片思いさせてくれる人が素敵だと思う

──2曲目は「I wanna see you」。カルピスウォーターのCMソングとしてガンガン流れている、あの曲です。

今朝もCM観ました。感動です。嬉しい。

──CM観ながら一緒に口ずさんだりはしない？

しないです。家ではそんな元気ないです。「嬉しいなぁ」で終わり。

──そっか（笑）。いやでも、この曲はクセになるサビのキャッチーさが際立ってますよね。

よかった、よかった（笑）。これは高校生のときに書いたんですけど。私が片思いしてて、その相手が隣の県に住んでたんですよ。で、会えないから会いたいと思って会いに行ったっていう歌で……それで終わりなんですけど（笑）。

──そのシンプルな感情がすごく女子っぽくてカワイイ。

確かに女子な感じですよね。でも、これ書いてるときは女子の目線では書いてなくて、どっちかっていうと男性的な感じだったんです。でも、ちょっとかわいらしい感じもあるから、中性的な感じもしつつ。不思議な曲なんですけど。

──あとは、相手を愛しく思う気持ちと、そこにちょっぴり切ない感情も入っているじゃないですか。そこがすごくリアルだったりもして。

うん。愛しいほど切ないんですよね。振り子みたいに両方が同じだけあるって感じ。愛しいだけの恋愛もないし、切ないだけの恋愛もない。

──でも、この曲って片思いなんですかね？ 相手も「好きに決まってる」って言ってくれてるわけでしょ。

そこなんですよねぇ（笑）。要は、あとあとになって“LOVE”じゃなくて“LIKE”だよって言われるみたいな。結果そういう感じなわけですよ。「なんなの、その態度！」っていうことなんですよねぇ（笑）。

──なるほど（笑）。それは切ない。

切ないんです（笑）。でも片思いのときが一番、一途だと思うんですよ。だから片思いさせてくれる人って素敵だとも思うんですけどね。

そのとき感じた切なさがフラッシュバックするんです

──この曲もサウンドのイメージはデモの段階から頭の中にはありました？

そうですね。完成した音に近い感じのイメージはありました。基本的には、ドラムがドヤドヤいってるんだけどカワイイみたいな。で、2番の後の間奏とかは絶 対ギターソロじゃなくてベースのソロだって思ってたんですよ。そういうのは頭の中で鳴ってました。

──唄に関しては？

これは去年、アルバムを作ってるとき一緒に録ったんですけど、表現の面ではやっぱりカワイイ曲だなって思ったからカワイイ声で歌うっていうことを意識しましたね。でも、この曲は歌うたびに、曲ができたときの情景というよりは、そのとき感じた切なさがフラッシュバックするんですよね。なので、今でもこれを歌うと切ない気持ちにもなり ます。

──いつ歌っても、そこに込められた感情が生々しく蘇るっていうのが阿部さんにとって重要なことなんでしょうね。

そうだと思いますね。だからこそ、自分の感じたことを絶対曲の中に埋め込みたいなぁって思います。あとは普遍的なことを歌いたいと思ってるっていうのもあるんですよね。曲を書こうって思う力の源をくれるのは自分の中の一時の感情ですけど、やっぱり書いた内容はいろんな人に共感してほしいし、世代を超えて聴いてほしいなって思います 。