ナタリー PowerPush - Addy
個性派クリエイター集団の成り立ちとサウンドの秘密
2ndミニアルバム「ZIG-ZAG」をリリースしたAddy。6人のミュージシャンと、映像作家、デザイナー、プログラマーなど各分野のクリエイターからなる総勢12名編成のユニットだ。
新作「ZIG-ZAG」はボーカル・NAO☆の力強い歌声を中心に、エレクトロでハイエナジーなクラブミュージックと、メタルやスクリーモを想起させるパワフルなバンドサウンドという、彼らの持つ2面性を大胆にアピールした1枚に仕上がっている。
ナタリーでは12人のユニットのうち、バンドメンバーの4人に初のインタビューを実施。その特異な成り立ちから新作で目指したものまで、Addyの個性について語ってもらった。
取材・文 / 柴那典
みんなが「面白そう」というので集まってきた
──新作、すごくカッコよかったです。
全員 ありがとうございます。
──まずはミニアルバムの話よりも、活動形態と成り立ちの話から訊かせてください。バンド+クリエイターという12人のメンバーという形態で活動することになった経緯は?
TADAHIRO(G) 全員の共通の知り合いの人がいて。その人が「面白いことやろうよ」と言って集まったのが、今の各分野のメンバーです。
──通常、バンドがCDをリリースするときには、デザイナーがアートワークを作るし、ビデオクリップは映像作家が作るわけですよね。そういう人たちまでメンバーにしてしまおうという発想はどこから?
TSUYOSHI(B) 「演奏するのがバンド」という固定観念にこだわりたくないというのは、最初にありましたね。
ATSUSHI(Dr) ただ、それよりミュージシャンとクリエイターという枠を超えて仲が良かったというのが一番大きいです。元々は、前にやっていたバンドでジャケットを作ってもらっていたデザイン会社があって、そこにいた3人と仲が良くて。
NAO☆(Vo) 映像を作ることになってCAZが入って。それから、ライブで見た目の部分をアドバイスしてくるような人がいるといいよね、ということでビジュアルコンポーザーのLYRAが入った。最初は12人じゃなかったんですよ。10人でスタートしたんですけど、ライブでのマニピュレーターとしてKSK。アプリを作ろうとなったときにSHINYAがメンバーになりました。みんなが「面白そう」というので集まって始まったんです。
Addy「Sign」ミュージックビデオ
コンセプトは「真剣に遊ぼうぜ」
──でも「なんか面白いことをしよう」だけじゃ、集団は続かないと思うんですよ。「なんでもできる」じゃなくて「Addyはこういうことをするユニットだ」というアイデンティティが定まったことが、新作につながっていると思うんですけれども。
TADAHIRO そうですね。常にそれを見定めようとしてます。最初は何をしていいかもわからないし、何を作っていいかもわからない。でも、やりたいことはそれぞれにある。だからとりあえずそれをやってみようというのが1stミニアルバムの「FUTURES」だった。そこで定まったものからできたのが今作だと思います。
──1stで掴んだ「やりたいもの」の感触はどういうものだったんでしょうか?
TADAHIRO 漠然としてますけれど、自分たちの行く方向が定まったという感じですね。
NAO☆ ライブをやっていくうちに見えてきたものがたくさんあったんです。クリエイターとバンドがお互いをすり合わせて作ったのが「FUTURES」だったけれど、やっぱり軸が楽曲にあり、そのイメージと伝えたいことを元にジャケットのデザインをBOSSやDAN326が作るということになって。
TADAHIRO そこでデザイナーがメンバーだと、自分たちの気持ちをもっとダイレクトに伝えることができるという利点があるんですよ。
──通常、バンドとデザイナーって、言ってみれば「クライアント」と「発注先」なわけですよね。でも、お互いがメンバーだともっとフラットな関係性になるんじゃないかと。
NAO☆ まさしくそんな感じです。
ATSUSHI 話も伝わりやすいし、向こうからアイデアも出してきますからね。
──「個性と遊び心をコンセプトにスタートした」とバイオグラフィーにはありますけれど、それはつまり、Addyというのを単なるバンドではなく、メディアアートでもあり、遊び場でもあると捉えているという感覚なんでしょうか。
TADAHIRO そうですね。コンセプトは「真剣に遊ぼうぜ」ということなんです。
Addy(あでぃ)
「個性」と「遊び心」をコンセプトに、ミュージシャン、映像作家、デザイナーなどさまざまな分野の才能が集結した、総勢12名のクリエイター集団。2009年より活動をスタートさせ、2010年9月には1stミニアルバム「Futures」を発表した。ライブでは独自のメンバー構成ならではの多角的に楽しめるステージを展開している。2012年2月1日に2ndミニアルバム「ZIG-ZAG」をリリース。