ナタリー PowerPush - ユニコーン×宇宙兄弟

「宇宙兄弟」と完全コラボ!シングル「Feel So Moon」に込められた奇跡と愛情

ロックンローラーってああいうことかもしれない

──皆さんこれがユニコーンとの初仕事ですよね。いかがでした?

川村 面白い人たちですよねえ(笑)。超肩の力が抜けてる。最初はやっぱり「すごいバンド」ってイメージがあって。で4月に、キューンさんのイベントでライブを観させてもらったんですよ。そしたら「なんてエンターテイナーなんだろう」って驚いた(笑)。歌わないでずっとMCしてる感じとか、面白いなあと。

 なんですかね、あの円熟した感じは。

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川村 そうそう円熟してるんですよね! ロックンローラーってああいうことかもしれない。宮本武蔵とか剣豪の話でよくある「刀を抜かずに切る」みたいに、「歌わずに歌う」みたいな。今回のMVにメンバーも出演していただいてるんですけど、演奏してるわけじゃないんですよ。だから逆にそういう人となりを観られて良かったなと思って。マンガを読んでても様になる、いるだけで雰囲気が出る。実は最初、メディアミックスというコンセプトから、メンバーはMVに出ないって選択肢もあったんですよ。でもやっぱり、ユニコーンがMVに出演するほうがいいなと。メンバーがいるだけで絵が締まるんですよね。オーラがある。

──シングルリリース時は、読者はビデオクリップがどんなものになるかわからないんですよね。MV公開が7月7日に予定されているので。そこで、ユニコーンがどんなふうに出ているかヒントをいただけますか?

 演者の1人として出ていただいてます。やっぱり彼らがいないと。ちらっと見切れるとかじゃなく、民生さんは民生さんとわかるように出ています。

清水 ご活躍いただいています。

 キャストは何十人もいて、その中の一部としてメンバーが出演してるんです。

川村 さっき話にあったように、このMVは、単行本とムックとシングル、3つがあれば再現できる内容を目指しているんですよ。本当にやろうと思う人はいないかもしれないけれど、やろうと思えば再現できる。いろんなところで買って読んでくれたみんなが集まれば、おんなじことができるんですよ。その演者として、ユニコーンも混ざってる。

新しい体験を作っている

──皆さんがこれまで作られてきたMVってインタラクティブ性があったり、メディアアートのにおいが感じられたりと、先鋭的な映像作品であることが多かったと思うんです。それに対して今作はお話を伺っていると、非常に手間はかかっていますが、ある種アナログなことをしているようです。なので、今までのモノとは作風が違うなと個人的には感じていたんですが、それはアイデアありきで進めてきたからですかね?

川村 まさにそうですね。というか、いつも無理矢理インタラクティブ性を持たせようともしてなくて、アイデア主導なんです。

清水 出発がインタラクティブありき、ってわけでは全くないんで。

川村 今まではたまたまそういうのに向いている曲が多かったんですよ。

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 でもさっきの話じゃないけど、普通は撮影で使ったアイテムって簡単に手に入るものじゃないでしょ。でも、今回はそれが手に入るっていうのは、僕はすごく新しいインタラクティブの形だと思う。

川村 確かに。広い意味での「インタラクティブ」。スクリーン上でマウスをクリックする以外にももっといろんなインタラクションがあって。僕らはよく「体験を作る」って言うんですけど、今回作ってるのは新しい体験ですよね。MVを観るだけでは終わらない。単行本を買って読んで、そのあとMVを観たら「これあのシーンのアレだー!」って思えるような、新しい関与の仕方。

──例えばユニコーンファンが単行本とムックとCDを持ちよって集まれば、再現できちゃう。特別なアイテムは使っていないと。

川村 みんなが使えるものを映像作品に埋め込められる機会というのはなかなかないんですよ。撮影用に本を作るというのはいくらでもあるんだけど、ちゃんと伝えたい対象物そのもの、全国で販売されるコミックスとかムックとかCDの実物をMVに登場させて、かつ映像になくてはならない存在にしているという、今回やってるような融合はそうそうできることじゃないから。それが多分新しいんだと思う。

清水 普通に進めると、広告屋さんの自己満足みたいになっちゃうんですよ、こういうアイデアって。本と連動しました! メディアミックスしました! で終わりかねないところを、ちゃんと続きがあるエンタテインメントとして作れればいいなと思って、作業を進めてます。今現在も。

ぜひ実物を手に取って遊んでほしい

──そして、7月7日にMV公開が予定されています。発売日から大きくずれているのは、単行本やムック、CDパッケージの完成を待っていたからなんですね。では、MV公開を100としたら発売日時点での進捗はどれぐらいですか?

 50ぐらいだよね?

