Koieのマイクを奪いに行ってた高校生時代のHiro
──Hiroさんはどういう経緯でCrossfaithに加入したんですか?
Hiro Crossfaithは大阪のバンドなんですけど、僕は高校生のときに神戸でバンドをやってて。で、あるときスタジオのお兄さんが「大阪にヤバいバンドがおる」ってCDを聴かせてくれたんです。そのときは高校生だったし「俺らが神戸の中では最強や」みたいな感じになってて、「聴かせてくれ。どんなもんじゃい」ってプレイしたらめちゃくちゃカッコいい音が流れてきて、「大阪にこんなバンドがおるんや!」と衝撃を受けて。それで「1回ライブを観たい!」って、ライブに足を運んでから普通にファンになりましたね。当時は最前列でこいちゃん(Koie / Vo)のマイクを奪いに行ってたし、そのときの写真も残ってますよ(笑)。それで高校3年生のとき自分がやってたバンドが解散することになったんですけど、その最後のライブの対バン相手がCrossfaithやったんですよ。
小林 おー!!
Hiro その頃の俺はバンドも解散するし、ジャケットデザインとか、そういう仕事に就こうかなと思ってて。だから自分がステージに立つ最後にCrossfaithと一緒にライブができることがホントにうれしかった。それでライブが終わったら、Teru(Program, Vision)さんが声かけてくれはって、連絡先を交換して。その1カ月後にTeruさんから「堺遊びに来うへん?」って連絡が来て、乗ったこともない南海電車とかを乗り継いで、朝まで堺で遊びました。で、フラフラの状態の朝のマクドナルドで「Hiro、Crossfaith入らへん?」「入ります」っていう流れ。高校時代はスクリーモとかポストハードコアに影響を受けたバンドをやってたから、そんなに速いフレーズはなかったんやけど、それからはもう、まったく弾いたことのないメタルのフレーズをめちゃくちゃ練習しましたね。そういう始まりだから、今もやっぱりCrossfaithが次の動きをするっていうときに、常にファンの目線で見てる自分もいて。
小林 うわー、神戸でバンドをやってたのは知ってたけど、加入のエピソードは初めて聞きました。なんだか似ている部分があって、シンパシーを感じて、すごくびっくりしてます……Hiroくんがおっしゃるように、僕もいまだにリベリオンのファンですし、次どうなるかっていうのはメンバーとしても考えるけど、やはりいちファンとして「リベリオンはどうなるべきかな」「リベリオンはこうなったらカッコいいんじゃないかな」っていうのも、すごく考えますね。
Hiroくんは存在自体がアート
──小林さんがa crowd of rebellionに入ったあとも、お二人の交流は続いていくわけですよね。
Hiro 新潟に行ったときには、亮ちゃんとちょいちょい会ってましたね。バンドをやってるのも知ってたけど、俺らもずっと海外ツアーを回ってたし、なかなか一緒になる機会もなく、ずっとライブを観られてなくて。で、初めて観たのが2015年末の「COUNTDOWN JAPAN」。そこでステージに立ってる亮ちゃんを見たんですけど、ああいう激しい音の中で、ハイトーンの歌声もそうだけど、存在自体が1人だけ特異になってるんだなって感じて。そんな佇まいでステージに立ってる姿を観たときに、俺、ちょっとぐっと来ちゃいました。
小林 (恐縮しながら)ありがたいです……そうやって言っていただけるなんて、ホントに続けててよかったなと思いました。僕は、Hiroくんはアーティストと言うか、存在自体がアートだと思っていて、ずっとチェックをしてきたので。十代の頃なんて同じ髪型にしてた時期がありますもん。美容師さんにHiroくんの画像を見せて。
Hiro mixiの?(笑)
