生きてる感じするじゃん

──お二人は以前から原作のマンガ「ベルセルク」を読んでいるそうですね。読み始めたきっかけは？

菅原卓郎（Vo, G）　高校生ぐらいだったかな？ 当時いろんなマンガ雑誌を立ち読みしてたんですけど、その中に「ヤングアニマル」も含まれてて。そこで「ベルセルク」を知って、コミックスも読むようになったんです。もう17、8年ぐらい前か。

──雑誌で読んでいたと。

菅原　今でも「ヤングアニマル」の誌面でチェックしてますよ。

かみじょうちひろ（Dr）　僕は友達に薦められて、マンガ喫茶に行って20時間ぐらいかけて全巻読んだのを覚えてます。その頃で30巻以上は出てたかな。

──お二人で「ベルセルク」についてお話しすることは？

かみじょう　よく「ガッツみたいになりたい」って話してたよね。

菅原　そんなこと言ってたっけ？（笑） ガッツの人生厳しいよ……。

かみじょう　あのぐらいのほうが生きてる感じするじゃん。

──だいぶ険しい生き方してますよね……。

菅原　キツいですよ！（笑） 常に死にかけになっちゃう。

戦闘と人間ドラマの魅力

──「ベルセルク」に惹かれたのはどのあたりだったんでしょう？

菅原　やっぱり絵ですよね。年々描き込みがすごいことになっていくし。

──綿密な描き込みは「ベルセルク」の特長の1つですよね。さらに風景を見開きで載せたり、剣を振る動作を同じアングル、見開き2ページを使ってダイナミックに描いていたりといった、大胆なコマ割りもよく話題になりますね。

菅原　あっさりやられるザコもいれば時間差で体が切れる敵もいたり。いろんな表現で戦闘が展開されてます。

かみじょう　剣と魔法と中世を題材にした世界観が好き、っていう人も多いですよね。それこそ僕らと同世代であれば「ファイナルファンタジー」とか、ゲームでそういった世界観は慣れ親しんでるだろうし。

──その世界観も緻密に作り込まれていて。

かみじょう　しかも矛盾がない。引き伸ばしたりあと付けするんじゃなくて、はじめから考えていたんだろうなって思いますよ。

──コミックは38巻まで出ていますが、その中でも特に好きなシーンは？

菅原　ガッツが狂戦士の甲冑を着てからの戦闘はどれもいいよね。

かみじょう　甲冑の副作用で白髪になったり、味覚に障害を起こしたりするんですけど、それを支え合う仲間の描写もいいし。今までは怒りに任せて復讐のために行動していたガッツだけど、徐々に仲間を思うようになって、人間味が戻ってくる。絶望していたけどちょっとずつ希望を戻すように、ガッツの心境が変わってきたあたりからさらに面白くなってきましたね。

より「ベルセルク」が好きになれる要素に期待

──「ベルセルク」は1997年に一度アニメ化されましたが、そちらはご覧になりましたか？

菅原　地元が山形で、放送当時は観れなかったんですよ。これまで「ベルセルク」は3部作で映画化されたし、ゲームも出てましたよね。

──前回のアニメ版や映画版ではガッツの過去がメインに描かれてきましたが、新アニメ版ではガッツの現在の物語にスポットが当たります。お二人はどのような点に期待していますか？

菅原　ガッツが1人でひたすら戦うシーンも多くなってきますよね。「こいつ勝てるわけ？」っていう敵に剣を振るっていく、その様子がアニメだとどう描かれるか楽しみです。

かみじょう　マンガではサラッと流したシーンを、アニメではセリフを追加したり表現を変えたりすることってありますよね。それによって物語に広がりが生まれることもあると思うんです。アニメだからこそできる表現によって、より「ベルセルク」を好きになれるような要素が増えることを期待してます。

菅原　あと、ガッツとパックのしょうもないやり取りがあるじゃないですか。そのトーンもアニメだとどうなるか気になるよね。