幸坂さんがいらっしゃるから安心して間を空けられる
──「オールナイトニッポン0」ではR-指定さんという相方がいて、掛け合いをしながら番組を進めているわけですが、Rさんなしで番組を進行することについてはどうですか?
それに関しては大丈夫でした。完全な1人しゃべりだったら怖かったかもしれないですけど、アナウンサーの幸坂さんがいらっしゃるので。
──今日の放送を聞いた限りでは、たぶん1人しゃべりでも番組やれそうだなと思いましたよ。
いやー、怖いですよ(笑)。俺はしゃべりにおいてはリアクターっぽい立ち位置のほうが得意なような気がするんですよね。自分が用意した話題を1人で完結させてしゃべりきることって、結構避けてきたんです。どちらかと言うと会話のラリーを続けるのが好きなので、お相手の幸坂さんがいらっしゃるのは大きいんです。それに、性格や人間性が全然違うことも、よい方向に作用しそうだなと思います。
──幸坂さんとお仕事をするのは初めてですよね?
そうです。放送が始まるまでは「はじめまして」くらいの会話しかしてないです。
──そのわりには息が合ってましたね。
ホントですか? よかったよかった。歳が近いっていうのもあるのかな。ほかのパーソナリティの方たちも大御所でありながら、皆さん物腰がやわらかくていい方ばかりなんですが、俺は歳も近くてキャリアも浅いし、より気を使わなくていい、みたいなのはあるかもしれないですね。
──幸坂さんと2時間話した印象は?
ホントに上手で、助かる場面はめちゃめちゃありました。俺が細かい段取りに慣れていないぶん、幸坂さんみたいなしっかりした人がいるのはだいぶ安心できますね。あと、回を追うごとに幸坂さんの素の人間性があふれでてくると思うので、これから広がっていくものもあると思います。
もし大御所になっても、常にツッコまれる側でいたい
──ちなみにラジオパーソナリティもクラブDJも同じ“ディスクジョッキー”なわけですが、どちらも体験してみて、呼び名以外の共通点は何か感じましたか?
これが、マジで何1つないんですよ。DJをやって培ってきた経験とか、DJならではの技術的な面とかがラジオで役立つなんて、悲しいかな、本当にまったくないです(笑)。俺、音楽を作ってるときとラジオをやってるときとで、使ってる脳みそは全然違うんです。Rもそうなんですけど、制作モードに入ってるときは頭が空っぽになってるので、全然うまくしゃべれないんですよ。そういうことめちゃめちゃありますね(笑)。
──「ACTION」のようにいろいろなコーナーを挟む番組は、時間やその場の空気を読んで進行しなければいけないので、ある意味DJに似た職能なんじゃないかと。
そう言われるとそんな気もしてくるけど、俺は別に空気読むの得意じゃないからなあ(笑)。
──番組のコンセプトは「『やってみたい』を『やってみる』」ですが、松永さん自身が番組を通してやってみたいことは?
駅とかの看板にこの番組の広告が貼られてて、俺のイラストのところに吹き出しが付いて「一人前の大人になりたい」って書いてあるんですけど、そういうことですね。俺はあらゆる角度から見ても未熟なので、何か1つのことを成し遂げてみたいというより、大人になるためのいろんな経験を積んでいきたいです。改めて考えるとバカみたいなコンセプトだなあ(笑)。
──松永さんがイメージしている一人前の大人とは?
それがめちゃくちゃ難しいから、答えを漠然とさせたんですよ(笑)。最初「社会人になりたい」と迷ったんですけど、社会人だとちょっとニュアンスが限定しちゃうから、大人とぼやかして。そもそも何をもってして大人なのか、という話もあるし、「大人」という言葉はいい意味でも悪い意味でも使いますよね。欠けている部分が人に愛されるような魅力へとつながることもたくさんあるので、とても一概には言えません。ただ、俺が極端に大人になりきれてないというお話です(笑)。
──まあ確かにそれはあるかもしれませんね。それで言ったら、今日ゲストとして番組に出ていた生島ヒロシさんは、そのあたりのバランスがいい大人だなと感じました。参考になるのでは?
そう思います。生島さんは素晴らしいですよね。俺はああいう人間味のある人が好きです。ちゃんと後輩のために自分の経験や技術を伝えてくれるところがある一方で、自分の脇の甘さを見せてツッコませてくれる度量もある。俺、昔から思ってたんですけど、もし万が一売れたりして大御所になったとしても、常にツッコまれる側でいたいんですよね。まあ、そうなる可能性はだいぶ低いと思うんですけど。
──可能性低いですか? 今のところすごく順調にキャリアを重ねてるように見えますが。
激低ですよ、いつ売れなくなるかわからない恐怖を抱きながら、毎日床に就いてます(笑)。まあ、1つも粗のない100点満点の完璧人間であればツッコまれる必要はないんでしょうけど、そうでなければ「松永さん、なんすかそれ。間違ってますよ」って周りから言ってもらえることが大人の1つの要素だと思うんです。生島さんもそうですけど、受け身が取れる人ってチャーミングだし愛されるし、カッコいい大人だなって憧れますね。
──確かにそうですね。
誰も何も言えない人は、最終的に行きつく先は裸の王様ですからね。「服着てねえじゃねえか」って言って頭をはたいてくれるツッコミ役がいない人って暴走しがちだし、自分が変なこと言ってても気が付かない。俺の粗を笑ったり、ツッコんだり、ときには真剣に注意したりとかしてもらえるような人間でありたいと思ってます。
──ラジオの場合、リスナーからのメールがパーソナリティへのツッコみとして機能している番組もありますよね。
そうですよね。俺も実際すごく助かってます。ラジオや現実世界を問わず、そういった人は必要不可欠ですよね。