虹のコンキスタドールがメジャーデビュー以降に発表した楽曲およびミュージックビデオを網羅したコンプリートボックス「Over the RAINBOW~虹の上にも7年!~」がリリースされた。
このコンプリートボックスは、2017年4月発表のメジャーデビュー曲「✝ノーライフベイビー・オブ・ジ・エンド✝」をはじめとする全45曲入りのCD3枚組と、22曲分のミュージックビデオを収めたBlu-rayをセットにした作品。コンスタントに楽曲を発表し、前に進み続けてきた虹コンのこの5年間の歩みが網羅されている。本作は4月16、17日に開催される虹コン初の東京・日本武道館公演「Over the RAINBOW~なんたってアイドルなんですっ!!~ in 日本武道館」に合わせたタイミングでのリリースとなり、大一番のライブに向けてグループの歴史をたどるのにもってこいの作品だ。
音楽ナタリーでは作品のリリースに合わせ、今回もメンバーを2組に分けてインタビュー。メジャーデビュー以降の5年間の思い出、特に印象深い楽曲やMV、日本武道館公演を最後に卒業する的場華鈴と根本凪への思いなどを語ってもらった。
取材・文 / 近藤隼人撮影 / 佐々木康太
神田ジュナ・桐乃みゆ・中村朱里・蛭田愛梨・的場華鈴・山崎夏菜
虹コンが明るくなった!
──2017年4月に「✝ノーライフベイビー・オブ・ジ・エンド✝」でメジャーデビューしてから5年が経ちました。この期間にグループの中でもっとも変化したことを挙げるとしたらなんでしょう?
的場華鈴 明るくなったと思います! メジャーデビュー当時がすごく暗かったというわけではないんですけど、ここにいるメンバーで言うと去年みっふぃー(桐乃)やジュナちゃんが入ってきてくれたのもあり、全体的な雰囲気として楽屋でもライブのMCでもみんなが楽しくしゃべれるようになったのが変わったところなのかなって。
──明るいオーラを持つ新メンバーが入ってきたのが、グループが明るくなった一番の要因ですか?
的場 それもありますし、やっぱり5年前と違うのはこの5年間を一緒に過ごしてきたという事実があることで。みんな大人になったというのもあると思うんですけど、この期間にバラエティの冠番組も始まったし、それ以外にもいろんなことをみんなでやっていく中でお互いに壁がなくなってきたんだと思います。メジャーデビュー当時はチャンチャン(山崎)や愛梨ちゃんはまだ虹コンに入ってまだ間もなかったよね。
蛭田愛梨 そうですね。入って1年くらいだったと思います。
的場 そのときと比べたらメンバー同士で話せることの幅が広がって、雰囲気がよくなったんじゃないかなって。
蛭田 自分のことで言うと、当時に比べて落ち着いたと思います。的場先輩が言ったみたいに、明るくなったのと同時に大人っぽくなったかなと感じていて。昔は先のことよりも、その瞬間に自分がやるべきことに集中していた気がするんです。それに対し、今は個人のお仕事も含めていろんなことを経験させていただいて、今のことも大事だけど、未来の自分像を考えながら行動できるようになったと思います。
山崎夏菜 グループ全体のことだと、メジャーデビューした当時はメンバーが赤組と青組でしっかり分かれていて、それがけっこう重要なものだったんですよね。今は組ごとに分かれることがあまりなくて、その影響でかなり変わったところがあると思います。私たちが入ったばっかりだったということもあるんですけど、5年前は先輩後輩の関係がもっとしっかりあったイメージだったんです。逆に今は全然なくて、去年加入した(石原)愛梨沙ちゃんが、私に「山崎!」って言ってくるくらいで(笑)。
的場 わー!(笑)
山崎 でも、私はそのほうがいいなって思うんです。メンバー同士の距離感が近くて。
──先輩メンバーを「○○先輩」と呼ぶのは、当時の名残りなんでしょうか? アイドルグループとしては少し珍しい習慣ですよね。
蛭田 加入したとき、当時いたスタッフさんに「年齢は関係なく、グループに入った順で先輩後輩が決まるから、先輩のことは『○○先輩』って呼んでね」と言われたんです。
的場 呼ばれる側の私たちとしては、「マジかー」と思いました(笑)。
中村朱里 グループのコンセプトが「毎日が文化祭!」という、学校をイメージしたものだったからだと思います。5年前、私たち1期生もまだアイドルを始めて数年しか経ってなくて、がむしゃらに走ってきてやっと安定してきたのかも、という時期にメジャーデビューしたんですよ。だから、私たちとしても先輩ではあるけども、まだまだ自分のことで精一杯で。今は個人のことだけじゃなく、今後虹コンとしてどうしていきたいかという全体像をみんなで考えられるようになったと思います。ワンマンライブのセットリストも以前はスタッフさんが完全に決めていたんですけど、だんだんとメンバーも含めてグループ全体で考えるようになって。それによって責任感というか、1つひとつのライブに対してしっかり向き合えるようになったのが大きく変わったことだと思います。
──桐乃さん、神田さんは昨年グループに加入しましたが、そのときにはもう今の虹コンの雰囲気や姿勢はできあがってました?