小林 はい。mixiにアップされてた、美術館に行ってるときのHiroくんの画像を見せて「この髪型にしてください」って。Hiroくんのフェイスペイントもマネしようと思ったことがあったんですけど、俺がやったらたぶん落書きみたいになっちゃうんで(笑)。
Hiro そんなことないよ。亮ちゃんは……今でも会うたびに「パワーをいつももらえます」みたいなことを言ってくれるんです。
小林 僕、パワーもらってますもん。でも、フェスのバックステージで会うときとか、いつも緊張しすぎちゃって「Hiroくん」って声かけるので精一杯なんです。今もめちゃくちゃ緊張してますし……。
Hiro 言ってるだけでしょ(笑)。
小林 言ってるだけじゃないっす。僕はホントに緊張してますよ。Crossfaithの皆さんはそれぞれすごくアーティスティックで大きな存在ですけど、僕は特に“Hiroくん超リスペクト”っていう感じなので……。
──同じボーカルパートのKoieさんに憧れるのではなく、Hiroさんを一番リスペクトしているんですね。
小林 もちろんKoieさんのボーカルは素晴らしいし、Crossfaithっていうバンド自体が大好きですけど、やっぱり僕がステージを観ていて最初に目がいくのはHiroくんなんですよ。ずっと好きだし、パートを越えて好きになっちゃうぐらいのアーティスト力があるというか……さっきも言いましたけど、彼は僕にとってアートなんですよ。
亮ちゃんが思いをぶつけてる姿に心打たれる
──a crowd of rebellionは8月16日にメジャー2ndフルアルバム「Gingerol」をリリースしました。Hiroさんも聴きましたか?
Hiro もちろんです。
小林 怖いなー! 大丈夫かな。
Hiro 聴いてて、相変わらず難しい言葉を使うなって思いました(笑)。もちろん彼のボーカル自体、とても素晴らしいなと思うんですけど、彼の歌ってるパートの歌詞が僕は気になってしまうんですよね。
小林 すごくうれしいです。
Hiro 例えばこういうラウドロックシーンにいる日本のバンドで、いきなりポッと「啓蒙思想」とか出てこないやんか。
小林 すごいちゃんと聴いてくれてる……!
Hiro あと亮ちゃんは本が大好きで。自分の中にある文学的な要素を、しっかりメッセージとして作品に落とし込んでるなって思いました。そういうところが僕は素晴らしいと思う。例えばPink Floydは「The Wall」(1979年発売のコンセプトアルバム)で、アルバム全体を通して主人公が学校や社会の中で感じる疎外感を壁に例えていて。そうやって、ホントに話さないといけないことを音楽を通して伝えるバンドって、ラウドロックシーンでは今、どんどん少なくなってきてると思うんですよ。ただ「今日モッシュして楽しかった」とか、そういう……言葉としておかしいかもしれないけど、一部には“大学のサークルノリ”みたいなものができてしまっている。そんなラウドロックシーンの中で、亮ちゃんがシリアスに思いをぶつけてる姿にすごく心打たれます。
小林 書いててよかったなー。Hiroくんがおっしゃった通り、僕も“大学生ノリ”を感じるときがあって。「今モッシュできたから楽しいぜ」とか、ぶつかっただの、ダイブしただの……それは別に悪いことではないし、楽しんでもらってることは何よりなんですけど、やはり実際にライブに来てくれる人たちには、ちゃんと音楽を届けたいと思っているんです。だから僕が大事にしている言葉を聴き取ってくれて、自分の中で解釈してくれたらうれしいなって。言葉を投げてどういうふうに受け取ってくれるのかなっていう楽しみもありますし、正直……不安もありますよ。「意味わかんねー」とか言われちゃうかもしれないですけど、何か気付いてくれて、拾ってくれたらうれしいです。
──小林さんの書く歌詞には、きれいな響きの日本語が使われていることも印象的です。そこにはどんなこだわりがあるんですか?
