TwitterやInstagram、TikTokなどSNSのフォロワーが計100万人を超え、10代の若者を中心に支持を得ている足立佳奈。そんな彼女が8月21日に6枚目となるシングル「ひとりよがり」をリリースする。7月22日に先行配信された表題曲は、AbemaTVで配信中の恋愛リアリティショー「今日、好きになりました。夏休み編」のテーマソング。足立が初めて夏をテーマにしたラブソングとなっている。「最近はラブソングに対する考え方が変わってきた」と話す彼女に、「ひとりよがり」にどんな思いを込めたのか聞いた。
取材・文 / 真貝聡 撮影 / 曽我美芽
好きと幸せは違うんだな
──前作「little flower」をリリースされた頃から、足立さんの人生観や音楽への向き合い方が変わり始めている印象を受けました。まもなく20歳を迎える今、何か心境や環境の変化はありましたか。
これまでは聴く人が思わずキュンキュンする、まっすぐな気持ちを描いたラブソングを歌えたらいいなと思っていたんです。だけど最近はOfficial髭男dismさんの「Pretender」やwacciさんの「別の人の彼女になったよ」のように、ちょっと複雑な気持ちになる、大人なラブソングの魅力にも惹かれるようになって。
──それ以前はどんな曲を聴いていたんですか。
中学や高校の頃はmiwaさんの「片想い」が一番好きだったんです。でもwacciさんの「別の人の彼女になったよ」で「うわあ、こういう恋愛があるんだ」と衝撃を受けて。別れた彼氏の幸せを願いつつも、結局は忘れられない。だけど「彼が幸せになれば」と自分に言い聞かせ、ほかのパートナーと歩む道を選ぶ、という内容で……。私もそういう楽曲に挑戦したくて、「ひとりよがり」は切なさが感じられるようなラブソングになったんです。
──6月にラジオ「かなジオン」でwacciの橋口洋平さんと共演したときにも、足立さんは「『別の人の彼女になったよ』を聴いて、好きな人と一緒にいることだけが幸せじゃないんだなと思いました」とお話ししていましたね。
はい。あとは周りの同級生が結婚したり、子供が生まれたりする一方、中には離婚した人もいて「好きと幸せは違うんだな」って。最近はそんなふうに、恋とは何かということを考えることが多かったです。
──大人の恋愛って、「好きだから一緒にいたい」だけでは乗り越えられないことが多分にありますよね。
本当にそうですよね。将来のことを考えたらお金も大事だし、価値観が合うかも大事。育った環境によって思考もだいぶ変わりますし。もちろん「一緒に変わっていこう」という人もいると思うんですけど、結局は他人なわけで。些細なすれ違いで、好きだけど一緒に過ごすのが難しくなるカップルもいるのかもしれません。
恋愛はどんどん欲張ってしまうもの
──「ひとりよがり」は好きな人が去っていくのを引き止められず、気持ちも打ち明けられない男の子の心情を描いたラブソングですね。
伝えられないけど好きな気持ちはあふれてて、心の中で「会いたい」「行かないで」とずっと言っていて。ときには臆病になったり、「こうなればいいな」と妄想したり、そんなことを繰り返して「バカみたいだな」って考えちゃうことは、男の子にも女の子にもあると思うんです。そんな様子を「ひとりよがり」というタイトルに込めました。
──歌詞に出てくる男の子は、相手が自分のことをどう思っているのか確かめられず、終始葛藤していますけど、足立さんは恋に積極的なタイプなんですよね?
ふふふ、私は積極的ですね。
──ということは、「ひとりよがり」は足立さんご自身とは違う人の目線で書かれた曲になりますね。
今回は想像で書きました。自分の実体験だけだと、歌詞が出てこなくなっちゃったり、どのシーンを切り取っていいのかわからなくなったりするんです。そこで一旦、「周りの人はどうだろうな」と意識するようになりました。例えば電車に乗っているときに「この人、彼氏が話しかけているのに全然笑ってないな」「こっちの人はすごく楽しそうだな」「あのカップルは何年くらい付き合っているんだろう」というふうに観察するようになって。
──想像を膨らませて作品に反映するのは、作家的なアプローチですよね。
どうなんですかね(笑)。この前も1人で焼き肉屋さんに行ったら、向かいの席に私と同い年くらいの女の子が2人いて。大きな声で「あいつがさあ!」と男の子の愚痴を言ってたんです。
──あははは、よく見る光景で。
そしたら「ウチの彼氏は私だけじゃなくて、ほかの子にもいい顔するんだよ。そんな人と付き合っている意味あんの? どう思う!?」って話してて。「そんなこと考えるんだ!」とメモを取って、曲作りの参考にしました。
──その女の子のような嫉妬心を足立さんが感じることは?
ないんですよね。友達が「聞いてよ、佳奈! ウチの彼氏がさ……」と恋愛相談をしてきても、私は「相手がいるだけで幸せだと思うけどね」といつも最後に答えてます。
──いやあ、素晴らしいですね。
それでいろんな人の話を聞いていくうち、みんなどんどん欲張っていくのに気付いたんです。そういう部分も曲作りのヒントになりましたね。
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ギリギリ10代の私だからこそ書けた歌詞