桐乃みゆ そうですね。ワンマンライブのセットリストを自分たちで考えさせていただけるのはありがたいことですし、メンバーの仲も雰囲気もいいなと感じています。
神田ジュナ 私はずっと妹グループ(虹のファンタジスタ。2021年3月に活動終了)にいたので、虹コンメンバーに対して“お姉さん”という認識があったんですよ。愛梨沙は虹コンが最初のグループだから、加入したてのときから先輩に対してけっこうガツガツいっていたんですけど、私はそれができなくて。でも、先輩たちは優しく話しかけてくれてたり、私が「教えてください」と言わなくても振りを丁寧に教えてくださったりしてうれしいです。
長い5年間
──今年4月16、17日には目標だった東京・日本武道館でワンマンライブが開催されますが、この5年間、思い描いていたようにステップアップできたという実感はありますか?
的場 めちゃくちゃ正直に言うと、思い描いていたようにはいってないかなと思います。結成5周年でZeppワンマン、去年7周年でもZeppを含むツアーをやって、コロナ禍の影響もあると思うんですけど、メジャーデビューのときはもっと一気に駆け上がっていく姿をイメージしていたんですよ。当時はまだ武道館という夢を薄く描いていた程度だったんですが、そこに到達するまで想像以上に時間がかかったなという感覚です。それにZeppのときが“満を持して”という感じだったのに対し、今回の武道館はちょっと違って、私たちがチャレンジをしにいくライブだと思っていて。そのチャレンジをさせてもらえるようになったというのも、この5年間で変わったところなのかもしれないです。すごく恵まれているグループだなって。
──思い描いていたスピードではなかったけど、かなり濃い5年間ではありましたよね。
的場 今も武道館という大きなライブが控えているように、なんだかんだずっとがんばることが目の前にあって。常にそういったことを与えていただいているし、自分たちでもがんばることを見つけられるようになりました。想像していたスピードじゃなかったけど、このペースだからこそできることがたくさんあったのかなと思います。
中村 決してあっという間ではなく、長い5年間でした。私はアイドルについてまったく知らない状態で虹コンの活動を始めたので、最初は武道館がどれくらいすごい場所なのかもよくわかってなくて。ほかのアイドルさんが武道館でライブをやってるのを見て、「武道館って意外と立てちゃうところなのかな」と勘違いしていたんですよ。今は実際に武道館でのライブが決まっているわけですが、やっぱりチャレンジという側面が大きいなと感じていて、想像と現実の差が自分の中で大きかったですね。
──武道館公演が決定したことは昨年12月24日のクリスマスライブで発表されましたが、そのときに的場さんが「虹コンにとって1つの通過点になるような、とにかく最高のライブをお見せしたいと思います」と語っていたのが印象的でした(参照:虹コン盛りだくさんのXmasライブで重大発表、武道館に向けての誓いを立てる)。目標を叶えたあと、燃え尽きてしまって活動が鈍ってしまうアーティストもこれまで見てきましたが、的場さんはそれを見越してこう発言したのかなと。
的場 Zeppワンマンを叶えたときに、「今後どうするの?」「次は何を目標にしていくの?」と虹コンだいすきマン(虹コンファンの呼称)のみんなが心配している空気を感じたんです。武道館はそのとき以上に大きい会場ですし、メンバーはもちろん、虹コンを見てくださっている皆さんに、この先がどうなろうとも武道館ワンマンがあってよかったと絶対に思ってもらいたくて。私は卒業するので、自分が言うとメンバーにプレッシャーがかかっちゃうし、どうしようかなとも思ったんですけど、武道館の先も常に挑戦していくグループになってほしいという気持ちがあったんです。そして、ファンのみんなの心配を取り除きたいという思いで「通過点」と言いました。武道館ワンマンを観に来るにあたって、今後のことを心配せず、純粋に楽しんでもらいたいなって。
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三角形のグループからの進化