ナタリー PowerPush - 阿部真央

鮮烈メジャーデビュー! 早熟な才能をキャッチせよ

18歳のシンガーソングライター、阿部真央がついにデビュー! 初のアルバム「ふりぃ」には、彼女の才能の奥深さを感じさせるバリエーション豊かなナンバーが計10曲収められている。

今回ナタリーでは、そんな阿部真央にインタビューを敢行。歌手を目指した経緯や、今後のビジョンについて語ってもらった。10代とは思えないしっかりとした語り口を、以下のテキストから感じてもらいたい。

取材・文/もりひでゆき

ハイカットって言葉は入れたいなぁとか思いながら

阿部真央写真

——まずは阿部さんの音楽的な歴史について伺います。原点は小学校3年から始めたピアノになるんですかね?

音楽にちゃんと触れ始めたのはそこからですけど、歌を歌い始めたのは3、4歳ぐらい。おじいちゃんに演歌を歌わされて、親戚に「上手いね」って言われたんですよ。で、「あ、私は歌が上手いのか。じゃ将来は歌手だな」って(笑)。歌手になりたいっていう夢は、そこからずっと持ち続けていましたね。友達には、警察官になりたいとか、マンガ家になりたいとか、違うことを言ってましたけど。

——歌手になりたいっていうのを隠してたんだ。

そう。小さい頃はウソついてました。最初はウソだったんですけど、結果的に言いすぎてだんだん「私は警察官になりたいんだ!」って自分でも思ってきちゃってたんですけど(笑)。でも、小学校6年生のときに地元のちっちゃいカラオケ大会に出たんですよ。そこで初めてけっこうな大きなステージでたくさんの人の前で歌ったら、緊張もしたんだけど、すごく興奮もして。やっぱり歌手になりたいなぁと思いました。

——ピアノはいつまでやっていたんですか?

中学3年生までです。でも、まったく上達もせず、全く好きじゃなかったんですよ。だから、何か弾いてくださいって言われてもぜんぜん弾けないです。クラシックとかもムリだし。ただ、今の私にとって活きてるところはあると思いますけどね。曲を作るときに音を拾ってメロディに当てたりできるのはピアノのおかげだと思います。

——そこからギターに転向するんですよね。

高校に入るときに、習ってたピアノ教室と同じ系列のギター教室に移行させてもらったんですよ。中2の冬に、おじいちゃんにギターを買ってもらってたので、せっかくあるしやってみようと思って。それまではぜんぜん弾いてなかったんですけど。

——ギターは楽しかった?

教えてもらうのが難しいコードばっかりだったので、ぜんぜん頭には入らなかったんですけど、すごくイイ先生でおもしろかったから、好きで通ってましたね。先生はベースも弾けたんで、今日はギターな気分じゃないなっていうときはベースをやったりとか、先生にピアノを弾いてもらって私が歌ったりとか、すごく自由な感じが楽しかったです。結局、いまだに簡単なコードしか使ってはいないですけど、基礎的なことはそこで身についたと思います。

——ギターに関しては、夢である歌手につながるものとしてとらえていたんですか?

つながればいいかなぁっていうくらいでしたね。その当時、アヴリル・ラヴィーンに出会っていたので、単純にカバーしたいなとか、ちょうどYUIちゃんがデビューしたりもしてたので、そういう刺激もあったんだと思います。でも、その段階では曲を作ろうとかっていう意志はまったくなかったですね。

——初めて曲を作ったのは高校1年生の冬だそうですが、そのきっかけは?

それもぜんぜん作る気はなかったんですよ。たまたまそのときにギターのFが弾けるようになったんですね。で、FをちょっとずらすとGじゃないですか。で、学校行かずに、家でG~F~G~Fって弾きながら、夢中で歌詞とメロディをつけたんですよ。そのときハイカットのスニーカーが流行ってたから、ハイカットって言葉は入れたいなぁとか思いながら。なんでそんなことしたのかまったく覚えてないんですけど、30~40分くらいで1曲できて。それが「MY BABY」という曲です。「曲できたぁ!」と思いつつも、別に誰に聴かせるわけでもなく。あ、いちおう母親の恵里子には聴かせましたけど。

——お母さんはどんな反応でした?

「あら~。あんたが作ったの? へぇ。そう」。終わり(笑)。

——あっさり(笑)。ご自身ではどんな気持ちだったんですか?

作った達成感はありましたけど、すぐにひゅ~ってしぼんでいきましたね。母に聴かせてもそんな程度の反応しかないし。曲に関しては、とりあえずカワイイけど、エロい歌だなぁとは思いました。あと、キーが高いんで、たぶん人前では歌えないなぁとか。マイナスのことばっかり考えてました(笑)。Bメロの部分が好きだったし、歌ってて耳から入ってくる音はすごく気持ち良くはあったんですけどね。そんな深い思い入れもなかったです。

デビューアルバム『ふりぃ』期間限定生産盤 [CD+DVD] / 2009年1月21日発売 / 2625円(税込) / PCCA-02815 / ポニーキャニオン

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CD収録曲
  1. ふりぃ
  2. 人見知りの唄~共感してもらえたら嬉しいって話です~
  3. MY BABY
  4. キレイな唄
  5. デッドライン
  6. Don't leave me
  7. コトバ
  8. want you DARLING
  9. 17歳の唄
  10. 情けない男の唄
阿部真央(あべまお)

1990年1月24日生まれ。大分県出身。愛称は「あべま」。高校1年のときにギターを始め、地元・大分市を中心に弾き語りで路上ライブを開始。高校2年のときに「TEENS' MUSIC FESTIVAL 2006」に出場。大分県大会で優勝し、全国大会では奨励賞を獲得する。高校卒業後、2008年春に上京。2008年10月に「MY BABY(AG VER)」がiTunes Store「今週のシングル」に選ばれ、合計10万ダウンロードを記録。オフィシャルMySpaceのプロフィールビューも開設2カ月で10万件を獲得する。2009年1月21日アルバム「ふりぃ」でポニーキャニオンからメジャーデビュー。