虹のコンキスタドール「Over the RAINBOW~虹の上にも7年!~」インタビュー|駆け抜けてきた道のりを胸に刻み、武道館のその先へ (2/4)

三角形のグループからの進化

──コンプリートボックスにはメジャーデビュー以降の楽曲、計47曲がCD3枚にわたって収録されています。収録曲を見るとかなりのペースで曲を発表してきたことがわかりますが、特に思い出の詰まっている曲はありますか?

中村 朱里は「天文学的ノンフィクション」が思い出深いです。これは赤組の曲なんですけど、発表当時、青組の曲だけがあって、赤組のメンバーで「私たちの曲も欲しいよねー」と話してこちらからスタッフさんにお願いして作っていただいたんです。そういう意味で思い入れが強いし、振り付けも華鈴と一緒にみんなで自由に作ったので、ほかの虹コンの曲よりもどこかお遊戯会的な楽しさがある曲です。

山崎 私は「サマーとはキミと私なりっ!!」が心の底から、イチファンとして大好きな曲で。2020年の夏曲なんですけど、レコーディングしたときはまだコロナが始まってなくて、「虹コンの曲ってやっぱりいいな! 早くライブでやりたいな」と思ったのを覚えています。その後、世の中がコロナ禍になってしまったので、いまだにコールがある状態でこの曲をライブでやったことがなくて。お客さんが声を出せて、たくさん動ける環境で披露できる世界だったらどんな曲に育ってたかなと想像しちゃいます。フェスも2020年の夏は有観客じゃなかったし、いい曲なのに無観客の思い出が強いのがなんとも言えないですね。

左から桐乃みゆ、山崎夏菜、蛭田愛梨、的場華鈴、中村朱里、神田ジュナ。

左から桐乃みゆ、山崎夏菜、蛭田愛梨、的場華鈴、中村朱里、神田ジュナ。

桐乃 私は去年の夏曲「世界の中心で虹を叫んだサマー」が、加入して最初にレコーディングした曲というのもあって思い出深いですね。前に活動していたWILL-O'というグループは虹コンとは全然テイストが違っていて、こういう明るく元気な曲を歌ったことがなかったんですよ。かわいいアイドルらしい曲をやってみたかったので、落ちサビの部分を任せてもらえたのも含めて「世界の中心で虹を叫んだサマー」を歌えるのがうれしかったです。今でもこの曲をお披露目したライブの記憶が鮮明に残っているし、これからも心に残り続けて、初心を思い出すような曲になるんだろうなと思います。

蛭田 私は「夕暮れグラデーション」がすごく好きです。ライブではあまり歌ってないんですけど、披露するたびに毎回私だけ1人泣いてるんです。レギュラーラジオで流したときもブースの中で私だけ泣いちゃって。

的場 あれ、びっくりする(笑)。

蛭田 振り付けは的場先輩が作ったんですけど、武道館を表した振りや、「10年先の僕は何処にいるのかなぁ」という歌詞が印象的で。前向きな気持ちと不安な気持ち、どっちも伝わってくる曲です。今年1月に発表した「BE MYSELF」という、10年後の虹コンの姿を表した曲とつながってる部分があるんじゃないかなとも勝手に考えています。

神田 私はただただ好きな曲というだけなんですけど、「じゃんぷ!」が一番お気に入りです。

的場 へー!

神田 アイドルになる前、初めて観た虹コンのミュージックビデオが「じゃんぷ!」だったんですよ。私が入ってからまだライブではそんなに披露してないんですけど、ずっと大好きな曲です。

──的場さんはどの曲について話そうか悩んでいるようですが、決まりましたか?

的場 強いて1つ挙げるならという感じなんですけど、「ずっとサマーで恋してる」は「トライアングル・ドリーマー」以来の爆発力を見せた曲だなと思っていて。そのほかにも人気の曲はたくさんあるんですが、「ずっサマ」が鉄板曲の「トライアングル」を超えてくる瞬間が今まで何回かあったんですよ。夏フェスとかでこっちの曲のほうが沸くときが。ついに虹コンにも“三角形”以外の代表曲ができたんだなと感慨深くなったし、私たちが考案したハートジャンプというオタ芸がお客さんにハマったのがすごくうれしかったです。発表当時、「オレモー!」とか、叫んでほしいコールについてもこちらからお客さんに提案して。最初は「えー!」っていう、好きにやらせてくれよみたいな反応だったんですけどその後ちゃんと浸透しましたし、「虹コンって“三角形”のグループだよね」というところから進化できたきっかけの曲ですね。

