こんなにも数字が上がらないのか
──3月にステージデビューして、ここまでの活動の手応えはどうですか?
鮫島 楽曲やミュージックビデオなどコンテンツに対して手応えはありますけど、知名度という面ではまだまだです。ゼロからイチを生み出すわけですから、厳しい戦いになることは想定していましたけど、「こんなにも数字が上がらないのか」と。これまで僕のやってきた事業規模で言えば、「100万人まであと10万人だ」みたいな大きな数字とにらめっこをしていたのに、今はSNSで100人のフォロワーを作るだけでもすごく苦戦しています。何をきっかけにグループを知ってもらえるのかがわからないので、毎日フライヤー配りをしたり、配信をしたりして、データ収集のためにもあらゆることをやっています。
サクラ 1カ月でフォロワーが10人も増えなかった時期もあって。「私たちはデビューするまでに厳しいレッスンもしたし、いっぱい曲も練習したし、お客さんも増えるはずだ!」と信じて毎週ライブハウスに出ていたんですけど、それでもファンが思うようにつかなくて。
サキ 1回のライブで、私たちのお客さんが3人しかいないこともザラだよね。
鮫島 お披露目は3月19日のショーケースライブで、関係者だけを呼んでライブをしたんですけど、そのときは200人ぐらいの前で歌ったんですよ。でも、次のライブは5人とかで……(笑)。
ハルナ 大勢の前で歌わせていただいたあとだったので、落差がすごかったです。
鮫島 それも含めてストーリーだなと思うし、ゼロから勝ち抜いていく1つひとつの過程と結果、そして反省からのレベルアップが重要なんですよね。グループを知ってもらえさえすればハマっていただく自信はあるので、続けていくだけかなと。とはいえ、会社としてはダラダラとやるわけにはいかないので、目標を決めなくちゃいけない。そこで8月29日に初ワンマンライブを、キャパ700人のWWW Xでやることに決めました。彼女たちからすると、ものすごく高いハードルかもしれないけど、それぐらいのスピード感で成長しないといけないし、大きな目標に向けてがむしゃらにがんばっていたらいつの間にかある程度の人気も実力もついてくると思うんです。そして高いハードルを課したからには、そのためにどんな練習をして、どんなプロモーションをして、何本くらいMVを作って、どのぐらいの予算で、どのくらい利益を上げないといけないのか。それを全部逆算進行しなければいけない。僕らは3年先まで緻密に計画を立てて進めていますが、もちろん思うようにはいかないことも多いです(笑)。なので毎日スタッフみんなで研究して、実践して、軌道修正をしての繰り返しでひたすらがんばってます。
“らしさ”を感じられる高いクオリティの表現を
──数字の壁と直面したという話が出ましたが、5月に公開された「ふぁびゅらす」のMVはわずか1カ月でYouTubeでの再生回数が15万回を超えました。この結果については、どう受け止めていますか?
クルミ 数字を伸ばすことを目標にしていたんですけど、実際に何万回再生って数字を見ると「本当に!?」と信じられない気持ちになりました。
サクラ ライブでお客さんがつかずに悩んでいたときだったので、天の恵みじゃないですけど、「みんなでもっとがんばろう!」と思えるきっかけになりました。しかもコメント欄に今まで見たことのない言語の書き込みがあって。みんなで意味を調べて「海外の方からも応援してもらえてるんだ!」と感動しました。
──最初はどちらかと言うと王道アイドル路線でしたが、海外からの反響が大きいことを受けて現在のガールズクラッシュ路線になったんですか?
鮫島 いや、そういうわけでもないんです。確かにグループを始めたときは「メインストリームのアイドルをやろう」と思い、衣装もそっちに合わせて、自分たちのチームが得意にしているエモいロックをベースに準備していきました。だけど、いろんなアイドルの対バンライブに出たときに、同じ路線のグループが多すぎて埋もれると思ったんですね。僕が想定していた以上に数が多かった。それだけシーンが盛り上がっているということだと思うんですけど、やっぱり我々はオンリーワンのグループを作りたい。なので結成から2カ月経たないくらいで王道路線はやめました。「じゃあ自分たちの持ち味を生かせるものはなんだろう?」と思考した結果、僕らはキャッチーなロックな楽曲を作るのも得意だし、エッジの効いたEDMも作れるので、全部を組み合わせてオリジナルのサウンドで、まずは世界観を作ろうと思ったんです。最新曲「mia mia」も万人受けするサウンドにしようとは考えず、とにかく“24emotionsサウンド”という、グループの名刺になるような音楽を作ることに重きを置きました。コレオグラファーのDemiiさんには「特徴的な振りを入れてほしい」とオーダーして、ダンスの難易度が高いのでレッスンの時間も一気に増やしました。メンバーには「この準備期間はつらいけど、勝つためには圧倒的な実力を蓄えておく必要がある」と伝えています。知ってもらう機会があっても、コンテンツが微妙だったら長いスパンでお客さんがついてきてくれないので、“らしさ”を感じられる高いクオリティの表現を打ち出す必要がある。あとドキュメント映像などもたくさん撮り溜めているので、メンバーのパーソナリティをもっと知っていただけるようなコンテンツも続々と準備しています。
最年少から見た各メンバーの魅力
──メンバーのパーソナリティという話が出たので、ここで最年少のユラさんから見た、各メンバーの魅力を教えてください。
ユラ 最初からつきっきりでダンスから何から教えてくれてたのがクル姉(クルミの愛称)なんです。ユラにとっては、キラキラしたお姉さんみたいな存在。今でも「ユラちゃん、これはこうだよ」と言っていろんなことを直してくれるから、めちゃくちゃ頼れるお姉さんです。
──センターのハルナさんは?
