TBSラジオにて、平日15:30~17:30の2時間にわたって放送されるワイド番組「ACTION」が4月からスタートした。「ACTION」は出演者やリスナーの“やってみた、やってみたい”という事柄を発信する情報エンタテインメント番組。月曜は宮藤官九郎、火曜は尾崎世界観(クリープハイプ)、水曜はDJ 松永(Creepy Nuts)、木曜は羽田圭介、金曜は武田砂鉄と、一癖ある顔ぶれが日替わりでパーソナリティを務めている。
音楽ナタリーでは4月3日に行われた、新パーソナリティ陣で唯一の20代であるDJ 松永による初回放送の様子を取材。さらに放送終了直後のDJ 松永にインタビューを行い、番組パーソナリティに抜擢された心境や放送を終えた感想などについて語ってもらった。
取材・文 / 橋本尚平 撮影 / 佐藤類
4月3日15:30、思い出野郎Aチームの「楽しく暮らそう」が流れる中で、水曜パーソナリティ・DJ 松永による「ACTION」の1回目の生放送がスタートした。初めてのスタジオで勝手がわからなかった松永は、マイクのスイッチがオンになったことを知らせる赤ランプが点灯する前にしゃべり始めてしまい苦笑い。さらに番組が開始するなり松永は「前番組が『荒川強啓デイ・キャッチ!』でしょ? 格のある情報番組が終わって、次に誰の番組が始まるのかと思ったら20代のヒップホップDJって、これはブチギレ案件ですよね。もし俺が一番聴いてるラジオ番組が終わって、それと真逆なタイプの番組が始まったら居ても立ってもいられないでしょうから、完全に心中お察しします」とリスナーに対して謝罪した。
続けて彼は、ラジオとヒップホップが好きになったきっかけが、中学生の頃にTOKYO FMの深夜番組「WANTED!」で月曜パーソナリティ・RHYMESTERの放送を聴いたことだったと告白。「TBSラジオと言えば宇多丸さんじゃないですか。一番尊敬するアーティストの番組(「アフター6ジャンクション」)の前の時間を任せていただけるなんて」と感慨深げに語っていた。
オープニングこそ緊張の色をちらつかせていた松永だが、その後は1回目の放送とは思えないほどのよどみないトークを繰り広げていた。序盤の30分間はニュースや交通情報、ラジオショッピングといった、夕方のラジオならではのコーナーを次々にはさみながら番組を進行。その合間にアシスタントの幸坂理加アナウンサーがリスナーからのメッセージを読み上げていく。松永と幸坂はこの日が初対面ながら息の合った掛け合いを展開。松永はCMに突入しても止まることなく幸坂とのトークに華を咲かせていた。
パーソナリティが日常のことを語るコラムコーナー「パーソナリティアクション」では、松永が「趣味をください」とリスナーにアピールした。番組の打ち合わせ中に「テーマのないフリートークはスベったときに自分に責任があるので怖い」と話していた彼は、放送作家から「趣味の話をすればいいじゃないですか」と言われ、自分に趣味がないことに気付いたという。趣味に没頭することなく現実から逃れることなく生きていると、1日をまたぐのが楽しくなくなり、就寝前に「ああ、今日も想定内の1日だったな。明日も想定内の1日だろう。知ってた。毎日そう」とつらい気持ちになると松永は熱弁。番組にはその後リスナーから「バードウォッチング」「釣り」「フラダンス」など松永にオススメの趣味が続々と寄せられた。
そしてこの日はスペシャルゲストとして、元TBSアナウンサーの生島ヒロシがスタジオに登場。TBSラジオのレジェンドとも言える大物ゲストの軽妙なトークを目の前にして、松永は「おしゃべりのプロが入ってくると全然違うなって思っちゃいますね」と感心していた。リスナーからのメールで早口だと指摘された松永に対して、生島は「ラジオでしゃべるなら、自分のトークのスピードを3割ダウンさせないといけない」「幸坂さんのことを70歳だと思って話しかけましょう」と具体的にアドバイス。そして番組を20年続けるためのさまざまな秘訣を松永と幸坂に伝授した。
さらに「パーソナリティとして生島さんのように愛されるためにはどうしたらいいんですか」という幸坂からの質問に、生島は「カッコつけずに等身大でいること」と返答。その後、TBSラジオで朝5:30から放送されている「生島ヒロシのおはよう一直線」での名場面集が紹介され、オープニングに遅刻する生島、生放送中に鶏五目ご飯を食べる生島、ヒゲを剃り始める生島など“等身大すぎる生島ヒロシ”の姿にスタジオは大爆笑に包まれた。
17:00台にスタートしたのは、パーソナリティやリスナーのちょっとした野望を叶える進行型企画「ACTIONプロジェクト」。水曜は、美容院に対してこだわりが強すぎる松永と理想の美容院を考える「俺たちの美容院プロジェクト」が放送される。松永は「どうして美容院は1階でガラス張りの店が多いのか。髪を切っている未完成な状態を通行人に晒したくない。ラーメン屋の一蘭のようにパーテーションで区切れないか」「美容師に仕事や趣味のことを聞かれて、自分をさらけ出さなければいけないのがつらい。『話したくない』って書かれたタスキを用意してくれたらお互い楽なのでは」などと、美容院の苦手な点について熱弁。言葉の隅々からにじみ出る面倒な自意識は幸坂を困惑させつつも、多くのリスナーの共感を呼んでいたようだ。なお、このコーナーの最終的な目標は、松永と同じマインドを持った人々が行きやすいような、番組プロデュースの美容院を開業すること。美容院について思うところがあるリスナーは、このコーナーの今後の展開に注目しておこう。
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DJ 松永インタビュー