ナタリー PowerPush - a-nation

2012年夏「a-nation」革新!

その全貌紹介&インタビュー

渋谷が音楽に包まれる新スタイル「musicweek」

──今年開催される新たなa-nationの最大の特徴は、これまでのサーキットスタイルではなく、渋谷という街に10日間滞在する「musicweek」というタウンフェスのスタイルを取り入れたことだと思います。このスタイルに行き着いたのはどうしてだったんですか?

各地を巡業するスタイルで大きな規模のフェスを開催するということは、公演のある1~2日のためにスタッフは3日も4日も前から現地に入らなければいけないし、そこでの公演が終わればステージを撤去して、また次の場所に移動させなければいけない。これまでのスタイルだとコスト面がかなりかかっていたんです。そうやって分散されていたものを一カ所集中型にすれば、もっとクオリティの高いものが提供できるんじゃないかなと思ったんです。また、今回のように数日間同じ場所で開催するとなると、 インフラを作り上げることが地方だとどうしてもできない。そういったことを考えた結果、今回は渋谷という場所で開催することに決めました。

──10日間に渡り、代々木第一体育館とSHIBUYA-AXなどではそれぞれ違うコンセプトを掲げたライブが繰り広げられます。公演数も出演するアーティストも多いので、正直、運営はめちゃくちゃ大変そうですよね。

あはははは。そうですよね(笑)。企画段階でいろいろな関係者の方とお話していても「そんな冗談みたいなことできんの?」「そんなにアーティストをブッキングできるの?」「そもそもそんなに公演数があって会場押さえられんの?」って言われました。でも、開催を目前に控えた今、自分たちで当初から思い描いていたイメージはギリギリ作れたなとは思ってます。今までにない大変さはありますけど、スタッフみんなが楽しんでやってくれましたから。

──日替わりで多彩なライブを用意したのは、現在の音楽シーンの多様性が反映された結果なのでしょうか?

インタビュー写真

そこはものすごく影響していますね。渋谷という街で今の音楽シーンを具現化し、それを存分に楽しんでもらいたいと思ったんです。だからこそほんとに多種多様な方々に参加してもらいたかったんです。今回は具体的に言うと7つのテーマという形になりましたが、その多様性がますます広がれば1カ月間やってもいいと思っています。ジャンル分けすること自体ナンセンスで、差別化がますます難しくなっている現在の音楽シーンに対して、このa-nationという存在がひとつのヒントになってくれたらなっていう思いもありますね。

──8月3日に開催される「OTO_MATSURI」「ATO_MATSURI」はm-floのVERBALさんがプロデュースされますね。

アーティストが表現者としてやりたいことをどんどん提案してくれて、それを形にするっていうのが我々の思うフェスの理想でもあるんですよ。アーティストだけでなく、事務所さんやテレビ局、もしかしたらユーザーの方でもいいのかもしれないけど、そういった方々から出てくるいろいろなアイデアをちゃんと実現できるような環境作りをしていくことが、僕らの仕事なんですよね。今はもう、裏方である僕らが考えたものだけをやる時代じゃないと思いますし。僕らが整えた環境インフラに楽しんで乗っかってくれる人たちがどんどん現れてくれれば、もっと面白いことができるはず。そこから新たな音楽シーンが生まれてくることだってあり得ますからね。

──さらに「musicweek」の開催期間は、ライブが開催される会場だけではなく、渋谷の街全体がa-nationの舞台になるそうですね。

元々のコンセプトが「音楽のテーマパークを作りたい」っていうことですからね。代々木競技場第一体育館の周辺だけでなく、渋谷の街にあるカフェや商業施設を巻き込んでいろんなコンテンツを仕掛けていきます。ベンチマークにしたのはマイアミなんかでやっているミュージックカンファレンスのイメージですね。普段はファミレスなのに、その期間だけはDJブースがあってクラブみたいなお店になるとか、商業施設の中でテーマ性のある音楽が流れていて、それに合ったファッションが提案されているとか、音楽に包まれる空間を作っていく予定です。相当いろんな楽しみ方を提案できると思いますよ。

5万人がひとつのステージに集中する空間「stadium fes.」

──また今回のa-nationには、渋谷を舞台にした「musicweek」に加え、東京都 味の素スタジアムと大阪・長居スタジアムで開催される「stadium fes.」も用意されています。その2本柱で展開しようと思ったのはなぜですか?

