山崎慶(Dr / Venomstrip)
今回は特に、1つひとつの楽器の音色や音質にすごくこだわっているなという印象を受けました。ストーリーブックを読む前からそこに物語を感じたというか、聴き終わったあと、ある意味映画を観た感覚になったんですね。お話を読んで、もう一度アルバムを聴いたときは、曲ごとに物語の場面が鮮明に浮かび上がってました。8トラック目に置かれていた「~Le Chat Noir~」の意味もすごく伝わってきたし、それぞれの楽曲たちがまた違う聞こえ方になっていたのがとても不思議で新鮮でしたね。
今回僕は、シングル曲の「黒猫 ~Adult Black Cat~」「君がいない、あの日から…」「INCUBUS」と、「Round & Round」「L-エル-」「versus G」というアルバム曲に参加させてもらったんですけど、yasuさんはきっと、16ビートっぽいリズムとかシャッフルで僕の色気とかプレイスタイルが最大限に発揮できると感じてくれているんじゃないかなと思います。yasuさんはそういったプレイヤーの個性も最大限に生かしてくれるんです。デモの段階から完璧な形で音を持ってこられるんですけど、本当にドラムが好きですごく勉強されているので、具現化できない無理な打ち込みは一切ないですし、本当にそのまま音源にできるくらいのクオリティなんですよね。でも、それを決して押し付けるわけではなく、リズムパターンとかオカズ的な部分では「ちょっとここで慶くんっぽいおしゃれなヤツちょうだいよ」って言って任せてくれるんです。「Round & Round」もそんな感じで任せてもらえて、すごく気に入ってもらえたのがうれしかったですね。「L-エル-」は、ヘヴィで音数が詰め込まれた「versus G」とは違い、音に隙間のあるスローテンポな3拍子の曲なので、“隙間を埋めない美学”みたいな色気のあるドラムを求められていた気がします。
今回のアルバムは、コンセプトアルバムとしてのクオリティの高さや楽曲の振り幅、そしてyasuさんの歌はもちろん、参加メンバーの音1つひとつを楽しめるアルバムでもあると思うので、yasuさんのプロデューサー的な側面も前作以上に感じられると思います。
YOU(G / DEAD END)
僕、Acid Black Cherryのアルバムを全部持ってるくらいyasuの作る音楽とyasuの声と歌が大好きなんですよ。聴いていていつも思うのが、女性的だなっていうこと。それは歌詞のせいなのか、いつもどこかしらポップなのに物悲しい感じが漂ってるんですよね。ポップスでも、バカ騒ぎする感じのポップさじゃなくて、歌謡曲の持つ“昭和の温かみ”みたいなモノを感じるんです。胸がキュンとなる感覚が、どのアルバムでも漂ってるんですよね。3枚目のアルバムだった「『2012』」だけ、サウンドが極端に力強く変化したなとは思いましたけど、やっぱり哀愁は感じたし。
今回の「L-エル-」には、そんな共通する昭和ロマン感が強く漂ってるなと思いましたね。アルバムの最初のほうに収録されている楽曲はすごくヘヴィなんですけど、“ヘヴィメタル”ではない。yasuの作る楽曲は、どんなに激しくても“ヘヴィメタル”にはならないところが不思議なんです。ヘヴィメタルって“歌も楽器の一部”的な印象なんですけど、yasuの楽曲はちゃんと歌が聞こえてくるんです。サポートメンバーは、どちらかと言えばメタルのカテゴリーに入るミュージシャンを起用しているのに、ヘヴィなサウンドを放ちながらもちゃんとポップにまとめてる。そこはyasuのセンスだと思うんですよね。ほんまにそこはすごいなと。昭和の歌謡曲もポップスも体感して消化しながら、非常にメタリックでヘヴィなサウンドも知ってるっていう人ってなかなかいないと思うんですけど、yasuはそうです。“ロックっぽい”じゃないくて、ちゃんとロックやし、ちゃんとポップなんですよね。まさに“yasu節”なんです。今回は、ストーリーブックの物語も世界観に加わっているので、切なく響く“yasu節”がより深く胸に突き刺さるんじゃないかなと思います。
YUKI(G / DUSTAR-3、Rayflower)
僕は、今作「L-エル-」で「liar or LIAR ?」「エストエム」「7 colors」「眠れぬ夜」を弾かせてもらったんですけど、ギターのリフは今まで以上に複雑でテクニカルになったものと、とことんシンプルになったもののどちらかだった気がします。yasuはデモの段階でギターのフレーズをシンセで打ち込んでくるんですけど、僕はそれをギターで具現化していくときに、どうしたらyasuの気持ちを100%受け止めて形にしていけるかっていうことに毎回神経を集中させるんです。yasuは何がやりたいんやろ?っていうことを一旦じっくり考えて、自分の中でしっかりと理解して消化して音にしていく。今回はそこにすごく時間がかかりましたね。
