duranが後ろ暗く辞めていくような気持ちではないんです。「お互い前向きな決断です」っていうのはキレイすぎるんだけどね。
お互いのために別れるしかなかった
──ほかのメンバーは、Duranさんの脱退についてどうおっしゃってましたか?
佐々木 めちゃめちゃびっくりしてましたね。特に姐さんは自分もバンドを掛け持ちしてるから驚いてて。
Duran 俺の場合は全部に全力投球するとバランスがとれなくなっちゃって……。で、それができない状況になったときに自分が許せなくなる。
佐々木 その気持ちはわかるんですよね。俺は俺で、「この4人でa flood of circleだ」って思ったのに、Duranを待てないのはなんでだと。2DAYSライブ直後の飲みでもずーっとその話をしてて。お互いの考えをぶつけた結果、Duranを含むa flood of circleはここまでしかなかったと。Duranは何カ月も考えた末にMade in Asiaを選んだ男だから、a flood of circleには戻って来ないだろうなと。
──お互いのことがわかってるだけにもどかしいですよね。
佐々木 「一緒に夢見たじゃねーかコノヤロウ!」っていう気持ちはありますよ。でもお互いのために別れるしかなかった。って円満離婚のワイドショーみたいな感じになってますね(笑)。このあともファンをドキドキさせると思いますけどね。「フラッドって安定しないバンドじゃん」って笑われてるところもあるでしょうし。だけど、ちゃんと乗り越えていきますよ。Duranも俺もお互い前向きな気持ちだし、「見ておけよ」っていう感じですね。
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- 「GOLDEN TIME」
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3564円 / TECI-1422 / Amazon.co.jp
- 通常盤 [CD] 3024円 / TECI-1423 / Amazon.co.jp
CD収録曲
- GO (Album ver.)
- Golden Time
- スカイウォーカー
- STARS
- ホットチョコレート
- Cigarette Roll
- Black Eye Blues
- Rodeo Drive
- KIDS
- アカネ
- Party!!!
初回限定盤DVD収録内容
- 「Golden Time」PV
- 「STARS」PV
- 「KIDS」PV
- 8th Anniversary Oneman Live“レトロスペクティヴ” 東京キネマ倶楽部3daysのドキュメント映像
- ナイスサポート曽根巧ドライブデート風インタビュー