音楽ナタリー PowerPush - 安倍なつみ

ソロデビュー10周年で迎えた新たなチャレンジ

MCのときもなかなか気持ちが切り替えられなくて

──アルバムリリース後、10月24、25日にはライブも控えてます。そういえば安倍さん、9月に行われたコンベンションライブでは1曲歌い終えたところで感極まってましたよね。

安倍なつみ

そうなんです。MCのときもなかなか気持ちが切り替えられなくて。曲の世界や感情を歌い終わったあとも引きずっちゃって、「えーっと、えーっと」みたいにたどたどしいMCになってましたけどね(笑)。でも今回はもうちょっと自分らしいスタイルで届けられるかなと思ってます。1日2公演なので、いいコンディションで臨みたいですね。

──1曲歌うごとにそれだけ気持ちを入れていくと、1日に2ステージ歌うのにはすごい精神力が必要なんじゃないですか?

本当にその通りでして(笑)。だから誰かにMCをお願いしたいくらいなんです。私はその間に気持ちを入れ替えるので(笑)。そういう意味でも初めてのことが多いので、自分でもステージに立ってみないとわかりませんね。とは言っても歌重視の内容にはしたいと考えてますので、初めて安倍なつみのライブを観る人にも、そして今まで応援してくれた人にも楽しんでもらえるライブにしたいと思います。

新しいことを知ることが本当に面白い

──先ほど芸能生活17年目という話が出ましたが、ということはあと3年でモーニング娘。としてデビューしてから20年なわけですよね。

安倍なつみ

そうですね(笑)。デビューして20年になるんだなって思うと、何か特別なことをしなきゃいけないのかなといろんなことを考えるんですけど……20年も経つのかと思うと……自分のスタイル、安倍なつみにしかできない歌っていうのがもうちょっと形になっているといいなと思うんです。それと歌手として、表現者としてもっと成長したいと思うのと同時に、やっぱり女性としても成長し続けたいなっていう思いも強くて。見てくれる人、聴いてくれる人の中にはそういった人間的な成長に自分を重ね合わせてくれる人もいるじゃないですか。自分も普段ライブや舞台を観に行って、感動する部分ってその人の人生や生きざまが自分と重なったときにグッときますし。その歌が歌を超える瞬間というのが、鳥肌モノなんですね。私はそういう歌が好きだし、そういう人の歌が聴きたいと思うので、自分もそうでありたいなと思ってます。

──なるほど。ではモーニング娘。としてデビューした16歳のときに、2014年に自分は今のようになっていると思ってましたか?

いいえ、まったく(笑)。こんな日が来るなんて想像もしてなかった……だってあの頃はクラシックなんて聴いてなかったし、全然知らない世界でしたし。バンドサウンドが好きでロックやポップスばかり聴いていて、それで「シャ乱Qロックボーカリストオーディション」を受けたので。そこからモーニング娘。になってアイドルと呼ばれるようになり、「アイドルってなんだろう? 私ってアイドルなんだ」と思うようになったんです(笑)。そうやって今まで歩んでいく中で、私が知らない間に「みんなが求めるなっち」像ができあがっていて。もちろんそれも私自身なんだろうけど……でもその結果、いろんな世界を見せてもらえたわけですし、今ここにいるわけですから、本当に人生ってわかんないですよね(笑)。

──だからこそ人生って面白いし、素晴らしいんですよね。

本当にそうなんですよ。

──だからこの先も、もっと新しいことが待ち構えているでしょうし。

そうだと思います。最近ではミュージカルの原点のようなものとして、オペラにも興味を持つようになりましたし。音楽にはいろんな歴史やストーリーがあって、深く調べていくと今まで知らなかった世界があることがわかる。今はそうやって新しいことを知ることが本当に面白いんです。もちろんこの先もポップスは歌っていくし、また新しいジャンルに挑戦することもあると思います。そこを知れるうれしさ、喜びはこれからももっと感じたいですね。

──次も同じスタイルの作品を作るかもしれないし、それこそオペラ作品を作るかもしれないし。

安倍なつみ

そう、本当に次にどうなるかはわからないですよね。でも新たにチャレンジできることが目の前にあるっていう状況に私はワクワクするし。どんなことが待ってるのか、見えないところに進んでいく怖さや不安もあるけど、それこそが面白いと思うので、これからもどんどんチャレンジし続けたいなって思います。

──それこそ安倍さんはモーニング娘。の頃から想像もつかないことの連続でしたもんね(笑)。

そうなんです(笑)。次から次へと驚きの連続で、自分でも理解できないままやっていたこともありましたから。でもまたそこから新たに生まれるものもあるし、本当に面白いですよ(笑)。

──そういうチャレンジを経て生まれるであろう新しい「なっち」を、今後も楽しみにしています!

はい、ありがとうございます!

ニューアルバム「光へ -classical & crossover-」 / 2014年10月22日発売 / 日本コロムビア
初回限定盤 [CD+DVD] / 3780円 / COZQ-974~5
通常盤 [CD] / 3024円 / COCQ-85097
CD収録曲
  1. Stand Alone ~NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」より
  2. ローズ
  3. 夢やぶれて ~ミュージカル「レ・ミゼラブル」より
  4. カーネーション ~NHK連続テレビ小説「カーネーション」より
  5. サリー・ガーデン~風と少女~
  6. グリーンスリーヴス~永遠~
  7. 私だけに ~ミュージカル「エリザベート」より
  8. オン・マイ・オウン ~ミュージカル「レ・ミゼラブル」より
  9. この祈り~ザ・プレイヤー~with 望月哲也
  10. 夢はひそかに ~映画「シンデレラ」より
  11. 光へ
  12. 白のワルツ(BONUS TRACK for CHRISTMAS)
初回限定盤DVD収録内容
  • 「光へ」ミュージックビデオ
  • 「夢やぶれて」ミュージックビデオ
  • アルバム「光へ -classical&crossover-」制作ドキュメント映像
安倍なつみ(アベナツミ)

安倍なつみ

1981年生まれ、北海道出身の女性歌手、女優。1997年にモーニング娘。のメンバーに選ばれ、翌1998年にシングル「モーニングコーヒー」でメジャーデビュー。「なっち」の愛称で人気を博す。同グループ在籍中からCMやテレビドラマ出演など、ソロ活動を開始。2004年1月にモーニング娘。卒業を機に、本格的にソロデビューを果たした。ソロシンガーとして活動する傍ら、「祝祭音楽劇トゥーランドット」「三文オペラ」など数々のミュージカルや舞台でも活躍。ソロデビュー10周年を迎えた2014年10月、国内外の名曲カバーを中心としたアルバム「光へ -classical & crossover-」をリリースする。