小林 こういう音楽をやってたら、英語ができたら一番いいのかもしれないですけど、やっぱり「ひらひら」とか「ゆらゆら」とか、そういうきれいな日本語の表現ってたぶん向こうにはないと思うんですよ。だから積極的に使っていきたいなと。
Hiro 海外にはないね。4月にイギリスのフェスに出たとき、楽屋でEnter Shikariのラウ・リーノルズ(Vo)に偶然会って。ラウは社会学をずっと勉強していて講演会を開いたり、楽屋でずっと本を読んでたりするようなタイプなんやけど、そのとき「次の曲名考えたんやけど、日本語でいこうと思ってて」って言ってて。
小林 えー!
Hiro それで「何にしたいん?」って聞いたら「森林浴」って(笑)。で、「森林浴!? わかったけどなんでなん?」って聞いたら、「森林浴って言葉はすごくてな。森林浴ってもちろん1つの言葉ではあるけど、そん中で森というシチュエーションを説明してて、かつ『森林浴をする』という動詞があり、森林浴をするというときの心持ちまでも表現してるんや。そんな立体的なことはないやろ」みたいなことを言ってて。
小林 確かに……すげー。
Hiro なんか、その「森林浴」の話に通ずるような、立体的な言葉を亮ちゃんも使ってるなっていう印象があって。「ゆらゆら」のような日本にしかない言葉の美しさも大事にしつつ、自分の言葉を持ってると言うか。
小林 いやー、うれしいです……涙出ちゃいそうですね。基本的に歌詞を書く人間って、ひねくれてると思うんです。ひねくれちゃってるから、「今の気持ちをストレートに書いたら気持ち悪いな」「だったら紆余曲折でもいいからジワジワわかってほしいな」っていう気持ちもあって。それをHiroさんに“立体的な言葉”っていう表現をしていただけたのかなと思います。森林浴の話、すごく興味深かったです。うわー……俺も「森林浴」って曲書こうかな。
Hiro やめとけ!(笑)
- a crowd of rebellion「Gingerol」
- 2017年8月16日発売 / Warner Music Japan
-
初回限定盤 [CD+DVD]
3780円 / WPZL-31377~8 -
通常盤 [CD]
2700円 / WPCL-12698
- CD収録曲
-
- C17H26O4
- HOPE
- Nex:us
- NIACIN FLUSH
- Devil Scars
- polyrhythm
- if...
- 294.38g/mol
- MATSURI WWWeapon
- Gorilla Gorilla Gorilla
- リビルド
- karma_葬
- 初回限定盤DVD収録内容
-
Xanthium Tour 2017 [スペシャル冬季講習] - Live at LIQUID ROOM -
- II:α→Ω:II
- Crocus
- Black Philosophy Bomb
- She'll Never Forgive To Be Insulted.
- M1917
a crowd of rebellion ツアー情報
- 「Gingerol Tour 2017 ~拝啓くだらねぇ日々へ~」
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- 2017年9月8日(金)千葉県 千葉LOOK
- 2017年9月10日(日)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
- 2017年9月16日(土)石川県 Kanazawa AZ
- 2017年9月18日(月・祝)長野県 LIVE HOUSE J
- 2017年9月20日(水)茨城県 mito LIGHT HOUSE
- 2017年9月23日(土・祝)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
- 2017年10月5日(木)宮城県 仙台MACANA
- 2017年10月7日(土)青森県 青森Quarter
- 2017年10月9日(月・祝)北海道 DUCE SAPPORO
- 2017年10月13日(金)岡山県 IMAGE
- 2017年10月15日(日)愛媛県 WStudioRED
- 2017年10月18日(水)熊本県 熊本B.9 V2
- 2017年10月20日(金)福岡県 DRUM Be-1
- 2017年10月22日(日)広島県 SECOND CRUTCH
- 2017年10月28日(土)新潟県 NIIGATA LOTS
- 2017年11月10日(金)愛知県 THE BOTTOM LINE
- 2017年11月19日(日)東京都 赤坂BLITZ
- 2017年11月23日(木・祝)大阪府 BIGCAT
- Crossfaith「FREEDOM」
- 2017年8月2日発売 / Sony Music Records
-
初回限定盤 [CD2枚組]
1600円 / SRCL-9470~1 -
通常盤 [CD]
