a-nationのキックオフを背負うのはうれしい半面ドキドキ

──VERBALさんから見て、a-nationはどのようなフェスだと思いますか？

いろんな意味でエイベックスっぽさがありますよね。自分自身がエイベックスに所属しているので手前味噌になってしまいますけど、会社自体に日本の音楽シーンの見本になるところがあると思うんです。例えば外国の友達に「日本らしいレーベルってどこ？」って訊かれれば「エイベックスだね」って答えますね。「日本のPUFF DADDYみたいな人って誰？」って訊かれれば「松浦社長」って答える、みたいな（笑）。僕の中ではエイベックスはそういうイメージ。それはa-nationも同じで、日本の音楽シーンで大きなシェアを持ってる方たちが出演されているし、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」とか「SUMMER SONIC」とか、ほかのイベントとは全く違う印象があります。ただ、年々レーベルの枠を超えていろんなアーティストが参加するようにもなってきたので、今ではもうエイベックスのイベントというよりは、「a-nation」というひとつのフェスとして成り立っているような気もします。

──今年のa-nationが大きなリニューアルを遂げて開催されることについては、どう感じていますか？

さらに大きな広がりを見せていますよね。僕みたいな人間をプロデューサーに起用してくれたことは恐縮なんですけど、そういうところも含めて新しい場所へ目を向けていこうとしているのがすごく伺えます。日本の音楽シーンはここ5年くらいですごく変わってきているので、a-nationはそれをフェスとしてキャプチャしようとしているんじゃないかな。今回のような同時多発イベントみたいなスタイルはすごく面白いと思いますよ。

──フェスの幕開けを飾る8月3日のイベントプロデュースを任されたときの気持ちはいかがでした？

元々、僕は2NE1のブッキングのお手伝いをさせてもらってたんですよ。YG Entertainment（2NE1の所属事務所）の方と近い関係だっていうのもあったし、僕から大きな声では言えないですけどm-floにもちょっと関わってもらっちゃったっていう状況だったので（笑）。そんな流れの中でイベントプロデュースの話をいただいたんですけど、正直、めちゃめちゃプレッシャーは感じましたね。

──声がかかったことに関して、意外な気持ちはありませんでしたか？

パブリックイメージ的には意外なのかもしれないですね。でも、僕はデビューしてこのかた、13年間ずっとエイベックスで活動してきて、とりあえず面白いことはなんでもエンタテインメントとしてやっていきたいっていう会社の考えを知っているので、流れとしては自然なものとして受け止められました。プロデュース自体、「好きにしてよ」みたいな感じだったので、「あ、来たか」みたいな（笑）。ただ、a-nationのキックオフを背負うっていうのは課題としてあまりにでかすぎたんでね、うれしい半面ドキドキですよ、やっぱり。

8月3日は代々木競技場第一体育館がでっかいパーティ会場になる

──8月3日はまず、日中に「OTO_MATSURI」と題したイベントが国立代々木競技場第一体育館で開催されます。出演者としてm-flo、2NE1、三代目J Soul Brothersが現時点で発表されていますね。

多分「え、この組み合わせ!?」って感じる人もいると思うんで、それをどう自然に、楽しく伝わるようにしていくのかが僕のミッションだと思っています。まあ、僕の中ではこのラインナップに全然違和感ないんですけどね。どんな内容になるのか、今からかなり楽しみです。

──このイベントならではの演出にも期待したいところです。

アーティストたちの頭の中には、それぞれいろんな構想があるんですよ。三代目JSBは飲みの席で「こんなことしたいっすね」って言ってくれてるし、2NE1のCLちゃんは「このイベントのために新曲作って……スペシャルなことができたらいいね」みたいなことを言ってくれたんで。そういうのが全部実現できたらほんとにすごいことになるなとは思ってるんですけど。

──実現するかどうかはともあれ、アーティストが楽しんで参加することが重要ですよね。

そう。そこがうれしくて。単なるイベント出演っていう感じとはひと味違った雰囲気でアプローチしてきてくれているので、プロデュースする側としてもやりがいがありますね。

──イベント全体としてはどんな雰囲気になりそうですか？

代々木競技場第一体育館がでっかいパーティ会場になるというか、クラブライクなところが如実に出るのかなっていう気がしています。2NE1はもちろんですけど、三代目のみんなも元々、クラブで遊んでたブラックミュージック好きの子たちばかりなんですよ。だからそのへんの雰囲気はぜひ引き出したいなって思ってます。最近、日本中のクラブが風営法で摘発されてますけど、クラブは楽しい場所なんだよっていうことがこのイベントを通して伝わればいいですね。

「ATO_MATSURI」はちょっとはちゃめちゃな夜市

──そして同日の夜にはSHIBUYA-AXで「ATO_MATSURI」というイベントが開催されます。こちらは大沢伸一さんやNIGOさん、ILMARI（RIP SLYME）さんなど、VERBALさんと親交の深い方々がDJとして数多くラインナップされています。

こっちのイベントはかなりストリート感が出ると思います。普段から仲良くしてる方々はもちろん、今面白いなって思う人たちにも参加してもらいつつ。中でも、僕が今注目してる八王子Pくんにも、秋葉原のクラブシーンを代表して出てもらったりして。

──いわゆる“ボカロP”の存在にもVERBALさんは注目してるんですね。

興味ありますね。僕はどっちかっていうとファッションアングルのDJに友達が多いんですけど、そことはまた全然違う未知の世界なんですよ。秋葉原にあるクラブ「MOGRA」にも行ったりするんですけど、あそこはちょっと異空間というか、外国のクラブに行ったような面白さがあるんです。だから、そういったところで活動してる人たちと一緒にイベントをやることで、きっとクラブシーン全体に新しい風が吹くような気がしていて。

──確かになかなか見られない共演だと思います。

結構はちゃめちゃな感じにはなると思うんですけど（笑）、東京にはこんなにもカッコいい夜があるんだよっていうことを、このイベントには詰め込みたいと思っています。あとは……僕が関わってるあるグループも久しぶりに来ちゃうかも、なんてことも考えてますので、楽しみにしててほしいです。

──さらに、会場内では楽しい催しも予定されているそうですね。

ホワイエでは、東京のファッションシーンを彩るお店やブランドさんが面白いものを売るブースも設置する予定です。お祭りで言う屋台みたいなイメージですね。DJもあって、ライブもあって、ちょっと盛りだくさんなイベントですけど、a-nationのキックオフを任されたからにはド派手にしたいですからね。全体としてアジアの屋台村というか（笑）、ちょっとはちゃめちゃな夜市感が出れば楽しいなと思っています。

──では最後に、会場に遊びに来てくれる方々へメッセージをお願いします。

「OTO_MATSURI」のほうは豪華な幕の内弁当というか（笑）、おいしいアーティストのライブがたっぷり長い尺で楽しめる内容です。夜の「ATO_MATSURI」は、クラブに行ったことがない人でも楽しめる内容になっているので、とにかく遊びに来てほしいですね。昼も夜も難しいことは考えず、軽い気持ちで来てもらえば絶対に楽しいと思いますよ。ここではめちゃくちゃ踊っても、誰にも文句言われないですから（笑）。