歌詞が敬語なのは好きな相手が年上だったから

──「貴方の恋人になりたいのです」は、高校時代にできた楽曲だそうですが、どんな風に生まれたか覚えてます？

高校3年の初めごろだったんですけど、確か歌詞が最初にできたんですよ。Bメロの「バイトはなんですか？」「彼女はいますか？」っていうところからできて。で、その後に一番最初の行ができてっていう感じでしたね。メロディに関しては、自分の部屋の机の前に座ってギターを弾きながら。この曲は、サビでは（キーが）高めに行かないと絶対ダメだと思ったんだけど、声がかれちゃって大変だったんですよ。だから「もう好かん、この歌！」とか思ったりもして（笑）。

──最初に浮かんだという歌詞のフレーズが象徴してますが、この曲は片想いソングですよね。

そのとき、実際に実らない恋をしていたんで、それを単純に歌いたかったんです。恋人になりたいよぉ、みたいな（笑）。それで書きました。

──その思いがものすごくストレートに綴られています。

そのときの感情のまんまですね、まさに。すごくうまく書けたなって思うんで、私は好きです。1番では、みんなが経験したことあるようなことを書けてもいるし、2番では、私はあんまり情景とかを書くのが得意ではないんですけど、そういうのも書けた。すごい歌を書いたなぁって自分では思ってます。

──花火を一緒に見たいと願うくだりは、今の季節にピッタリだし。

好きな人とは花火行きたいですよねぇ。花火大会のワラワラした中で、浴衣を着て、手をつないだりして、焼きそば食べたりして。暑いけど寄り添う、みたいな。素敵ですね（笑）。

──実際、経験は？

ない（笑）。夏に彼氏いたことないですもん、今まで。だから永遠の憧れみたいな。

──ですます調で書かれた歌詞が、ひかえめだけどひたむきな愛情をうまく表わしているなぁと思いました。

好きだった人が年上だったんですよ。だから敬語。ただそれだけ。

この曲ではコーラスやハモリもナシにしたかった

──この曲は、デビュー前からMySpaceでアコースティックバージョンが公開されていましたが、今回のシングルではバンドアレンジになっていますね。

アレンジャーさんには原曲をあんまり派手にイジらないでほしいっていうリクエストはしました。コーラスやハモリもナシにしてほしいっていうのも言ったし。なので、最初は（音を）足して足しての作業だったけど、そこからいろいろ引いていって。最後の終わり方も相談しながらやりましたね。

──余韻のあるエンディングが素敵です。

私の中でフェードアウトっていうのは、ちょっと「ん？」っていうような終わり方だったんですよ、今までは。でも、この曲に関してはアリだなって思ったんで、考え方が変わったきっかけになった曲ではありますね。

──ストリングスが入ったことでドラマチックな表情も出てますね。

やっぱり弦が入ることによって壮大な感じにはなりましたね。まさかデビューしてすぐに生の弦を入れてもらえるとは思ってなかったんで、すごくうれしいなと思いました。

──この曲にストリングスが合うっていうイメージは、曲ができた段階で頭の中にあったりはしました？

全然なかったです。ただ、曲を作る中では、いろんな音が頭の中で鳴ってるのは鳴ってるんですよ。でも、それが何の音なのかっていうのがわからないんです。自分の中の引き出しがまだ少ないから。今回、弦を入れてもらったことで、弦を入れればこういう感じになるんだなっていうのを勉強することができたのは良かったなぁって思ってます。そういうところはどんどん吸収していきたいなって。