音楽ナタリー Power Push - 7!!

「センチメートル」で計る 変わりゆく彼らと、変わらない彼ら

昔のギターで“今のセンチメートル”をプレイする

──今回のバージョンでは1コーラス目のバッキングがピアノとストリングス中心にリアレンジされています。その2つの音と一緒に歌うことについては?

NANAE バンドがいないということについては、さっきMAIKOからも出た「オレンジ」で克服してるので、違和感なく臨めました。もちろん、2番からバンドがオールインしてくるところは安心するし、ウォーッ!と、気持ちが昂ぶるんですけど。

──いい曲はどんなアレンジになってもいい曲なんですね。

MAIKO 実は私は従来のイメージが強くて最初は受け入れ難かったけど、そういう固定観念を破ってくれる第三者の新鮮な目線が時には必要なんだなと思いました。曲がよりよくなるいい環境にいられてるなと。

──曲が成長して、プレイに臨む感覚も変わりましたか?

MAIKO 「オレンジ」でバラードの流れというものを自分なりに噛み砕くという経験をしてたので、そこは生かせたと思います。「センチメートル」の主人公には、一歩踏み出したいという芯の強さがある。だから、穏やかな中にもしっかりとした気持ちを込めたプレイにしようって心がけてたし、ドラムと一緒にコーラスもしているので、プレイ自体、ほどよい力加減になったと思います。あとアレンジは違えど基本の流れはもう体に染みこんでいるので、ドラム録りという意味では、ホントにすんなりいきました。

──KEITAさんはどうでしたか?

KEITA(B)

KEITA  MAIKOと同じく体に染みこんでるので、やっぱり2テイクくらいで終わりました。インディーズ時代から弾いているラインも入れつつ、曲のストーリーに沿ったダイナミクスも演出できたとも思ってます。

──以前ベースプレイについて「音数の少ないバラードは次の音が来るまで待ちきれなくて」と言ってましたが。

KEITA 今回は待ちきれました(笑)。

──MICHIRUさんは、ほとんどアコギ?

MICHIRU そうですね。エレキの出番が少ないので何を表現しようかなと思ったときに「そうだ、あの頃のギターサウンドを入れられたらいいな」と思い、昔使っていたGIBSONの赤いES-335をひさしぶりに引っ張り出してきました。レスポールを買ってからあまり使ってなかったんですよ。

──あ、レスポールに浮気しちゃったんですね(笑)。

7!!

KEITA 浮気が本気になっちゃったね(笑)。

MICHIRU でも僕が昔から弾いていたフレーズをシライシさんが生かしてくれたので、それがうれしくて、ES-335でのアウトロのギターにはかなり感情が入りました。

KEITA 歴史の詰まったフレーズだよな。

成長した今も切実な気持ちで歌えている

──この曲の描いている切ない、もどかしい主人公の気持ちって今の皆さんから見て、どう感じますか?

MAIKO 今ならわかる気がします。当時のMAIKOは、好きなら「好き!」とダイレクトにぶつかるタイプだったから(笑)。

KEITA 土足で踏み込んでたからな(笑)。

MAIKO 最近は傷付きたくないという気持ちも出てきて、だいぶ奥ゆかしくなりました(笑)。今ならもっと心を込めてこの曲をお届けできます。

NANAE(Vo)

NANAE 私はMAIKOと正反対で、長いことこの曲の主人公みたいな、すごく近くにいる人に対して最後の一歩が踏み出せない感じだったんです。でも、最近は恋愛に限らず、好きな相手や対象には自分から積極的にアプローチしていかないと手遅れになると思うようになりました(笑)。とはいえ、あの時代があっての今なので「センチメートル」は今も切実な気持ちで歌えます。

陽気なカントリーソングに潜む“ちょっと重たい”モチーフ

──さて、カップリングの「君だけのストーリー」はチャーミングなカントリーですね。

MAIKO ミッチー(MICHIRU)が曲を作ったきっかけはちょっと重いかも。

──そうなんですか!

MICHIRU いやいや、そんな大げさなことではないんです。家の近くに小学校があって、散歩してたらちょうど運動会をやってたんですね。「ああ、がんばってる子供たちっていいな」と思って、家に帰ってテレビをつけたら、中東での子供の自爆テロが報道されてた。なんかそのギャップが突き刺さって、子供をテーマにした曲を書いてみようと思ったんです。でも、この曲で世界を変えたいとか、子供たちを守りたいとか、そういうことを振りかざしたいわけじゃない。単純に、みんなまっすぐ前を見て生きていけたらいいよねと、そういう思いで書きました。

MAIKO なのにウチら超のんきに演奏してて(笑)。

MICHIRU それでいい、というか、それがいいんです。

MAIKO(Dr)

MAIKO ショッピングモールなんかでこの曲をアコースティックセットでやってると、子供たちがワーッと目を輝かせて寄ってくる。それを見ると、ミッチーがこの曲を作ったきっかけを思い出しますね。

MICHIRU ただ、きっかけはあまり言わないほうがいいのかなと。

KEITA いや、大事な話だよ。

NANAE 私も言ったほうがいいと思う。

ニューシングル「センチメートル」 / 2015年10月21日発売 / EPICレコードジャパン
初回限定盤 [CD+DVD] / 1800円 / ESCL-4535~6
通常盤 [CD] / 1200円 / ESCL-4537
CD収録曲
  1. センチメートル
  2. 君だけのストーリー
  3. オレンジ feat. NAOTO(Classic ver.)
  4. センチメートル(instrumental)
初回限定盤DVD収録内容
  • 「7!!のうぷぷな日SPECIAL 10th Anniversary ~渋公ちゃん、ばんみかちぇー!!~」(2014.8.17@渋谷公会堂)LIVEダイジェスト映像
7!!のうぷぷなツアー2015 ~でーじ、ごぶさーたーあんだぎー!!~
2015年10月31日(土)長崎県 DRUM Be-7
2015年11月1日(日)福岡県 DRUM Be-1
2015年11月3日(火・祝)広島県 SECOND CRUTCH
2015年11月5日(木)香川県 DIME
2015年11月8日(日)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
2015年11月10日(火)石川県 vanvan V4
2015年11月14日(土)大阪府 umeda AKASO
2015年11月15日(日)北海道 CLUB DUCE
2015年11月22日(日)宮城県 darwin
2015年11月23日(月・祝)宮崎県 SR BOX
2015年11月27日(金)沖縄県 桜坂セントラル
2015年11月29日(日)神奈川県 KAAT 神奈川芸術劇場
7!!(セブンウップス)

7!!

高校時代、同い年のNANAE(Vo)、MAIKO(Dr)、MICHIRU(G)、KEITA(B)により結成された沖縄在住の4人組バンド。バンド名の由来はNANAEの名前を「7(ナナ)」と「エッ!!」に分け、それぞれ英訳した「seven」「oops」をつなげたもの。2011年4月に映画「高校デビュー」の主題歌「フォーリン・ラブ」でメジャーデビュー。2013年3月には1stアルバム「ドキドキ」を発表し、6月から全国10カ所を回るワンマンツアー「7!!のうぷぷなツアー2013~ドキドキ~」を開催した。2014年8月に2ndアルバム「STARTLINE」をリリースし、同8月には東京・渋谷公会堂にてバンド初のホールワンマン公演を実施。12月には映画「アオハライド」のコンピレーションアルバムに参加している。また2015年2月の、アニメ「四月は君の嘘」エンディングテーマ「オレンジ」で幅広い層の共感を集め、10月にはインディーズ時代からの人気曲「センチメートル」を含む11thシングルをリリースした。