足立佳奈の新曲「ゆらりふたり」が6月24日に配信リリースされた。
今年8月30日に迎えるデビュー5周年に向け、4月から連続リリース企画を展開している足立。4月の「オーマイガール」、5月の「Me」に続く第3弾楽曲となる本作は、「Myra」や「W/X/Y」がSNSを中心に大ヒットを記録しているシンガーソングライター・Tani Yuukiをフィーチャリングボーカルに迎えたラブソングとなっている。
本作のリリースを記念し、足立佳奈とTani Yuukiの対談をセッティング。プライベートでも仲がいいという2人がお互いのクリエイティビティをぶつけあって作り上げた本作について、たっぷり語り合ってもらった。
取材・文 / もりひでゆき撮影 / 入江達也
こんなに早く叶うとは……
──お2人はもともと面識があったんですか?
足立佳奈 私たちがオフィシャルサポーターを務めていた「#アトリエプロジェクト」(2021年にソニー・ミュージックとTikTokが立ち上げたプロジェクト。音楽や動画、イラストなどを制作しているクリエイター同士のコラボをサポートする。参照:「#アトリエプロジェクト」始動|足立佳奈、坂口有望、Tani Yuukiメッセージ&参加クリエイター紹介)の活動の中で出会ったんですよ。それ以降はプライベートでも仲よくさせていただいていて。
Tani Yuuki みんなでごはんを食べに行ったりとか。その段階で「一緒に曲を作れたら」みたいな話はしていたんですよ。
足立 最初はお互い軽い感じだったけどね。ただ、昨年末にTaniくんのライブにお邪魔させてもらったところ、その圧倒的な歌とパフォーマンスに私は心をつかまれてしまって。そこで改めて本格的にコラボをお願いさせてもらったんです。まさかこんなに早く叶うとは思ってなかったから夢のようなんですけど。
Tani そうだね。こんなにスムーズに実現できるとは。
──年齢的には足立さんが22歳でTaniさんが23歳と、同年代ですよね。それも意気投合できた1つの要因だったんでしょうか?
Tani それもあったかもしれないですけど、とにかく佳奈ちゃんがめちゃくちゃ話しかけてきてくれるんですよ。それが大きかった気がする。
足立 年下なのにガツガツしてんだよな、私(笑)。
Tani いやいや、そこがよかったんですよ。僕は出会ったばかりの人とごはんに行ったりとか、それこそ一緒に音楽を作るとかってことにはなかなかならないタイプなので。佳奈ちゃんがグワッと攻めてきてくれたからこそ、コラボを実現するまでの道のりが見えやすかったんだと思う。
足立 私はもともと、Taniくんの楽曲をたくさん聴いてきていたんですよ。男性ならではの低いトーンが魅力的だし、かと思えば私が出せないくらいのハイトーンもしっかり出せてしまう。そういう歌の力が多くの人に響いている理由なんだろうなとずっと思っていて。同時に、Taniくんの声が私の声と重なったときにどんな化学反応が生まれるんだろうっていう興味もすごくあったんです。だから最初からかなりグイグイ行っちゃったんだと思います(笑)。
Tani いやー、すごくうれしかったですよ。出会いのきっかけだった「#アトリエプロジェクト」自体、クリエイター同士のコラボがコンセプトでしたからね。僕としても、このご縁を無駄にしないように、何か一緒にできたらいいなと強く思ってました。
すごく元気で明るい足立佳奈
──Taniさんは足立さんに対してどんなイメージを抱いていましたか?