1300円 / SRCL-9472
- CD収録曲
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- Freedom(ft. Rou Reynolds from ENTER SHIKARI)
- Rockstar Steady(ft. JESSE from The BONEZ / RIZE)
- Diavolos
- 初回限定盤付属CD収録内容
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- Revolution(The Bloody Beetroots Remix)
- Kill 'Em All(Shikari Sound System Remix)
- Rx Overdrive(TeddyLoid Remix)
- Crossfaith「Crossfaith -LIVE IN JAPAN- AT MAKUHARI MESSE」
- 2017年8月2日発売 / Sony Music Records
-
[Blu-ray Disc]
5980円 / SRXL-131 -
[DVD]
4980円 / SRBL-1761
- 収録内容
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- Opening : New Genesis
- Monolith
- We Are The Future
- Jagerbomb
- Kill 'Em All
- Snake Code
- Eclipse
- Wildfire
- Mirror
- Madness
- Photosphere
- Tears Fall
- Scarlett
- System X VIP
- Xeno
- Raise Your Voice
- Devil's Party
- Astral Heaven
- Rx Overdrive
- Revolution
- Drum Solo
- Countdown To Hell
- Leviathan
- a crowd of rebellion(アクラウドオブリベリオン)
- 2007年春に新潟県新潟市で結成されたスクリーモバンド。メンバーは高井佑典(B)、近藤岳(Dr)、小林亮輔(Vo, G)、宮田大作(Vo)、丸山漠(G)の5人。新潟出身のスクリーモバンドとして自らの音楽性を“コシヒカリーモ”と称している。小林の艶っぽいハイトーンボイス、宮田によるデスボイスという対照的なツインボーカルや、扇動的なバンドサウンドとライブパフォーマンスで着実に動員数を増やしている。2014年7月に3rdアルバム「Calendula」をリリースし、同年12月には「COUNTDOWN JAPAN」に初出演。2015年3月にシングル「The Crow」でメジャーデビューを果たした。2016年6月に初のフルアルバム「Xanthium」をリリース。2017年8月に2ndフルアルバム「Gingerol」を発表した。
- Crossfaith(クロスフェイス)
- 2006年11月結成。幾度かのメンバーチェンジを経て、現在はKoie(Vo)、Teru(Program, Vision)、Kazuki(G)、Hiro(B)、Tatsuya(Dr)の5人で活動を行う。2009年4月にリリースした1stアルバム「The Artifical theory for the Dramatic Beauty」が国内メタルコア、スクリーモシーンを活気付ける起爆剤に。その後「Warped Tour UK」「Sound Wave Festival 2013」「Download Festival 2014」「Reading / Leeds Festival 2014」など海外の大型フェスにも多数出演し、各国のメディアに取り上げられる。2014年10月にキャリア初となるシングル「MADNESS」をソニー・ミュージックレーベルズからリリースするが、2015年1月にKazukiが脳内出血の治療によりライブ活動を休止。サポートギタリストを迎えてライブ活動を行う一方で新曲レコーディングを実施し、9月にメジャー1stアルバム「XENO」をリリースした。同月のKazuki復帰後は世界遺産・日光山輪王寺でのライブや日本テレビ系「スッキリ!!」への出演など国内での活動も活発化させる。2016年7月にシングル「New Age Warriors」をリリース。アジアツアーを挟み、9月よりバンド最長ツアー「New Age Warriors Tour 2016」を開催し、2017年2月にツアーファイナルとして千葉・幕張イベントホール公演を大成功に収める。同年8月にニューシングル「FREEDOM」と、幕張イベントホールでの公演の模様を収めたDVD/BD「Crossfaith -LIVE IN JAPAN- AT MAKUHARI MESSE」を同時リリースした。