足立佳奈|元気で明るいだけじゃない 新しい声で歌う私のラブソング

自分に何ができるのかまだ見えていない

──昨年12月に東京・名古屋で初のワンマンライブを経験されて、今年の春には全4公演の初ツアーも開催しました。ご自身のライブスタイルに関して、何か見えてきたものはありますか?

ライブでもいろいろやってみたいことはあるんですけど、今はまだ自分に何ができるのかが明確には見えていないとは思っていて。楽しい空間を作るというテーマはあるんですけど、正直、その言葉に甘えている部分もあるように思うんですよね。なので今はライブに関してもまだまだ日々、勉強中。ほかのアーティストの方のライブ映像を観ていろいろ学んでいるところです。あ、でもステージに立ったときに緊張はしなくなったかもしれないです。緊張することなく、目の前にいるお客さんに対してしっかり気持ちを伝えられるようになったのは、ワンマンライブを重ねていくうえで得たものだと思います。

──ご自身がまっすぐに感情を届ければ、観客はそれをしっかり受け取ってくれますからね。それが目に見えてわかるのがライブの醍醐味だと思います。

そうなんですよね。ツアーのとき、「私へ。」で泣いている方がステージから見えたりもして。そういう瞬間を肌で感じることができるのは本当に素敵なことだと思います。だからこそ、曲に込めた思いをよりうまく伝えられるようにもっともっとがんばろうという気持ちにもなりますから。

足立佳奈

──シングル「little flower」の初回限定盤に同梱されているBlu-rayには、1stライブのドキュメントムービーが収録されていて。そこには、思うようにパフォーマンスできないことで泣きそうになる足立さんの姿が映し出されていました。笑顔の裏にはそういった苦悩が隠されていることを改めて痛感してグッときました。

ギターが全然思うように弾けなかったんですよ。でもステージ上では表情に出ないようにしなきゃいけないですからね。人前に立つ人間としては当たり前のことではあるんですけど、自分に対して悔しくなる気持ちはやっぱりありました。ただ、春のツアーでは1公演ごとにしっかり成長していることを実感できました。毎回、ライブ後にはバンドメンバーとじっくり話し合い、反省点をちゃんとクリアしたうえで次のライブに臨めたので。結果、最終公演の名古屋では今の自分としてベストなライブができた手応えがあったのがうれしかったです。だからこそ次のライブもすごく楽しみです。

焼き鳥は音楽と同じくらい大事

──さかのぼれば足立さんは2014年に「LINE×SONY MUSICオーディション」で12万5094人の中からグランプリを獲得、17年にCDデビューしました。その経歴がシンデレラストーリーと称されることも多いですけど、ご自身としてはここまでの歩みは順風満帆だったと思いますか?

いろんな方々の応援もありますし、ここまではすごく順風満帆、うまく進ませてもらっている実感はあります。でも、だからこそ、自分がもっとがんばればもっとうまくいくんじゃないか、まだまだ努力が足りないんじゃないかと思ってしまうことも多くて。そういう意味では節目節目でめっちゃ落ち込んで、泣いてしまうことも多々あります(笑)。

──でも音楽活動に関してくじけてしまうことはなかったわけですよね?

もちろん落ち込んで悩むことはあります。でも歌を歌ったり、ステージに立つことによって自分の中の迷いとか悩みが発散できているんです。音楽活動以外の、日常生活の不安なんかに関しても歌うことで乗り越えられているんです。私が歌い、それを皆さんが聴いてくれる……それが叶うのであれば、どんな悩みも吹き飛んで「もっとがんばろう!」と思えるんですよね。

──なるほど。足立さんにとって、すべての悩みは音楽が解消してくれると。

はい。例えば大学の友達と最近うまくいってないことがあったとしても、家でギターを弾きながら歌えば気持ちがどんどん晴れてくるし、それで曲ができれば大きな喜びにもつながりますから。で、さらに友達との関係に対してもポジティブに動けるようになるという。音楽がすべての問題を解消してくれるっていうのは、我ながら得してる人生だなと思います(笑)。

足立佳奈

──アーティストとしては理想的な循環ですよね。ちなみに音楽以外にストレスや悩みを解消してくれるものってあります?

音楽以外だと……焼き鳥を食べる!(笑) 私、焼き鳥があり得ないくらい大好きなんですよ。昨日も一昨日も食べました。

──音楽と焼き鳥に救われる人生(笑)。いいですね。

あははは(笑)。焼き鳥はたくさん食べても太るイメージがあんまりないのがいいですよね。ご飯を食べると「太っちゃうかも」という罪悪感が生まれるけど、焼き鳥にはそれがないという。むしろ、レバーを食べれば「血になるわー!」という感じで、どんどん元気になりますから(笑)。音楽と同じくらい、私にとっては大事なものですね。