今までの自分は甘かったなって

──デビューから4カ月ほど経ったわけですけど、気持ち的な変化ってあったりします？

最近は穏やかですよ。ちょっと前まではデビューしたっていう不安とプレッシャー、あとはペースがつかめなくて曲が書けないとか、いろいろあったんですけど。

──その状態をどう乗り越えたんですか？

3月末に九州限定のライブツアーをやったんですよ。そこで、阿部真央の曲を聴いて応援してくれているファンの人の顔を見て「あ、やっぱ聴いてくれる人がい るんだな」と思って少し安心したっていうのがひとつ。あとは九州ツアー前くらいから、曲をそんな無理に作る必要はないなって思うようになってきたことで、上京してくる前のスタンスが 徐々に戻ってきて、いいペースがつかめてきたっていうのがもうひとつの理由だと思いますね、穏やかな気持ちになったのは。

──初のライブツアーは充実したものになったみたいですね。

楽しかったですよ。自分の原点である九州を周ったことも、弾き語りでやったっていうことも、かなり意味のあることだったんじゃないかなって。いろんなものを学んだような気がしてますね。ライブっていうのは、まず自分が楽しまなきゃダメだっていうことに気付けたんですよ。そのためにはいっぱい練習もいるし、段取りとかもちゃんとしな いといけないなっていうのも感じました。今までの自分は甘かったなって。もっともっといいパフォーマンスを見てもらって、みんなで楽しみたい。そういう気持ちになれたっていうことが 私の中での成長でしたね。

改めて歌詞を読んで照れました（笑）

──で、そんな阿部さんから1stシングルが到着します。1曲目は疾走感のあるサウンドとまっすぐなメッセージが印象的な「伝えたいこと」。

この曲は高校1年のときに歌詞を書いて。で、曲をつけたりして最終的に仕上げたのは高3の夏前です。なんかね、私って「好きです」とか「ありがとう」とか言えない人だったんですよね。だから、それを言いたいなと思って、自分に言い聞かせるために書いたんです。

──曲ができたことで、自分の気持ちを伝えることができるようにはなったんですか？

がんばろうとはしてるんですけど、まだダメですね。そういう意味で、この曲はまだまだ私の中で完結していない感じがしています。これから歌っていって聴いてくれた人の反応を得ることでたぶん成長していくんじゃないかなって思います。

──歌詞はものすごくストレートですよね。

ですよね。歌入れは今年に入ってからやったんですけど、改めて歌詞を読んだときは照れました（笑）。「頑張れー！」とか、もう素直に言えないなぁって。だからブースに入ったときは、どうやって表現しようか悩んでる自分に対してだったり、あとはすべての人に対してだったり、とにかく集中して「頑張れ、頑張れ！」みたいな気持ちで歌い ました。自分にできる精一杯の声で一所懸命歌っているような感じがするので、そこがいいんじゃないでしょうか。

──サウンドの勢いに歌声のテンションがマッチしてますもんね。

ただ、この歌詞にはこのメロディかなって思ってつけたんですけど、字余りになっちゃってすごく速く歌わなきゃいけないとこがあったりとかして。そこはたいへんでしたね。

──歌詞とメロディのできた時期が違うからっていうのも影響してるんですかね。

影響してますね。「言葉が入らん！」みたいな。でも、まぁいいかなって（笑）。

──サウンドに関して大事にしたところは？

バンド感。そこは欲しかったところで。あとはブレイクとかキメの感じですかね。デモの段階から、ギターでそういうキメのフレーズをすでに弾いてたんで、アレンジャーさんにそれを伝えておいたんです。で、上がってきたものを聴いたところでまた「この音はいらないです」とか「ここはもうちょっとこんな感じで」とか言いつつ一緒に作って いきましたね。

──曲の核心をバシッと歌っている大サビのところがすごくイイなって思いました。

あそこはギターを弾いてないんですよね、私が。私の出す音は声だけのほうがいいと思ったんで。大サビのあたりに感情を入れるのが好きなので、そんなに深くは考えてなかったけど、そこが曲のキモになっている感じはあると思いますね。すごく気持ちよく歌えてます。

──この曲って、歌詞の語尾とか歌い方で阿部さんの男前な表情がすごく出ていますよね。そこが魅力だなぁと。

そうですか。やった！ やっぱ語尾とか口調とかは、歌詞の中ではこだわってるんですよね。この曲では、私が私を応援したいと思っていたから、やっぱり「～ ～じゃないかしら」とか言われてもね、がんばろうとは思えないじゃないですか。だから、ちょっとぶっきらぼうでも荒い言葉のほうがいいかなと思って。