昨年12月より橋本良亮、戸塚祥太、五関晃一、塚田僚一の4人体制での活動をスタートさせたA.B.C-Zが、新体制初の作品となるニューシングル「君じゃなきゃだめなんだ」をリリースした。
昨年末に東京・帝国劇場で上演された舞台「ABC座星(スター)劇場 2023 ~5 Stars Live Hours~」の千秋楽をもって河合郁人が脱退し(参照:A.B.C-Z河合郁人が脱退発表、「40歳までに冠番組」の目標に向け)、新たな一歩を踏み出したA.B.C-Z。待望のシングルの表題曲は甘く切ないボーカルが印象的なラブソングで、これまでとはまた異なるグループの魅力をアピールする作品となっている。
本作のリリースに際し、音楽ナタリーではグループ最年少にしてメインボーカルを務める橋本良亮にインタビュー。河合の脱退を機に「自分がA.B.C-Zを引っ張っていく」という気持ちを強めたという橋本は、新作で表現した世界、4人体制で動き出した現在の心境、ファンに対する思いや今後の意気込みなど、さまざまなことについてたっぷりと語ってくれた。
取材・文 / 森朋之撮影 / 梁瀬玉実
4人体制では「意見をどんどん言っていこう」
──A.B.C-Zは昨年末から4人体制でリスタートしました。新体制に対して、どんな思いがありますか?
「メンバーが減った」という感じは自分の中にはなくて、ずっと5人のままでいる感覚なんですよね。はたから見れば1人減っているんだけど、僕たち的には全然そんなことはなくて。もちろん河合くんの分を埋めないといけないという気持ちもあるし、ファンの皆さんが寂しくならないように、僕たちも必死です。
──ファンの皆さんに心配をかけたくない、寂しい思いをさせたくないという気持ちが強い?
そうですね。なので本当は河合くんが卒業したあと、すぐにシングルを発表したかったんですよ。でも結果的にけっこう時間がかかってしまったので、その間ファンのみんなはすごく不安だったんじゃないかなって。X(Twitter)でも「A.B.C-Zはまだ始動しないのか」みたいなポストを見ることがかなりありましたからね。東京ドームのイベント(STARTO ENTERTAINMENTのアーティストが集結したライブイベント「WE ARE! Let's get the party STARTO!!」。4月10日に東京・東京ドームで行われた)が新体制での初パフォーマンスだったんですけど、そこでちょっと安心させられたんじゃないかな。それを経てシングルを発表できるので、いい流れになっていると思います。
──新作のリリースやライブなど、具体的なアクションが大事だと。では、ニューシングル「君じゃなきゃだめなんだ」について聞かせてください。表題曲は切なくてまっすぐな感情が伝わるラブソングですね。
実は2017年くらいからあった曲なんですよ。改めて今回のシングルの候補として挙がった中からメンバーで選ばせてもらったんですが、僕としてはこの曲一択でした。最初から「これじゃなきゃだめなんだ」と(笑)。メロディラインも自分の好みだったし、一度聴けば耳に残るんじゃないかなって。「君じゃなきゃだめなんだ」と繰り返す歌詞にもインパクトがあって、ファンにも刺さるだろうなと思いました。今のA.B.C-Zにはこういう曲が似合うと思うんですよ。今までの僕らはワチャワチャ系の曲やお祭りっぽい曲が多くて、そういう曲も好きなんだけど、「君じゃなきゃ~」みたいなカッコいい曲を一番的確に表現できるのは今の僕たちじゃないかなって。
──なるほど。デビュー当初のA.B.C-Zにはフィジカルに踊りまくるイメージがありましたが、キャリアを重ねるにつれて表現の幅も広がっているんでしょうね。
それもあると思います。確かに最初の頃は「アクロバットを派手にやって、ガツガツ踊って」という感じだったので。でも、今アクロバット的なことをやってるのは塚田(僚一)さんだけなんですよ。ここからはより大人っぽく見せていきたという気持ちもあって……ただ「君じゃなきゃ~」を新体制の一発目として出すというのは、かなりハードルが高い気もしているんです。今までにもシングルのカップリングやアルバムにはこういう感じの曲がありましたけど、表題曲としては発表したことがなかったので。
──この曲を表題曲にするのは、メンバー間でも一致していたんですか?