ユラ 最初は怖い印象が強くて、話しかけられずにいたんです。ほかのメンバーに「ハルナちゃんと挨拶しか交わしたことがないんだけど、どうすればいい?」と相談したら、みんなが2人で話す機会を作ってくれて。そのおかげで仲よくなりました。ちょっと意地悪なことも言ってくるので、たまに嫌いになっちゃいますけど(笑)。
ハルナ アハハハ、これ文章になっちゃうけど大丈夫?
ユラ ふふ、本当は大好きです。
──サクラさんはどうですか?
ユラ 初めて会ったときからキラキラしていて。アイドルになるために生まれてきたような子で、すごく明るくて愛嬌もあるし、歌も本当に素晴らしいし、ダンスもかわいい! サクラちゃんは、誰よりも自分の世界を持っていて、憧れの存在ですね。
サクラ ふふ、ありがとう。
──では、サキさんについては?
ユラ サキちゃんは初めて会ったときから、その場をまとめてくれる存在で。ユラのこともそうだし、周りのことも見れる人ですね。でも今は、ちょっとおっちょこちょいな面が出てきたんです。この前、事務所に集合したとき、待ち合わせ時間の5分前くらいに「目の前で荷物をぶちまけました!」という遅刻の連絡が来て(笑)。最近はそういう新しい面が見えてきて、かわいいなと思っています。
ハルナ ちょっと整理していい? クルミは頼れるお姉さん、サクラはキラキラしていて、サキはまとめ上手、私は……ちょっと嫌いで大丈夫?
一同 アハハハ!
ユラ みんな大好きです!
ハルナ そんな中、ユラは圧倒的に妹タイプだよね。
ユラ かわいいかわいい妹キャラです!
WWW Xは通過点
──最後に、8月29日のWWW Xワンマンに向けての意気込みを聞かせてください。
サキ 今までの活動を通して、想像通りにはうまくいかなかったり、いろんな葛藤もあったりしたけど、自分たちの音楽を届けたいという気持ちはどんどん強くなっていて。8月29日のワンマンはこれまでの努力と決意が詰まったライブになるので、たくさんの人に観てほしいです。
ハルナ WWW Xの会場は700人規模ですけど、私たちのファンと言えるような方の数はまだ1桁くらいで。正直言って「無謀なチャレンジ」とも言われています。でも「うちらは絶対に達成するんだ」という気持ちを、メンバーもそうだし、チーム全体としても持ってる。初めてのワンマンでは観に来てくださったお客さんに、絶対後悔をさせないようなライブを届けます。何がなんでもチケット700枚をソールドアウトさせます!
クルミ 「ファンが1桁だったのに700人埋めたんだ」「24emotionsってこんなすごいグループだったんだ」と思わせられるようなライブを作って、絶対に成功させたい。つらく苦しい思いをしてでも届けたいものがあるということが、この記事を通して伝わったらうれしいです。
鮫島 WWW Xは集客ハードルも高く、現段階で彼女たちにとっては最重要、最難関なライブですけど、そこがゴールではなく、彼女たちが目指す場所へ向かう、1つの通過点であるべきだし、仕事をするうえで常々思っているのが、例えばパンチって相手に触れたところで拳を止めちゃったら意味がなくて、その後ろを打ち抜く勢いで打たないと効かないということ。来年1月26日にはKT Zepp Yokohamaでワンマンを開催するのですが、そこめがけてパンチを打つから、通過点であるWWW Xの壁を壊すことができる。そうやって、目の前の壁じゃなくて、もっと先にある壁を打ち抜くつもりで続けていく。にーよんのキャッチコピーは「時代を揺るがす、5つの感情」。それを成すためには強大な人気を得ていかなくちゃいけないし、僕らの作る楽曲もメンバーのパフォーマンスも、とことん突き詰めて唯一無二のグループにならなきゃいけない。チームのみんなには「うちは小さいチームだから、銃弾のように硬くトップスピードで回転しながら当たっていけば大きな壁も打ち抜ける」と伝えています。今は難攻不落のRPGゲームに挑戦してる気分で、毎日大変ですが楽しんでやっています。ぜひ、この記事を読んでいただいた方たちに最初期のファンになっていただき、ライブに足を運んでいただけたら幸いです。
ライブ情報
24emotions 圧倒的逆境を乗り越えろ! ~初ワンマンライブで奇跡おこせミラコー~
- 2023年8月29日(火)東京都 WWW X
※24emotionsのX(Twitter)公式アカウントでは、抽選で24名にWWW X公演のペアチケットが当たる「#にーよんキャンペーン」を実施中。
24emotions KT Zepp Yokohama ワンマンライブ
- 2024年1月26日(金)神奈川県 KT Zepp Yokohama
AXY ENTERTAINMENTでは随時、アイドル、ダンスボーカルグループ、アーティストを目指すスターの原石を募集中。オーディションの問い合わせはAXY ENTERTAINMENTのオフィシャルサイトまで。
プロフィール
24emotions(トゥエンティーフォーエモーションズ)
GACKTからAKB48までさまざまなアーティストの楽曲を手がけてきたプロデューサー鮫島巧主宰のAXY ENTERTAINMENTに所属する5人組ガールズアイドルグループ。2023年3月にステージデビューし、6月に1stアルバム「Time 2 Shine 4 Us」を配信リリースした。8月29日に東京・WWW Xで初のワンマンライブを開催し、さらに2024年1月26日には神奈川・KT Zepp Yokohamaでもワンマンライブを行う予定。
24emotions Official X (@axy_24_official) | Twitter
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