A.B.C-Z「君じゃなきゃだめなんだ」インタビュー|4人体制初シングルに込めた、最年少センター橋本良亮の信念 (2/2)

たぶん河合くんも好きな曲

──そして通常盤のカップリング曲は2曲。「花束のステージ」はファンクテイストのダンサブルな楽曲です。

本来歌うのが難しい曲だと思うんですけど、歌っているうちにノッてきて、気持ちよく声が出せました。こんなこというとアレですけど、ちょっとSMAPっぽいですよね。たぶん河合くんも好きだと思います(笑)。

──(笑)。SMAPがこういうテイストの曲を歌っていたのは1990年代半ばなので、もう30年前ですね。

「$10」とか「青いイナズマ」はそうですね。ライブでも盛り上がりそうだし、ファンの皆さんも好きだと思います。そういう好みはわかるんですよね、これまでの経験で。「僕が好きなものはみんな好き」という自信を持ってないとな、という気持ちもあります(笑)。

──もう1曲の「STELLAR」はディスコ的なグルーヴの楽曲です。

竹内アンナさんに提供していただいた曲なんですが、デモ音源のボーカルがすごく透き通っていて「これを僕らで表現できるかな?」と考えました。自分なりの歌い方で歌わせてもらったんですが、すごく難しかったです。特に大変だったのが落ちサビ。「流れ星にちょっと囁いた願いごと」の部分なんですが、気持ちが先に行ってしまって、イメージしている声がうまく出せなくて。ボーカリストとしても新しいチャレンジでしたね。もちろん仕上がりはすごくよくて、気持ちが弾む曲でもあるし、落ち着いた気分でも聴ける曲になったと思います。夜空をイメージできるのもいいですね。A.B.C-Zというグループは星がモチーフになっているので、そのイメージも交えて作っていただいたのかなと。

──バラエティに富んだシングルになりましたね。

そうですね。これまでリリースしてきた楽曲もそうなんですけど、僕らにはいい曲がたくさんあるんですよ。まだ見つけてもらえていない曲も多いと思うので、「掘り出し物、いっぱいありますよ」と言いたいです(笑)。

サブスク解禁を機にいろんな人に聴いてほしい

──5月1日には2022年にリリースされたベストアルバム「BEST OF A.B.C-Z」のサブスク配信がスタートし、「君じゃなきゃだめなんだ」以降はシングルの表題曲もサブスクで聴けるようになります。まさに“掘り出し物”を探してもらえるチャンスですね。

本当にありがたいです。以前からA.B.C-Zの曲はサブスクでも聴けるようにしたいと思っていたから、ベストアルバムの配信はすごくうれしい。これからはもっと簡単に聴いてもらえるし、「すぐそばにA.B.C-Zの曲があるよ」と言いたいです。

──サブスクのプレイリストでA.B.C-Zの曲に出会うリスナーも増えそうですね。

そうなってほしいし、相当広がっていくんじゃないかと期待しています。いい曲を出してきたという自信はもちろんあるし、これを機会にいろんな人に聴いてほしいなと。A.B.C-Zの曲はすごくバリエーションが豊かなんですよ。「BEST OF A.B.C-Z」はシングル曲が中心ですけど、「あなたにぴったりな曲、気に入る曲が絶対にあります」とお伝えしたくて。僕らとしては「どれだけの人に聴いてもらえるだろう」という勝負でもありますね。

──2012年にDVDシングル「Za ABC~5stars~」でデビューし、その後にCDデビューしたA.B.C-Zにとって、今回のサブスク配信は3度目のデビューとも言えます。A.B.C-Zはメディアの変遷をたどってきたグルーブでもあるのかなと。

そうですね。「DVDシングルでデビュー」と聞いたときは、正直「え?」と思ったんですよ(笑)。「動けるグループだから映像で観てもらったほうがいい」という意見はごもっともなんですが、本音は「CDデビューがよかったな」って。実は、その後CDを出すことになったきっかけも、僕が「出したいです」と言ったからなんです。ただ、あの頃はなかなか強くは言えなかった。僕はあとからグループに入った身だし、アクロバットがすごくできたわけでもないので。

──それが意見を言わなかった理由だった。

アニキたちに任せていた部分もあったんですよ。僕は今30歳なんですが、ほかのメンバーが30歳くらいの頃はまだ22歳とかで。どうしても意見が言えなかったし、だんだん「大人に任せた」みたいなスタイルになってしまった。でも、自分が30歳になると「もし年下のメンバーがいたら、どんどん意見を言ってほしいな」と思うようになって。そのことに気付いたときに、「これからはもっと自分の意見を伝えよう」と決めました。

──年齢のこともそうだし、10年以上同じグループで活動してきたことで、対等の立場になったのかも。

追いついてきたという感覚はあります。30代になって意識も変わったと思うし、とにかく自分でアクションを起こすようにしていますね、今は。

橋本良亮

5人のときよりも威勢がいいグループに

──“アイドル”という立場に対するスタンスはどうですか?