Tani まずはすごく元気で明るい方だなという印象がありますよね(笑)。音楽に関しては、デビュー以来、しっかりツアーも回られているし、今は連続リリースというプロジェクトも進行されていて。僕とは形ややり方は違うかもしれないけど、音楽に対してのストイックさをめちゃくちゃ感じます。歌詞の語尾をそろえて韻を踏むとか、そういう部分では自分の表現にも近いところがあるような気もしますし。最近の曲だと「Me」(5月に配信された連続リリース第2弾楽曲)が僕は特に好きなんですけど。
足立 あー、あの曲の歌詞も語尾がけっこうそろってるもんね。
Tani そうそう。すごくシンパシーを感じる曲だったりしますね。さらに言えば、音楽だけに限らず、レギュラーラジオをやられていたり、先日は野球の番組(NHK BS1「NHKスポーツスペシャル 新感覚!中継 ゆる~く深く!プロ野球『阪神』対『日本ハム』」)に出られたりもしていたじゃないですか。
足立 そうですね。野球が好きなので、そういうお仕事もさせていただいてます(笑)。
Tani いろいろな幅広い活動をされている姿に対してはリスペクトの気持ちしかないです。本当にすごい! 僕はしゃべりに対して苦手意識があるので、そういったバラエティとかは絶対大変だと思うんですよね。もちろんやってみたい気持ちはあるんですけど。
足立 Taniくんはしゃべりも全然いけると思うんだけどなー。私もTaniくんに対してはリスペクトの気持ちしかないですよ。アレンジまで含めて、すべてを自分でできてしまう方なので、本当に頭が上がらないというか。Taniくんの楽曲をたくさん聴かせていただく中で、言葉選びやリズムの作り方はすごく勉強させてもらってます。
Tani えー、それはうれしいな。ありがとうございます。目の前でそういうことを言っていただけると、こっ恥ずかしいですね(笑)。
Taniくんと一緒にやるならやっぱりラブソング
──お2人のコラボ曲となった「ゆらりふたり」はどのような流れで制作が進んでいったんですか?
足立 まず私のほうで大枠を作らせていただきました。いつもお世話になっているCarlos K.さんと一緒にAメロ、サビ、大サビを作り、そこに乗る歌詞も私が書いていって。で、それを踏まえたうえでBメロの歌詞とメロディをTaniくんに作ってもらった流れです。楽曲の方向性としては、今回せっかくコラボさせてもらえることになったので、全体の雰囲気や打ち込みのアプローチなどでTaniくんが普段やっている楽曲の雰囲気に寄せることをけっこう意識したんですよね。
Tani そうなんです! デモをいただいた瞬間、「わ、すご!」って思った。曲調はもちろん、リズムの取り方、歌詞の書き方に至るまで、僕の雰囲気にとても寄り添ってくれたものになっていて。僕のことをリスペクトしてくれているんだなということが曲の端々から伝わってきたのがまずうれしかったし、だからこそ歌詞とメロディを乗せるのにも全然苦労しなかったですね。すごく楽しみながら書くことができました。
足立 歌詞で描いていく内容に関しても、Taniくんと一緒にやるのであれば、やっぱりラブソングだろうということになって。男女の視点で描いていくことになるわけですけど、どっちかが悪者になるのはちょっとイヤだなっていう気持ちが私の中にあったんですよ。なので、お互いにすれ違い、葛藤の気持ちを持った2人なんだけど、でも別れるという選択をするのではなく、歩み寄って一緒にいることを改めて決意する内容にしようと思いました。そのほうがお互いに歌いがいもあるし、きっとそれぞれのファン、特に同世代の方には共感を持って聴いてもらえる曲になるんじゃないかなって。
Tani 佳奈ちゃんの歌詞の内容に対して、男性側からのアンサーになるようなイメージで僕は言葉を選んでいきましたね。ただ、使おうと思った単語がすでに使われていることがけっこうあったんですよ。
足立 えー、ホント?
Tani うん。「うわー、もう使われちゃってるからほかの言葉探さなきゃ」みたいなことがけっこうあった。それはきっと佳奈ちゃんと感性が近い部分があるってことなんだろうなとすごく感じましたね。
足立 いやいや、そんな恐れ多いです(笑)。Taniくんが本当に熱意を持って作詞に取り組んでくれたのが私としてはすごくありがたかったんですよ。内容についてLINEで相談をしてくれたこともあったんですけど、私がそれに気付くのが遅れて、夜中の3時くらいに返信したんです。そうしたらすぐに「わかった。ありがとう!」と言って、翌日にすぐ歌詞を上げてくれて。めちゃくちゃ忙しいスケジュールの中、そうやって熱心に向き合ってくれる姿は、同世代のアーティストとして本当に刺激をもらえました。「私もそういう人にならなきゃな」ってすごく思いましたね。
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僕のキャラがこの曲で報われた