虹のコンキスタドールが結成7周年記念日である7月14日にアニバーサリー作品「RAINBOW SUMMER SHOWER」をリリースする。
7つの色で構成される“虹”をグループ名に冠する虹コンにとって、7周年は特別な数字であり、活動の区切りとなる大事な1年。今年4月に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で行われたワンマンライブ「いつかキミと見たミライより遥か」では、2017年5月に一度グループを卒業した大塚望由と今年3月末までWILL-O'で活動していた桐乃みゆが新メンバーとしてお披露目され、大きな話題を集めた(参照:虹コンが新体制になってパワーアップ!結成7周年イヤーを彩る発表ごとが続々)。そして「RAINBOW SUMMER SHOWER」には毎年発表されている夏曲の最新ナンバー「世界の中心で虹を叫んだサマー」や、ヒャダインこと前山田健一が手がけた全農とのタイアップソング「美味いものファンクラブ」をはじめ、7周年イヤーを彩る7つの新曲を収録。強力な新メンバー、新曲を手に入れてパワーアップした虹コンが今まで以上に精力的な活動を展開している。
音楽ナタリーでは今作のリリースに合わせ、メンバー12人を2組に分けてインタビュー。6周年から7周年のかけてのこの1年間で感じたこと、新メンバー2人の虹コンへの思い、新体制で臨む今後の活動への意気込みなどをたっぷり話してもらった。
取材・文 / 近藤隼人 撮影 / 曽我美芽
ファンとの絆が深まった1年
──結成6周年から7周年にかけての1年間はずっとコロナ禍が続いてる状況でしたが、ライブ活動などはもちろん、メンバーの卒業や加入もあり、虹コンにとってはかなり濃い時間だったんじゃないですか?
鶴見萌 あまりファンの方と会えなかったり、ほかのアイドルさんとの仕事がなかったり、いろいろと距離感が離れた期間だったんですけど、「虹マジ」(BS11「虹のコンキスタドールが本気出しました!?」)や全農さんとのタイアップなど、継続した仕事をやらせていただけて。ライブも1回1回の重要度がより増して、そこにかける力が大きくなったし、ファンの方も次のライブがいつかわからない分、すごく楽しみにして来ていただけているような気がします。気軽に毎日会える環境ではなくなってしまったけど、1つのステップアップにつながったんじゃないかなと思います。
清水理子 確かに1回のライブに対する集中力が上がりました。レッスンや楽屋での声出し、体幹トレーニングにも前以上に励むようになったと思います。
──配信ライブも回数を重ねたことで、カメラの抜かれ方など画面越しの見せ方も上達したんじゃないですか?
隈本茉莉奈 カメラを探す能力はこの1年間ですごく高くなりました(笑)。あと、今までライブに来ようと思ってもなかなか来れなかった地方の方、興味はあるけどライブに行くほどではない人にもライブを観てもらえる機会が増えて。そういう意味ではいい7周年への向かい方ができたんじゃないかなと思います。
──お客さんの反応が直接目に見えないという戸惑いもあったとは思いますが、その中でポジティブなことを見つけられたんですね。
鶴見 以前は毎日のようにあったイベントがなくなってしまった中、「じゃあ私たちには何ができるんだろう」と模索して。最初のうちは何をしたらいいかわからなかったけど、自分でがんばって動画を編集して上げたりして、その結果みんなの個性が出てきたんですよね。いろんなことにチャレンジする精神が身に付いたので、それがきっかけで新しいお仕事にもつながってるのかなと。
根本凪 ライブがあまりできなくなっちゃった分、SNSとかでファンの人との絆が強まったと思います。オンラインの特典会に毎回のように参加してお話ししてくれたり、配信ライブをコメントで盛り上げてくれたり、なんというか一歩踏み入ったところにお互いがいけた気がしていて。仲よくなれてうれしいです(笑)。あと、オンライン特典会ってみんな好きなところから参加できるから、「部屋の中、こんな感じなんだ」「そこにポスター貼ってるんだ」という発見もあります(笑)。
鶴見 みんなの日常が見えるよね(笑)。
岡田彩夢 壁一面に自分のグッズが飾ってある部屋を見たときに、「あっ、自分って本当にアイドルなんだな」と思いました(笑)。ファンの方からの愛情をより実感するというか。家族の前だとやりにくいのか、車の中からオンライン特典会に参加する人も多いです(笑)。こういう状況になっても応援し続けてくれているのは本当にうれしいし、特典会に参加しやすい状況になったことでファンの方の数も増えたんじゃないかなと思っています。
清水 個人的には供給を絶やしてしまったら忘れられてしまう気がして、1日に何回かはSNSを更新したり写真を上げたり、ファンの方に自分を見てもらう接点を作っていかないと、という危機感もありました。会っていない時間にどれだけ相手のことを考えているか、それが愛じゃないですか。オンライン特典会でポスターを貼ってくれているのを見ると、「会ってない時間も私のことを見て過ごしてるんだな」と安心するんです(笑)。そういう姿が愛しくて仕方ないし、ファンの方にすごく支えられたなと感じています。
すぐなじめるなんて才能ある
根本 みっふぃー(桐乃)は虹コンに入ってから初めてやったんじゃない? 「チェキチャ!」(タレントとの特典会をアプリ上で楽しめる双方向コミュニケーションサービス)とか。
桐乃みゆ 「チェキチャ!」は初めてでした。そしてやっぱり車の中からやる人が多いです(笑)。中にはお仕事の合間に参加してくれる方もいて、お仕事の休憩時間までも私に費やしてくれるのはホントにありがたいことだなと思っています。
──桐乃さんはすっかりグループになじんでいるみたいですね。
桐乃 なじむまでにもっと時間がかかるかなと思ってたんですけど、メンバーみんな優しすぎて。気軽に話せる、ありがたい環境です。
清水 よかったー(笑)。
根本 虹コンにすぐなじめるなんて才能あるよ、ホントに。ちょっと変な子たちが多いから(笑)。
──以前所属していたWILL-O'はバンドサウンドのロックナンバーを歌う、虹コンとはまた別の方向性のグループでしたが、加入前は虹コンに対してどんな印象を持っていました?