そこはあまり変わらない気がします。相変わらず「アイドルってなんだろう?」と考えることもあるし、「今やってることは果たしてアイドルと呼べるのか?」「みんながそう言ってるだけで、本当は違うのでは?」みたいなことを思ったり。でもお客さんの前に立って、みんなの笑顔を見ると「俺、アイドルなんだな」と実感するんですよね。そのことによって「みんなのためにがんばらないと」「キラキラしていないといけない」と思わせてもらえるというか。

──ステージに立つことで、自分のやるべきことを確認する。

はい。見失いそうになることもあるけど、ライブをやることで気付かされることはたくさんあるし、いつも「ありがとう」と思います。ついてきてくれるファンの皆さんは本当にすごいです。僕自身もライブが一番好きなんですよ。舞台や映像作品ももちろん好きですけど、ステージで歌って踊ることが小さい頃からの本業なので。自分が一番好きなことをやって、お客さんに喜んでもらえるのは最高ですね。稽古中はつらいこともあるけど、本番中は楽しくてしょうがない(笑)。あっという間に時間が経つし、ステージから離れたくないです。

──新体制になったA.B.C-Zの単独公演も楽しみです。

機会があればぜひやりたいです。4人では初の単独ライブになるわけですし、歌割りも立ち位置も以前とは全然違うので。「この曲のAメロはどの人が歌うんだろう?」みたいな楽しみ方もできるんじゃないかなと。それに、これまでMCは河合さんが回してくれてたので……誰がやるんだろう?(笑) そのあたりを決めていくのはこれからなので、また仕事が増えますね。大変になってくると思うけど、がんばります。

──期待してます! 最後にA.B.C-Zの今後の展望について教えてもらえますか?

最初にも言いましたけど、気持ち的にはこれまでと変わらずにやっていきたいと思ってますし、5人のときよりも威勢がいいグループでいたいです。「今のほうがパワーがあるぞ」ということを世に出していきたいし。そう言えば東京ドームのイベントのとき、スタッフの方や知り合いの方に「メンバーが減った感じがしないよ」と言ってもらえたのがめちゃくちゃうれしくて。その言葉で「この体制でやれそうだな」と思えたんですよね。

──なるほど。それにしても橋本さん、すごくポジティブですよね。

そうですか?

──メンバーが脱退することになっても、現実を受け止めて、すぐ先のことを考えているじゃないですか。一瞬でも落ち込んだりしませんでした?

まったくしなかったですね、正直。河合さんには河合さんのやりたいことがあると思うし、人生は1回しかないので。そこはもう「やりたいことをやるのが一番だよ」と背中を押そうと。メンバーの中には気持ちが落ちてた人もいたかもしれないけど、少なくとも僕はそんなことなかったです。なんて言うか、むしろ背中を押してもらってる気がするんですよ。「俺が抜けたんだから、橋本、お前ちゃんとやれよ」って……。

──河合さんに言われてる気がする?

はい。まあ、僕が勝手に思ってるだけですけど(笑)。そうやってお互いにうまくいけばいいなと思ってますね。

プロフィール

A.B.C-Z(エービーシーズィー)

2008年8月に橋本良亮、戸塚祥太、河合郁人、五関晃一、塚田僚一により結成されたアイドルグループ。2012年2月にDVD「Za ABC~5stars~」でメジャーデビューを果たす。2013年3月から初の全国ツアーを開催。2014年3月には初のオリジナルアルバム「from ABC to Z」を、2015年9月には初のCDシングル「Moonlight walker」をリリースした。舞台やドラマ、バラエティ番組でも活躍しており、2012年から座長公演「ABC座」を開催している。2023年12月に東京・帝国劇場で上演された「ABC座星(スター)劇場 2023 ~5 Stars Live Hours~」の千秋楽をもって河合が脱退。2024年6月に4人体制初の作品となるシングル「君じゃなきゃだめなんだ」をリリースした。

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