ナタリー PowerPush - 9mm Parabellum Bullet
原点と進化を刻んだ最高傑作
滝は叩きたいと思わせるギタリスト
──最初に滝くんが持ってきたオリジナル曲を聴いたときのことは覚えてますか?
滝 最初の曲はボツになったんですよね。みんな覚えてるかな? 口頭で説明してやってみたんですけど、うまくいかなくて。でも、のちにそのコード進行が「The Revolutionary」に採用されたんですけど。
菅原 最初はまだどういう曲をやったらカッコいいのかよくわかってなかったんだと思う(笑)。でも「The Revolutionary」になってよかったと思います(笑)。
中村 僕も、自分にとって9mmは初めて組んだバンドだったので、当時はそこまで頭がいってなくて。むしろ最近のほうが感じることがいろいろありますね。自分で曲を作るようになって。
──どういうことを感じますか?
中村 「この曲はこういうふうに弾いてほしいんだろうな」とか、「曲の個性をかなりとがらせたうえでメンバーに託してるな」とか。今作は特にそういうことを感じました。
──かみじょうくんは?
かみじょう 滝とは9mmを組む前にも同じバンドをやっていて。滝はベースで、ほかにボーカル&ギターの人がいて。ポップロックみたいなバンドだったんですけど。で、そのボーカル&ギターの人はギターがヘタクソで。これからどうしようってなったときに、いい予感がなかったから滝と2人で同じタイミングで抜けたんですよ。そこから滝と卓郎と新しいバンドをやろうってなって、9mmの母体となるバンドを組んだんですけど。そこから和彦が入って4人でやるようになって、なかなかいいなと思って人に聴かせたら「バカいいじゃん!」ってリアクションが返ってきて(笑)。
──やっぱり最初から相当なインパクトがあったんだね(笑)。
かみじょう そこで「このバンドはいける」と思いましたね。
菅原 あはははは(笑)。
かみじょう 前のバンドのボーカル&ギターの人はギターソロのないギターを弾いていたので、小学生みたいだなと思っていたところに、滝が強烈なギターを弾いたので。「ああ、プロのギターの人ってすごいんだな」と思って。
菅原 当時はまだプロじゃないけどね(笑)。
かみじょう ふふふふふ(笑)。とにかく叩きたいと思わせるギタリストだなと。
曲を書くのが早くなった
──滝くんは今作も踏まえて、曲作りにおいて9年前と現在で自分がもっとも成長したのはどんなところだと思いますか?
滝 曲を書くのが早くなったところですね。例えば今作の「The Lightning」「The Silence」や、シングル「Answer And Answer」に入ってる「Snow Plants」は1日で作ったんですけど。そのほかに「黒い森の旅人」と「シベリアンバード~涙の渡り鳥~」も同じ日に作って、さらにそのほかにもボツになった曲を2曲作ったりしていて。とにかく早くなりましたね。そこに自分でも成長を感じます。みんなに渡すデモのクオリティも飛躍的に上がったし。
菅原 そうだね。
滝 デモのドラムを自分で叩いて「こんなにテンションを上げてほしい!」とか、逆に「これくらいおっとりしてほしい」とか、ドラムだと曲の押し引きやニュアンスを伝えやすいんですよね。「The Lightning」と「The Silence」はものすごいテンションでできましたね。
──アルバムの最初と最後の曲を同じ日にテンション高く作れたのはいいっすね。
滝 はい。みんなに曲を覚えてきてもらって、最初に合わせるときからものすごいテンションでいけたので。
──今作はライブで新曲をどんどんやっていったこともそうだし、速攻で曲を体現していくことが大きなポイントになったんですね。
菅原 そう。そこがすごく大きなポイントだったと思いますね。
──和彦くんは、今作では「Grasshopper」と「Caution!!」というストレートなアプローチの2曲を手がけていますけど、作曲における自分の役割はどんなところだと思ってますか?
中村 ストレートな曲は自分の得意なところですね。自分が書かなきゃバンドでそれを出せないわけではないんですけど、全体を見てストレートな曲は俺に任せられていると思ったので(笑)。こういう曲をカッコよく鳴らすことでアルバムの幅も広がると思った。
──かみじょうくんはどうですか? 今回は「Zero Gravity」を作詞作曲していて。この曲はドラマーらしいアプローチの踊れる曲だなと。
かみじょう 曲作りは気が向いたらやってみようかなというスタンスですね。せっかくなら滝とは違うものを作りたいなと。どうせコードうんぬんとか音楽的な知識では勝てるわけがないので。彼は絶対音感ももってるし。じゃあ滝が書かなそうな曲はどういうものかなと考えて。今回の「Zero Gravity」は初めて作詞もしたんですけが、近未来感があって、ちょっと無機質な感じで、サビで踊れるような曲を意識しました。
菅原 かみじょうくんらしい歌詞と曲だなって思った。
- ニューアルバム「Dawning」/ 2013年6月26日発売 / EMI Records Japan
- 完全生産限定盤 [CD+DVD] / 4500円 / TOCT-29168
- 通常盤 [CD] / 2800円 / TOCT-29169
CD収録曲
- The Lightning
- Grasshopper
- Answer And Answer
- Zero Gravity
- シベリアンバード~涙の渡り鳥~
- Scarlet Shoes
- コスモス
- Wild West Mustang
- Starlight
- ハートに火をつけて(Album Ver.)
- Caution!!
- 黒い森の旅人
- The Silence
完全生産限定版DVD収録内容
完全生産限定 全ビデオクリップ付 SPECIAL EDITION
- The World
- Discommunication
- Termination
- Supernova
- Wanderland
- Living Dying Message
- Vampiregirl
- Black Market Blues
- Cold Edge
- 命ノゼンマイ
- The Revolutionary
- キャンドルの灯を
- 新しい光
- カモメ
- ハートに火をつけて
- Answer And Answer
- 黒い森の旅人
9mm Parabellum Bullet
(きゅーみりぱらべらむばれっと)
2004年3月横浜にて結成。2枚のミニアルバムを残響レコードよりリリースした後、2007年10月に「Discommunication e.p.」で鮮烈なメジャーデビューを飾る。パンク、メタル、エモ、ハードコア、J-POPなどさまざまなジャンルを飲み込んだ音楽性と、激しいライブパフォーマンスで人気を博し、現在の音楽シーンを牽引するロックバンドの1組として支持されている。2009年9月9日には初の日本武道館公演「999(アット ブドウカン)」を開催し、1万1000人の観客を動員した。2011年6月には4thアルバム「Movement」を発表し、同月に横浜アリーナにてワンマンライブ「Movement YOKOHAMA」を開催。同公演の模様は、2012年4月に「actIV」としてDVDおよびBlu-rayでリリースされている。2012年6月にはMTVの人気企画「MTV Unplugged」に初出演。アコースティックによるステージの模様は、同年8月にDVD+CD作品として発表され話題を集めた。結成9周年を迎える2013年に入ってからは、5月29日にシングル「Answer And Answer」を発表。6月26日に5thアルバム「Dawning」をリリースする。