想像を膨らませて
──8月リリースのシングル「ひとりよがり」に続き、10月14日には早くも新曲が2曲配信されましたね。「Call me」はAbemaTVの番組「今日、好きになりました。」のオープニングテーマになっています。
「Call me」は疾走感のある軽快なラブソングです。はじめましてのMichael Kanekoさんに作曲とアレンジをお願いしたことで、今までとはちょっと違った雰囲気を持った新鮮な楽曲に仕上がったと思いますね。子供っぽくなりすぎず、でもかわいらしさを感じられるような曲にしたいというイメージが自分の中にあったので、制作の過程では細かく意見を言わせていただいたりもして。それに対してMichaelさんが「じゃ、こういうのはどうかな?」ってすごく柔軟に対応してくださったのがうれしかったです。
──やり取りの中で足立さんが特にこだわったところというと?
まずはキーが高すぎないこと。高すぎると曲の印象がかわいくなりすぎちゃうので。あともう1つのこだわりは、ラスサビでの転調です! 今まで転調する曲がなかったんですけど、ずっとやりたかったんですよ。Michaelさんにお願いして実現したことで、曲の最後にいいダイナミクスが生まれていると思います。
──タイトルからもわかるように、歌詞は電話での会話がモチーフになっていますね。
はい。電話のシチュエーションで曲を作ってみたいという思いも以前からずっとあって。今回はもともと友達だった男の子に対して恋心を抱くようになった女の子が主人公なんです。ずっと仲良くしていたのに、好きになった途端、話すのがものすごく照れくさくなってしまった。でも顔が見えなければ素直に話せるから電話をして、相手のことをもっと知りたいなという内容ですね。相手への好きという気持ち、「この人で間違ってないんだ」っていう思いが歌詞にギュッと詰まっていると思います。
──足立さんはデビューから基本的に実体験をもとにして作詞をしてきましたよね。「フィクションでも歌詞を書けるようになりたい」ともおっしゃっていましたけど、今回は?
今回は、「今日好き。」から受け取った感情であったりとか、自分なりの想像を膨らませて書いた部分が多かったと思います。ただ、好きな人と話すと照れくさくてドキドキしてしまう気持ちはよくわかるので、私自身の経験もしっかり込められてはいるんですけど。「君の口癖や話し方に似てくる」っていうところなんかは、友達と話していたりしてもそういうことがよくありますしね。
──サビに英語のフレーズが盛り込まれているところが、足立さんの歌詞としてはちょっと新鮮かなと思いましたが。
そうですね。日本語のほうがパッと聴いたときに意味をすぐ理解できるから、今まではなるべく英語は使わないようにしていたんですよ。自分も英語がそんなにできるわけじゃないし(笑)。でも今回はメロディの雰囲気的に英語を取り入れたい気分になって。おそらくどなたにもわかってもらえるであろう簡単な英語を使ってみました。Michaelさんは英語がとても堪能な方なので、レコーディングの際には発音に関して細かくレクチャーしてもらえたのもよかったです。「佳奈ちゃん、ここは舌を噛むんだよ」とか「“アイ・ラブ・ユー”じゃなくて“アイラビュー”ってつなげて発音すると英語らしく聞こえるよ」とか、いろいろな知識をいただきました。
フィクションが多めだからこそ
──歌に関してはどんな感情を大事にしてレコーディングしましたか?
この曲の主人公は、相手の男の子を今まで友達だと思っていたからこそ大切にしたい気持ちが強いと思うんです。なので、優しい表情を強く意識した歌にするように心がけましたね。この曲をかわいい表情だけで歌ってしまうと、自分がどう思われているかだけを考えている女の子になってしまう気もしたので。優しさをプラスしたことで、いい歌になったと思います。
──好きという感情を相手に押し付けるだけじゃない恋愛模様は、20歳になった足立さんだからこそ書けたものなのかもしれないですね。
自分の性格的には好きになったら一直線、グイグイ攻めるタイプではあるんですけど、ちょっとは落ち着いて周りが見られるようになってきた……のかもしれないです。自分で勝手に思ってるだけですけど(笑)。
──優しさを意識したということですけど、落ちサビではちょっと表情を変えて歌っていますよね。そのメリハリもよかったです。
そこの歌い方に関してはMichaelさんから「ここだけは感情のままに届けるような歌い方をしてみたら?」っていうアドバイスをいただいて。ここで雰囲気がちょっと変化するので、聴いているとハッとする感じがありますよね。最初はサラッと歌っていたんですけど、Michaelさんのおかげですごく大事なポイントになりました。
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歌に対しての視野を広げるために