ナタリー PowerPush - Addy
個性派クリエイター集団の成り立ちとサウンドの秘密
音の形態は違っても、私の声でつなげられる
──新作「ZIG-ZAG」には、曲によってバンドサウンドとクラブミュージック、2つの面がありますよね。そういう方向性が生まれてきたのはどういう理由から?
TADAHIRO 「FUTURES」のときはその2つを混ぜてたんですけれど、今回はハッキリ分けようというのがあったんです。バンドが好きな奴はバンドが好きだし、クラブミュージックが聴きたい奴はそれを聴きたいし。だからその2つを分けたのが今回のミニアルバムで。
──メタル的な要素も曲の随所に感じられるのですが、ルーツの中にメタルは……。
TADAHIRO ありますねえ(笑)。キッズの頃からそういうギターが好きで弾いてましたんで。一時期は柔らかくなろうと思ったんですけど、それは自分じゃないな、と。真面目にバカをやるんだったら、やりたいことをやりたいですから。
──Addyの音って、連想できるものがいろいろ広がっていると思うんです。ENTER SHIKARIやHADOUKEN!にも、LADY GAGAにもつながる、絶妙なポイントで曲を作っている感じがする。曲を作っているときに、そういうふうに今のシーンを意識したり、ほかのアーティストから影響を受けるようなことはありますか?
TADAHIRO やっぱりギターリフにはありますね。以前はミクスチャーバンドをやっていたし、その頃はLIMP BIZKITやLINKIN PARKが好きだった。そこからTHE USED、STORY OF THE YEAR、THRICEも好きになった。その辺りの影響はあると思います。
──そういうバンドスタイルのメタルな曲と、クラブミュージックスタイルの楽曲が両方生まれるようになったのは?
NAO☆ バンドの曲はTADAHIROが、クラブサイドの曲はTOSHIYAが作ってるんですよ。彼はそっちのほうが得意なので。
TADAHIRO 彼から出てくるものは予想もできないものばっかりだから、面白いですね。
NAO☆ 去年7月のワンマンライブで、初めてクラブサイドの曲をやったんです。私がいきなり踊りだしたからお客さんも最初は違和感があったかもしれないけど、どんどんノっていって。音の形態は違っても、私の声でつなげられるものなんだなって。だから両方を今回の作品の中に入れようと決意したんです。
できることならディスクも分けようとすら
──アルバム制作はどんなスタート地点からイメージを作っていったんでしょうか。
TADAHIRO 「FUTURES」は「あれもやりたい、これもやりたい」というアルバムだったんですよね。そこから方向性が定まっていった。前作の中で「Everlasting」がしっくりきたんです。その世界観をそれぞれの曲に反映したいと思った。もうちょっとシリアスにしたいというテーマがありましたし、今回はピアノを使いたいというのもありました。
──「Everlasting」がしっくりきたというのは?
TADAHIRO 今まで“デジタルとアナログの融合”という曲をイメージしたときに、単にシンセとギターと打ち込みのビートが鳴ってるような、よくあるものしか思い浮かばなかったんですけれど。そうじゃない曲が作れたと思ったんです。エモの要素もあるけれど、ロックだけでもない。その感じがいいなと思ったんです。
──NAO☆さんは自分の歌声の活かし方について、どういうイメージがありました?
NAO☆ ほんとに、考えてないんですよ。思ったままに歌っているので。でも、今回のレコーディングはTADAHIROとTOSHIYA、2人のディレクターがいたんですね。クラブサイドの5曲目から7曲目では、TOSHIYAがディレクションを手がけてるんです。2人のディレクションは全く違うから「自分はこんなふうに歌えるんだ」という発見の多いレコーディングでした。
──なるほど。1曲目の「Hypernova」から4曲目の「Voices」とラストの「Secrecy...」がバンドサイドで、5曲目の「Sign」から7曲目の「Hurry」がクラブサイドなんですね。
TSUYOSHI そうです。今回、ハッキリ分けたかったというのはそういうことで。できることならディスクも分けようとすら思ってました。
Addy(あでぃ)
「個性」と「遊び心」をコンセプトに、ミュージシャン、映像作家、デザイナーなどさまざまな分野の才能が集結した、総勢12名のクリエイター集団。2009年より活動をスタートさせ、2010年9月には1stミニアルバム「Futures」を発表した。ライブでは独自のメンバー構成ならではの多角的に楽しめるステージを展開している。2012年2月1日に2ndミニアルバム「ZIG-ZAG」をリリース。