yasuはデモのままやってほしいとは決して言わないんですけど、たまに音というより、ノイズっぽい音やったり、たまに間違えて鳴らしてしまう音までデモに入ってるんですよ(笑)。今回もそんな音が多々あり、そこも忠実に再現しようと思ってスタジオでがんばって弾いてたら、yasuが横で笑いながら、「ありがとう。そこまで再現してくれんねや!」って言ってて(笑)。でも、そこってすごくyasuの音の中では重要なところやったりすると思うんですよね。今回もそんな細かいところにも注目してもらいながら、yasuのアレンジの素晴らしさも含め、深く音を楽しんでもらえたらと思います。
今回のアルバムには4曲のシングル曲も入ってるわけやけど、「Greed Greed Greed」の頃(2013年8月発売)から、もうこの「L-エル-」のストーリーブックのお話って、なんとなくyasuの頭の中には構想があったんかな? もしそうならほんまにすごいなあって思いますね。純粋に音だけでも楽しめるアルバムだと思いますが、お話を読みながら聴くと、また違った聞こえ方になる1枚じゃないかなと思います。
Leda(G)
僕はJanne Da Arcの頃からyasuさんの作る楽曲が大好きで、昔からずっとコピーしていたんです。もちろんAcid Black Cherryも大好きで、アルバムも全部持ってます。なので、どうしてもギターに耳がいってしまうんですけど、Acid Black Cherryの曲はYUKIさんとHIROさんのギターのバランスが素晴らしいと思うんです。yasuさんの作る楽曲にすごく合ってるというか。ハードロックで激しい部分はYUKIさん、メロウな部分や泣きの部分はHIROさんっていう、まったく違う個性を持つギタリストで構成された楽曲が最高にカッコいいんですよね。
今回のアルバムの中で僕は、「versus G」というヘヴィな楽曲でギターを弾かせていただいたんですけど、とにかくデモの段階からすごい完成度の高さでビックリしたんです。ピッキングノイズとかまで入っているくらいのディテールの細かさで、yasuさんの音へのこだわりや意図するところをとても強く感じました。そういう意味でも、楽器好きな人にもオススメできる素晴らしいアルバムだと思います。「versus G」は、妖艶でタイトな雰囲気で弾かせていただいたんですけど、そこにyasuさんの透き通る声が合わさってすごく素敵な1曲になったと思っています。ギターソロはフリーで弾かせていただいたんですが、本当にギタリストとして勉強になりました。
個人的にシングル曲の「Greed Greed Greed」と、アルバム曲の「liar or LIAR ?」「& you」が特に大好きです。「liar or LIAR ?」は往年のハードロックの匂いがするというか、yasuさんのルーツを感じるので、そんなところにもすごく惹かれました。yasuさんの作る激しい楽曲もすごく好きなんですけど、「& you」みたいなメジャーキーを使ったポップな作曲センスも素晴らしいなと思うんです。この曲がアルバムの最後に置かれているところも、グッとくるポイントだと思います。「Loves」から「& you」の流れも最高なんですが、ストーリーブックを読んでから聴くと、より深く情景が突き刺さってくると思います。
Acid Black Cherry 2015 tour L-エル-
- 2015年3月10日(火)広島県 広島文化学園HBGホール
- 2015年3月12日(木)広島県 広島文化学園HBGホール
- 2015年3月18日(水)福岡県 福岡サンパレス
- 2015年3月21日(土・祝)鹿児島県 宝山ホール
- 2015年3月23日(月)滋賀県 滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール 大ホール
- 2015年3月25日(水)兵庫県 神戸国際会館 こくさいホール
- 2015年3月29日(日)東京都 東京国際フォーラム ホールA
- 2015年4月1日(水)香川県 アルファあなぶきホール 大ホール
- 2015年4月3日(金)大阪府 フェスティバルホール
- 2015年4月7日(火)福井県 フェニックス・プラザ
- 2015年4月9日(木)三重県 四日市市文化会館 第1ホール
- 2015年4月13日(月)静岡県 アクトシティ浜松 大ホール
- 2015年4月16日(木)石川県 本多の森ホール
- 2015年4月19日(日)長野県 ホクト文化ホール 大ホール
- 2015年4月21日(火)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
- 2015年5月1日(金)埼玉県 大宮ソニックシティ 大ホール
- 2015年5月7日(木)岩手県 盛岡市民文化ホール 大ホール
- 2015年5月11日(月)宮城県 仙台サンプラザホール
- 2015年5月13日(水)宮城県 仙台サンプラザホール
- 2015年5月15日(金)福島県 郡山市民文化センター 大ホール
- 2015年5月26日(火)新潟県 新潟県民会館
- 2015年5月28日(木)新潟県 新潟県民会館
- 2015年6月3日(水)北海道 ニトリ文化ホール
- 2015年6月11日(木)岡山県 倉敷市民会館
- 2015年6月15日(月)愛媛県 松山市民会館