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渋谷という可能性のある街を舞台に、音楽をテーマにしたひとつの空間を作り上げるという新たな試みは魅力的ではあるけど、同時に、5万人ものお客さんがひとつのステージに集中して大きな空間を作り上げるという魅力もやっぱりあるわけです。なので今回はちょっと複雑な形にはなってしまいましたけど、「musicweek」というタウンフェスと、従来のa-nationらしい「stadium fes.」の2本いっぺんにやろうと思ったんです。本当のことを言えば、渋谷に5万人を収容できる環境があればそれで完結できたんですけどね(笑)。

──「stadium fes.」に関しては、これまでのa-nationで培ったノウハウで展開させることがきっと可能ですよね。

はい。そこは今までのノウハウでできる部分です。ただ、今回は新たなチャレンジもあるんですよ。それは「musicweek」も同じなんですけど、デイリーでヘッドライナーがガラッと変わるスタイルにしたんです。

──なるほど。これまでのa-nationだと会場によって出演アーティストの違いはありましたが、どの会場にも出演するヘッドライナーの方々が存在していましたもんね。

そうなんです。今回は事務所もレーベルも超えたさまざまなアーティストの方々に賛同していただいたということもあり、日によってかなり違った表情が見えてくると思います。さらに、そこでしか観ることのできないステージを作っていきたいという気持ちもあります。その日だけのコラボであったりとか、その一瞬で生まれる企画にもどんどんチャレンジしていきたいんです。もちろん、シークレットゲストとか、a-nationらしいサプライズも見せていきたいですし。

“エイベックスのフェス”イメージを払拭

──エイベックス主催のフェスではありますが、オーディエンスサイドはもはやエイベックスという冠を取っ払って楽しんだほうがいいのかもしれないですよね。

エイベックスという部分でアレルギー反応を起こしてしまう方も当然いらっしゃいますからね。実際、そこでの限界も感じていたんですよ。だから今年はロゴマークも変えて、従来のマークも外しました。

──“エイベックスのフェス”というイメージは払拭させてもいいと。

もう完全に払拭してもいいというか、払拭しないとこれ以上広がらないと思うんです。だからこそ、今回ここまでチャレンジしたわけですから。本物のエンタテインメントを楽しんでもらうことをコンセプトに置くなら、そこはやっぱり取っ払わないとダメだと思うので。

──新しいa-nationに対する自信はありますか?

10年間やってきた蓄積をぶち壊すことは相当なチャレンジだと思うんです。でも今、こうやって形になりつつある状況の中で、成功の自信はかなり出てきていますね。この新たな展開が結果を生み出せれば、このモデルを上海やシンガポールのようなアジアにも持っていけるんじゃないかっていう発展への期待もありますし。このプロジェクトは向こう10年を見据えたものでもあるので、さまざまな構想を持って動いているつもりです。

──では最後にa-nationを楽しみにしている全ての人たちへメッセージをお願いします。

今の日本のエンタテインメントの楽しみ方を全部集めたフェスになると思っているので、全身全霊で楽しんでもらいたいなと思います。今までのa-nation同様、ヒールでも大丈夫だし、買い物の途中でふらっと寄ってもらってもいいし、いろんな楽しみ方をしていただけるんじゃないかな。今まで以上に充実したパフォーマンスも約束しますので。

インタビュー写真

「a-nation Charge Go! ウイダーinゼリー musicweek & stadium fes.」

musicweek

渋谷を舞台に10日間にわたって繰り広げられるタウンフェス「musicweek」
日程
2012年8月3日(金)~12日(日)
会場
東京都 国立代々木競技場第一体育館・SHIBUYA-AX・渋谷WWW・渋谷公会堂

stadium fes.

東京と大阪の2大スタジアムにビッグアーティスト集結「stadium fes.」
日程
2012年8月18日(土)・19日(日)
会場
大阪府 長居陸上競技場(長居スタジアム)
日程
2012年8月25日(土)・26日(日)
会場
東京都 味の素スタジアム

2012年7月31日更新