清水 30……40……。撮るものや構成は決まったから、さあ作るぞーって感じで。

川村 なので、コミックスやムック、もちろんCDを買った人は、よく観ておいてください。そうするとMVをよりいっそう楽しめるかもしれません。

──では、今まで企画を練ったり撮影したりしてきた中で「これは大変だったな」というエピソードがありましたら。

 ゾートロープテストかな。これ以上はネタバレになっちゃうんで秘密で(笑)。

川村 あとはいろんなインタビューに同行したこととかね。とある理由から。

 だから、せっかくなんでぜひ実物を手に取って遊んでほしいですね。これかあ!みたいに。

川村 たくさん散りばめたネタを全部見つけてほしいですね。

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川村真司(かわむらまさし)

東京生まれ、サンフランシスコ育ちのクリエイティブディレクター。慶応義塾大学佐藤雅彦研究室にて「ピタゴラスイッチ」などの制作に携わった後、卒業後CMプランナーとして博報堂に入社。2011年、クリエイティブラボ「PARTY」を設立する。SOUR「日々の音色」「映し鏡」、androp「Bright Siren」「Bell」など、ビデオクリップ監督も務める。主な受賞歴に文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門最優秀賞、AdFest Desigh / Cyberグランプリなど。2011年、米「Creativity」誌「世界のクリエイター50人」に選出される。

清水幹太(しみずかんた)

クリエイティブディレクター。東京大学法学部在学中よりデザイナーとしての仕事をスタート。2005年12月に株式会社イメージソース / ノングリッドに参加し、本格的にインタラクティブ制作を開始する。WEBサイトからデジタルサイネージまでさまざまなフィールドにおけるコンテンツ企画&制作を担当。2011年、クリエイティブラボ「PARTY」を設立する。また、川村とともにSOUR「映し鏡」、androp「Bright Siren」「Bell」といったビデオクリップの監督を担当。主な受賞歴にカンヌ国際広告祭金賞、AdFestグランプリなど。

関和亮(せきかずあき)

映像ディレクター、アートディレクター、フォトグラファー。ooo(トリプルオー)所属。2000年より映像ディレクターとしての活動を始め、斬新な映像表現で注目を集める。Perfumeのアートディレクションをインディーズ時代から手がけていることで知られているほか、TRICERATOPS、avengers in sci-fi、サカナクション、柴咲コウ、ねごと、ASIAN KUNG-FU GENERATION、NICO Touches the Walls、amazarashi、フジファブリックなど、さまざまなアーティストのMV監督を担当。2011年、サカナクション「アルクアラウンド」で文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門優秀賞を受賞する。

CD収録曲
  1. Feel So Moon
  2. Feel So Moon ~想像してGo RoundGlasses~(MARU MEGA MIX)
  3. Feel So Moon(Instrumental)
DVD収録曲
  • MOVIE24 最後の一口 ~Feel So Moonレコーディングドキュメント~
超豪華ユニコーン×「宇宙兄弟」コラボ仕様!

●ユニコーン×「宇宙兄弟」小山宙哉描き下ろしイラスト表紙
●小山宙哉描き下ろし「Uc兄弟」コミックブック

ユニコーン「Feel So Moon」×「宇宙兄弟」18巻発売記念ダブル購入キャンペーン

A賞:ユニコーン・小山宙哉サイン入り 小山宙哉描き下ろし「Feel So Moon」表紙イラスト複製原画 / 10名
B賞:ユニコーンも六太も着てる!特製Feel So Moon Tシャツ / M:250名様 / L:250名
応募締切:2012年7月20日(金)当日消印有効

ユニコーン(ゆにこーん)

1986年に広島で結成。翌1987年にアルバム「BOOM」でメジャーデビューを果たす。メンバーは奥田民生(Vo, G)、EBI(B)、手島いさむ(G)、川西幸一(Dr)、阿部義晴(Key)の5人。全員が楽曲制作に携わりボーカルを取るフレキシブルなスタイルで、独自の路線を突き進む。「大迷惑」「働く男」「雪が降る町」「すばらしい日々」など数々の名曲を生み出すも、1993年に惜しまれつつ解散。 その後はそれぞれソロ活動を展開していたが、2009年に16年ぶりとなるまさかの再始動。2月にシングル「WAO!」とアルバム「シャンブル」を発表し、3月より全国ツアー「蘇える勤労」を開催した。また2011年は干支にちなみ「兎に角(とにかく)働こう」と年始より宣言。5月にフルアルバム「Z」をリリースし、直後より全国ツアー「ユニコーンツアー2011 ユニコーンがやって来る zzz...」を実施。さらにツアー中の8月にミニアルバム「ZII」を発表する、精力的な活動ぶりを見せた。2012年最初の新曲は、アニメ「宇宙兄弟」のオープニングテーマとして書き下ろされた「Feel So Moon」。6月に同曲をシングルリリースする。