──既存の代表曲を超えることは、多くのグループが抱えている課題ですよね。

的場 そうですね。「トライアングル」は初期からずっとグループを代表してくれていたんですけど、今はセットリストに入れないこともあります。「『トライアングル』ないのかよ!」という声もだいぶ少なくなりました。

桐乃 WILL-O'で活動していた頃、虹コンと一緒のライブになったときに「ずっサマ」にすごく感動したんです。ファンの方とメンバーの一体感はもちろん、曲自体にも感動して。「こんなにいい曲があるのか! なんだこの曲は!」って自分の中で革命を起こした曲で、今、華鈴先輩の話を聞いて当時のことを思い出しました。初めてライブで聴いたあと、YouTubeでMVを観まくりました。

左から桐乃みゆ、山崎夏菜、蛭田愛梨、的場華鈴、中村朱里、神田ジュナ。

左から桐乃みゆ、山崎夏菜、蛭田愛梨、的場華鈴、中村朱里、神田ジュナ。

「これでやりきった!」と思わないような武道館に

──先ほど少し話に出ましたが、リーダーの的場さんが武道館公演をもって卒業することについてもこのインタビューで触れておかなければと思っていまして。卒業を決断した理由としては、アイドルをやりきったという思いが一番大きいんでしょうか?

的場 それもありますし、最近は「“やりきった”の定義ってなんだっけ……?」とも考え始めていて。武道館での最後のライブで本当の意味でやりきったと思えたらいいなという心境でもありますね。卒業を発表してから、「私、このお仕事がホントに好きだな」と改めて実感したんですよ。虹コンで過ごしていく中でもっとこういうことをしたいという思いも出てきている中、卒業することを選んだのは自分の人生で一番大きな決断で。アイドルを始めたときよりもたくさん考えた末での決断ですし、自分の意思でこうして何かに区切りをつけるのも初めてだと思います。虹コンで活動し始めたときはまだ中学2年生で、いろいろと守られた状態で物事を決めてましたが、今回は自分の気持ちで決断しました。それはすごく勇気の要ることでしたし、正直まだ不安です。「武道館以降、どんな気持ちになってるんだろう」と思いつつも、やっぱり武道館に立ったときの気持ちは大切にしていきたいので、まずは武道館ワンマンを楽しみたいと思っています。

──グループにとって太陽のような存在で、大黒柱である的場さんの卒業を聞いて、ほかのメンバーは「この先大丈夫かな」という不安な気持ちにはなりませんでしたか?

中村 卒業の話を聞いたときは、すっごい引き止めました(笑)。当たり前のように存在して、前線でがんばってきてくれていた中での突然のことだったので、やっぱり衝撃が大きかったというか。想像していない未来もあるんだなと感じて、今までの自分の活動についても改めて考えさせられる機会でした。華鈴との思い出も含めていろいろと頭を駆け巡って、そしていろいろと華鈴の話を聞いていく中、華鈴のことがホントに好きだなと実感して。その華鈴が決断したなら、と納得しました。

左から桐乃みゆ、山崎夏菜、蛭田愛梨、的場華鈴、中村朱里、神田ジュナ。

左から桐乃みゆ、山崎夏菜、蛭田愛梨、的場華鈴、中村朱里、神田ジュナ。

──武道館公演が持つ意味もより大きなものになりましたね。

蛭田 虹コンとして初めての武道館で、今までで最大のキャパのライブということと、先輩の卒業ライブということ、どっちにも同じくらい大切な気持ちを持って臨みたいなと思います。やっぱり第一には観に来てくださる方に楽しんでもらって、「すごくいい日だったな」と何年経っても思い出してもらえるようなライブをしたいです。

山崎 ホントにいろんな感情があるんですよ。華鈴先輩が言った通り、武道館が通過点になるようにがんばりますが、もしこれが最初で最後の武道館になったとしても、1人の人間として成長できる経験にしたいです。武道館でライブをするって普通に生きてたらできることじゃないし、今後の人生にも影響していくようなライブにしたいなって。

蛭田 私たちも観に来てくださる方にも、「よし、これでやりきった!」と思わないような空間にしたいです! むしろ「これがスタートだったんだ!」って感じてもらいたいんです。