access|続けてきた究極のアップデートとリスナーとの“接続”

accessがライブBlu-ray / DVDボックス「LIVE ARCHIVES BOX Vol.1」をリリースした。

本作は約7年ぶりの活動再開となった2002年に行われたライブの映像作品2タイトルに、HDリマスターを施したもの。DISC 1は2002年春に行われたツアー「access TOUR 2002 "CROSSBRIDGE"」の東京・東京国際フォーラム公演、DISC 2は同年8月に行われた「access LIVE SYNC-ACROSS 2002 "SUMMER STYLE"」から東京・日本武道館公演の模様がそれぞれ収録されている。Blu-rayは今回初めてHDリマスターされた映像に加え、音声も2ch、5.1ch共にリマスタリングが施されており、臨場感たっぷりのサウンドと映像が楽しめる。

この特集では浅倉大介(Key)と貴水博之(Vo)に登場してもらい、1992年のデビューからこれまで歩んできた道のりを振り返ってもらった。

取材 / 臼杵成晃 文 / 中村佳子

音を“見せる”ライブスタイルは小室さん譲り

──今回17年前の映像がHDリマスターされてリリースされることになったわけですが、改めてご覧になっていかがでしたか?

浅倉大介 改めてきれいになった映像を観させていただきました。ひさしぶりだし少しは懐かしい感じがするかなと思ったけど、全然そんなことなかったなあ。正直、一番時代を感じるのは、画面のアスペクト比でした。

貴水博之 画面サイズには時代を感じるよね。

浅倉 僕はあまり観ない派だけど、HIRO(貴水博之)は自分の映像とかけっこうちゃんと観る派じゃん。どう思った?

貴水 そう。僕、食い入るように観ちゃうタイプ(笑)。自分が出ている映像は恥ずかしくて観られないなんて思ったことは1回もないです。なんならファンのみんなより観てるんじゃないかってぐらい、すごい観ちゃうんですけど(笑)。

access

──実際に当時のパフォーマンスなど振り返って、どう感じましたか?

貴水 けっこうイケイケだったなって(笑)。2人とも攻めのエネルギーがすごく出ていたので改めて学ばされたところもいっぱいありました。最近ファンになってくれた方もいらっしゃると思うんですけど、この当時のライブ映像を観てもらったらまた違ったaccessの一面というか、ルーツを感じてもらえるんじゃないかな。

──accessのライブは、打ち込みを主体としたサウンドに、浅倉さんの生演奏がしっかりと入っているのが特徴的ですよね。この再始動時はすごくトランシーな音楽なんだけど、そこに貴水さんの声が乗ることで、ちゃんと歌モノとしても成立していて。

浅倉 accessはシンセサイザーとコンピュータテクノロジーの進化と共に音楽を作り進めてきたというのが根底にあるので、振り返ってみると「この時代はこの音色でテンションを上げられたんだなあ」みたいな感慨はあるし、そこに自分でも時代を感じますね。「今はトランスじゃないよね」って思いながら観たり。ただその時代時代で一番テクノロジーが生かせるジャンルを確実に取り入れてきたとは思いますね。

──ライブであれだけ実機を演奏して、生で鳴らしている音がはっきり聞こえるデジタルビートの音楽はあまりないように思います。

浅倉 僕、accessを始める前はTM NETWORKのサポートを長くやっていたんですけど、ライブで“音を見せる”というテクニックにおいて、小室哲哉さんはホントに神がかってるんです。僕はその背中をずっと見てきたので。“音を見せる”ことによって耳と目でキャッチしてもらえる情報が増える。エンタテインメントをわかりやすくするのってそこなんですよ。これはもう師匠のおかげですね。

「やってみたい」が積み重なった2年半

──accessのバイオグラフィを改めて振り返ると、デビューしてからの約2年半がものすごいことになっているんですよね。シングルを11枚出して、アルバム3枚とリミックスアルバムも出して……ライブやテレビ出演、雑誌の取材などをこなしながらあのリリース量は、当時としても異常じゃないかなと。

貴水 ねえ(笑)。

浅倉 何が僕らをそうさせたんでしょう(笑)。

──次々と湧き出てくるものがあったとか?

浅倉 勢いみたいなものは感じてましたね。accessに関わるスタッフだったりとかテクノロジーの進化とか……accessはデビューするとき、“SYNC-BEAT”というキーワードを立てたんです。シンクというのは“同期”ですよね。リスナーとシンクして、一緒にどんどん進んでいけたらいいなって。何か1つやるたびにうれしい反応が返ってきて、それが自分たちのパワーになって、「じゃあ次は何をもっと喜んでもらおう」「何をしたらびっくりしてもらえるんだろう?」みたいなことをいつも考えながら、すごい勢いで次から次へと形にしていったんです。

──目まぐるしく過ぎていった日々だとは思うのですが、当時のことを思い出せますか? お二人はどういう志を持って活動していたのでしょうか。

access(Photo by 田中和子[CAPS])

浅倉 発信してきたすべてのものにおいて「やってみたい」「トライしたい」というのがあったのと、そのときどきで精一杯全力を注ぐということを繰り返していて、気付いたらこれだけたくさんの楽曲を残すことができたってことなのかな。本当によく出してましたよね、リミックスまで。

貴水 そうだよね。大ちゃん(浅倉大介)はリミックスもしてるもんね。

浅倉 シングル出した1週間後にそのリミックスをリリースするとかね(笑)。

貴水 大ちゃんが常に曲を作っていたので、曲ができたらすぐに歌詞を書いて、できたらすぐ歌って。俺はいつもスタジオのピアノの下に隠れて詞を書いてましたもん(笑)。「またボツかなー」なんて思いながらできたらおそるおそるプロデューサーに見せる……みたいなのを繰り返して。

浅倉 音楽制作と、MVやビジュアルイメージの制作と、ツアーをやるっていうのを常に同時進行しているような状態だったので、僕がスタジオでどうしても曲作りをやらないといけないときは、郊外のMVロケにHIROだけが行ってビジュアルを先に撮ってくるなんてこともあった(笑)。

貴水 そういうこともあったね(笑)。

浅倉 あとツアー中、地方から都内に戻っても家には帰らず、駅近くのホテルに機材を用意してもらってそこで作業して、また次の旅に行くとか。


2019年6月27日更新