桐乃 私が好きなアイドル像という感じでした。すごくかわいい楽曲を歌っていて、その中にはカッコいい曲もあって、衣装も女の子らしくて。WILL-O'ではそれとは真逆なことをやっていたので、ちょっと憧れがあったんですよ。偉大なグループというイメージです。
岡田・隈本・清水・鶴見・根本 へえー!
桐乃 でも、キャピキャピしたイメージがあった中、自分もメンバーに加わってみたらみんな面白くて、変な子たちが多いなと気付きました(笑)。
鶴見 これは褒め言葉ですね(笑)。
清水 みっふぃーちゃんはマジレスが面白いんですよ(笑)。すっごいニコニコしながらマジレスするんです。ふわふわしてるけど、言ってることは全部正論っていう。
桐乃 虹コンに入ったとき、スタッフさんから「桐乃はしっかりしてるほうだよね」と言われたんですけど、それがなんか嫌だったんですよ。しっかりしてるように見えてるかもしれないですが、ホントはまったく何も考えてない人間だから(笑)。そういう素の一面をこれからどんどん見せていきたいです。
清水 YouTubeの企画とかで素がちょいちょいにじみ出てるよね(笑)。バラエティ的な才能にあふれていると思います。
──今までの虹コンに足りてなかったパーツ、新たな武器を持ち込んでくれたりも?
鶴見 ミーユ(大塚)にも共通して言えるんですけど、2人ともめちゃくちゃ女の子らしさがあるんですよ。陽キャではないんですけど、虹コンの中では陽のメンバーで。
岡田 今どきの女の子らしいファッションやかわいいものをちゃんと知っていて、こちらもがんばろうという気持ちになります(笑)。
鶴見 虹コンって基本的に全員、どこか拭えないダサさがあるんですけど(笑)、「今どきのおしゃれな子が来た!」という感じです。メイクやファッションに気を使って女の子たちをリードしていくのもアイドルが人気になるために大事なことだと思うので、2人がその道を開いてくれるんじゃないかって。
桐乃 確かにメイクや美容、ファッションは好きなので、そこはアピールしていきたいなと思います。
岡田 いいねー。
根本 他人事みたいに(笑)。
鶴見 あわよくば感化されたい(笑)。
虹コンにしか歌えないアイドルソング
──ここからは「RAINBOW SUMMER SHOWER」の収録曲について伺おうと思います。まずは毎年発表しているサマーチューンの最新曲となる「世界の中心で虹を叫んだサマー」について聞かせてください。
鶴見 この曲は今までの6年間の夏曲の歌詞が随所に盛り込まれていて、振り付けもそれに合わせたものになっているんです。「この歌詞はあの曲から来てるから、あの振りがいいと思います」みたいに、振付師のYumiko先生と一緒に考えたのが1つのエモポイントですね。それと、今までの夏曲では女の子と男の子の恋模様を描いてきたんですけど、今年は夏曲で初めて「アイドル」という単語が歌詞に入っているんですよ。自分たちのことやメンバーからメンバーへの愛を歌っていて、虹コンにとっての1つの集大成的な作品になっていると思います。
──これまでとは夏曲としての用途が違う感じがありますね。大塚さんと桐乃さんを含む新体制お披露目のタイミングで初披露したのも、グッとくるところがありました。
鶴見 今までもそのときの虹コンの状況に則した歌詞にはなっていたんですけど、ここまで直接的に自分たちのことを歌うのは初めてなので、ライブで披露するたびに力が入りますね。
岡田 サビの「なんたってアイドルなんですっ♪ マイク持っちゃえば笑顔で なんたってアイドルなんですっ♪ ぜんぶ最高にしちゃうのだーっ!」という歌詞を、紆余曲折あった虹コンが、起点に帰って歌うことにすごく意味があると思っていて。デモ音源で初めてその部分を聴いたときは眩しすぎて泣きそうになりました。
清水 虹コンにしか歌えないアイドルソングなんじゃないかと思います。「青春の全ページはすべて虹の空に捧げてる」という歌詞がありますが、一点の曇りもなく、自信を持ってそう言えるグループなんですよ、虹コンって。とても誇らしく感じる、素敵な曲をいただいたなという思いです。
──ほかのメンバーも強くうなずいてますね。
根本 アイドルであることを誇れるって大事だなと、長年やってきて本当に思います。これからもちゃんと歌詞通りに怠らずがんばりたいですね。
清水 自分で歌ってる「あなたに届くなら 普通の人生とか 投げ出してもいい! 心の恋人でいさせて」という歌詞も、ファンの方に向けたラブレターみたいな感じで気に入っています。私はファンの方たちのことが大好きなので、そこを歌わせてもらえてすごく気持ちが入ります。
岡田 あと、みっぴちゃん(桐乃)が歌ってる「ただ命を使うだけの いつか消える日々ならいらないの」という落ちサビは、日々の経験を大切にすることを伝える歌詞だと思うんですけど、それをWILL-O'さんの活動をやり遂げたみっぴちゃんが歌うことに意味があると思います。
桐乃 私もそこの落ちサビが一番好きです。ただアイドルをやっているんじゃなく、虹コンにいることを誇りに思って活動していることをその歌詞で伝えたいと思っています。
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虹コンは泥臭いエモさが似合う