足立佳奈の2ndアルバム「I」が2月12日にリリースされた。
19歳から20歳にかけて制作された本作には、AbemaTVの人気番組「今日、好きになりました。」を盛り上げてきたテーマ曲の数々に加え、Rude-αとのコラボ曲「Like it feat. Rude-α」や等身大のメッセージを込めた「20」、一発録りによる「二子玉川」などさまざまなタイプの新曲が収録されている。
今回はバラエティに富んだニューアルバムを、足立本人に解説してもらう企画を実施。彼女の言葉と共に、アルバムを楽しんでほしい。
取材・文 / 真貝聡 撮影 / 塚原孝顕
挑戦をテーマにやってみたかったことを詰め込んだ1枚
──2ndアルバム「I」は、曲調、歌詞、歌い方などさまざまな面において“新しい足立佳奈”を覗かせた作品になりましたね。
今回のアルバムは挑戦をテーマに作ろうと思ったんです。なぜ挑戦になったのかというと、私が20歳になったことが一番大きくて。それをきっかけに、もっといろんなジャンルの楽曲を歌ったり、いろんなアーティストさんとコラボしたり、という今までやってみたかったことを詰め込んだ1枚にしたいと思って制作に臨みました。
01.little flower
──今回は各曲の魅力を改めて紹介したく、全曲解説をお願いできればと思います。まず1曲目「little flower」は、AbemaTV「今日、好きになりました。」のテーマソングでした。
この曲は去年の4月にリリースしたんですけど、19歳から20歳にかけての一発目のシングルということもあり、大人っぽい世界観をテーマに作りました。でも大人な感じに振り切るわけじゃなく、その中に等身大な私も入れたくて大人っぽさと10代特有の幼さの2つを取り入れた楽曲が「little flower」になっています。歌詞はCarlos K.さんが書いてくださったんですけど、私自身の恋愛観が詰まった内容です。
──この楽曲を機に、足立さんの歌うラブソングの方向性が変わってきた気がして。歌詞に好きだからこそ生まれる、不安や焦りが色濃く表現されるようになりましたよね。
確かに今までは気持ちをストレートに表現してました。わかりやすく言えば、「好き」という言葉をサビで歌うような言葉選びをしていたんですけど、この曲で初めて恋する気持ちを別のモノに例えて歌いました。サビ終わりの「はじめは気づかなかった 小さな小さな花だけど いつのまにか こんなに大きく咲いていたんだ」という、花の成長と自分の恋の成長を重ねているところが特に気に入ってます。歌うときもかわいさではなく芯のある声を意識したので、大人に向かっていくターニングポイントの曲になりました。
02.Like it feat. Rude-α
──2曲目「Like it feat. Rude-α」は、同じレーベルのRude-αさんをゲストに迎えた楽曲です。
Rudeくんはお互いに違うジャンルの音楽をやっているから、合体したらどういうふうになるんだろうと。今までにない化学変化が起きたらいいなと思って声をかけさせてもらいました。
──楽曲提供はISSEIさん、歌詞は足立さんとRude-αさんの共作です。
歌詞に関しては、仲のいいカップルを思い浮かべて、とにかく楽しい雰囲気を意識しました。だから恋愛の複雑な感じは出さずに、付き合っている男女が日々生活するうえで「こんなことあるよね」「あんなことあるよね」という“あるある”を言い合ってる様子を歌詞に落とし込んでます。私が歌っているパートは自分で歌詞を書いて、Rudeくんが歌うパートはRudeくんが書いて。最初に私の歌うパートを全部埋めてからRudeくんにお渡して、という流れで楽曲制作をしました。
──Rude-αさんの書いたリリックを読んで、足立さんはどんなことを思いました?
Rudeくんがレコーディングするタイミングで初めて歌詞を聴かせていただいたんですけど、スタジオで歌を聴きながら思わず目がキラキラ輝いちゃって。大好きな彼女と付き合って、楽しそうにしている男の子の思いを歌い方で表現してて、私の想像を優に超えていたんです。その場で「もう完璧です!」と伝えました。
03.話がある
──3曲目「話がある」ですけど、こちらはAbemaTV「今日、好きになりました。」のエンディングテーマでしたね。
最初に、番組側から「告白をテーマに曲を作ってもらえませんか?」と要望をいただいたんです。そこで「告白をするとき、みんなどういう話をするのかな?」と考えたら、ボソボソと自分に言い聞かせたり、思わずポロっと感情が言葉に出てしまうんじゃないかなと。そういうイメージをしつつ、ストーリー性のある大人なラブソングに行き着きました。好きな人がいるにも関わらず、「数年後には 多分私たちは会うこともなくなって 当たり前に当たり前の恋をしてるんだ」という現実的な考えや、最後に「さよなら」で締まるところなど、今までにないリアルな恋の一面が描けたと思います。
──個人的には絶妙に短いイントロも好きなんです。
イントロはこだわりました。Official髭男dismさんの「Pretender」を聴いて、一時は長いイントロに憧れていたんですよ。だけど「話がある」に関しては、長いと聴いてる人がくたびれちゃうのかなと思って。ああでもない、こうでもないと悩んでいるうちに気付けば6パターンくらいイントロができたほど、本当に何度も試行錯誤しました。
──イントロだけで6パターンも!
深夜に聴いて「いい」と思っても、翌朝に聴き返すとまた印象が違ったりするんです。その都度、作曲をしてくださったSori Sawadaさんに相談して。何度も話し合ってようやく完成した、本当にこだわりのイントロです。
04.ホントのコト
──4曲目「ホントのコト」のメロディは、今までの足立さんの曲にはなかったAORっぽいリラックスした雰囲気ですね。
私がこの曲を聴いた最初のイメージは、ビーチで流れる心地いい音楽という感じだったんです。そこから内容をどうしようか考えて。日常のことを表現した歌詞にするか、ラブソングにするか、どうしようと悩んで最終的に今まで自分が書いたことのない恋愛の曲に仕上げました。言葉と音のハマり方もいろんなパターンがあって、例えば「ah」と歌うのも、言葉の前に置いたほうがいいのか、それとも後ろに置いたほうがいいのかなど、レコーディングをしながら細かくバランスを調整しました。
──歌詞には「レポート」や「バイト」など大学生の日常を感じさせる言葉があって、大学にも通っている足立さんならではの視点ですね。
ラブソングを作るときは、どの世代の人を対象にするのか毎回悩むんですよ。今までは番組のタイアップがあったので、高校生の子たちに目線を合わせて歌詞を書くことが多かったんですけど「ホントのコト」に関しては、等身大のことを歌おうと。大学生の自分がこの仕事をしてなかったら、普通にバイトをして、レポートに追われて、誰かと付き合う時間もないような慌ただしい時間を送っていて、本当のことを言えずにいるだろうなあと。そういうのは大学生ならではじゃないかなと思って、この曲は今の自分が思う“あるある”を詰め込んでます。
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