けっこうバラバラでしたね、正直言うと。「君じゃなきゃ~」を推していたのは僕と五関(晃一)さんで、戸塚(祥太)さん、塚田さんは確か別の曲を選んでいたんですよ。だけども、僕は4人体制になってから「意見をどんどん言っていこう」と決めたんです。5人で活動していたときはあまり意見を言わなかったんですが、今回は「この曲がいいです」と貫き通しました。
──自分がグループを引っ張るんだという気持ちが強くなった、と?
もちろんそれもあります。5人のときはセンターに立たせてもらっていたんですけど、4人で並ぶと誰がセンターなのかわからないじゃないですか。でも気持ち的にはセンターのままだし、これまで以上に「自分がA.B.C-Zを引っ張っていくぞ」という思いは強いです。僕だけじゃなくて1人ひとりがレベルアップしようとしているし、それぞれの意見も言うようになってるんですよ。みんなでA.B.C-Zをよくしようとしている感じが見えますね。
昭和っぽさが新しかったミュージックビデオ
──「君じゃなきゃだめなんだ」のレコーディングはどうでした?
もともと好きな曲だし、聴き込んでいたので、歌っていてすごく楽しくて。感情もしっかり込められました。4人なので歌割りも増えるし、振付も「絶対に足を引っ張らないようにしよう」と思ってがんばりました。ミュージックビデオに関しては「昭和っぽくしよう」という話があって。
──一世を風靡した歌番組をオマージュした映像ですね。
そうなんですよ。僕にとってはリアルタイムではないからこそ「新しいな」と思いました。時代は繰り返すじゃないけど、今の若者って、フィルムカメラとか好きじゃないですか。そういう風潮にもハマると思うし、昔のテレビ番組を知らない世代の子たちも「こういう番組があったんだ」と知れるきっかけになるんじゃないかなと。
──MVを含めて、この曲のパフォーマンスについてはどうですか?
すごく自信があります。早く世に出したいし、街中の大きいビジョンなんかでもぜひ流してほしいです。上の世代の方に「懐かしいな」と思ってもらえたらうれしいし、そこから「A.B.C-Zいいじゃん」と感じてもらえたらなと。いろんな世代の人に楽しんでもらえる曲になったと思います。
デモ曲を聴くときは「ライブ会場にいることを想定」
──シングルのカップリング曲についても聞かせてください。まずは初回限定盤Aに収録されている「Hallelujah」。きらびやかなシンセが印象的なアッパーチューンです。
聴いていてハッピーになれる曲だし、4人体制になってから初の明るい曲なのかなと。ライブで4人がワチャワチャしている姿が思い浮かびます。「ライブで映える曲が欲しい」というのはいつも思っていることなので、すごくいいなと。
──常にライブを意識して制作しているんですね。
そうですね。デモ曲をいただくときも、まずはライブ会場にいることを想定して聴くんですよ。自分が歌っているところを想像したり、それを見ているお客さんの気持ちになったり。「Hallelujah」はライブがイメージしやすいし、会場でみんなが「イエー!」と盛り上がっているところが思い浮かびます。
──初回限定盤B収録の「One Way Blue」は、シックな雰囲気のミディアムチューンです。
これも大好きな曲ですね。歌い出しは僕なんですが、レコーディングのときに「はっしーの声質に合ってるね」と言われました。しっとり感があって、寝る前や移動中なんかにゆっくり聴いてもらえる曲じゃないかなって。
──橋本さん自身は切ない雰囲気の曲が好みなんですね。
はい。「One Way Blue」みたいな曲はダンスというより歌で勝負しないといけないと思っていて。誰が聴いても「いい曲だな」と思ってもらえる楽曲だなと。僕らの事務所っぽくない曲だし、10年前だったら絶対に歌ってないと思いますね。
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たぶん河合くんも好きな曲