10-FEETはいつも通りのまま一歩先へ、今のモード詰め込んだ「helm'N bass」を語る (2/2)

「THE FIRST SLAM DUNK」というロケットですごい場所にたどり着いた

──そして、シングルの2曲目に収録されている「gg燦然」は複雑なテンポチェンジを含む意欲作です。この曲に関しては当初、どんなイメージを持って制作に臨みましたか?

TAKUMA とにかく音楽的にカッコいいこと。カッコいいロック、ミクスチャーみたいな曲を作りたい時期だったので、その思いを素直に曲作りに反映させようと思いました。

──そこに「2024 ABCプロ野球」のテーマソングというタイアップが付くわけですが、熱狂的な阪神ファンでABCラジオ「ABC フレッシュアップベースボール」のヘビーリスナーであるTAKUMAさんだからこそのこだわりもあったのでしょうか?

TAKUMA そうですね。番組もタイガースも好きすぎるし、意識せんようにしても絶対に引っ張られると思っていたので、とにかくタイアップ関係なくカッコいい曲を作ることに集中するように心がけました。転調がけっこうある曲で、試合のハイライトや番組中のCM、番宣での使い勝手もいいやろうなと。最初から狙っていたわけではないけど、そういうふうにも思えましたね。

TAKUMA(Vo, G)

TAKUMA(Vo, G)

──アップテンポなデジタルロックから、サビで少しテンポダウンして壮大さを表現するという、1曲の中に複数の要素が混在しているわけですが、それを自然に聴かせるための秘訣はあるんですか?

TAKUMA 秘訣は一切ないんで、毎回自然にするのが大変です(笑)。

KOUICHI レコーディングはパートごとに録ったのでそこまで大変ではなかったんですけど、一番大変なのはライブですね。演奏中は前のパートのテンポに引っ張られがちなので、そこは気を付けてやらなあかんなと思ってます。

NAOKI 「gg燦然」は、Aメロはしっかり刻んでリズム重視で、サビはちょっと泣けるイメージで。(取材時点で)ライブではすでに2回ぐらいやっているんですけど、僕は意外とテンポチェンジのところもしっくりきて、いい感じで演奏できています。なので、ライブを重ねることでさらによくなるんじゃないかな。

──どの曲もバラエティに富んでいて、かつ10-FEETらしさと新しさが感じられる、本当に今の10-FEETがしっかり投影されたシングルですね。「第ゼロ感」をきっかけに、10-FEETの楽曲が今まで届いていなかったところにまで広まり始めた印象がありますが、そのあとに発表されるこのシングルが「第ゼロ感」以降ファンになった人たちにどう届いていくのかも、すごく楽しみです。そのあたりは意識していますか?

TAKUMA いや、あんまり意識してなかったかな。まったく意識してなかったことはないけど……僕らもこの年齢になるまで、デビュー以降いろんなチャンスがあったと思うんですけど、「THE FIRST SLAM DUNK」というロケットに乗せてもらえたことで、すごい場所にまでたどり着いた。外から見たら「第ゼロ感」以前 / 以降みたいな捉え方もあるのかもしれないけど、かといって僕らにできることは以前から何も変わらないと思っていて。とはいえ、少しずつ進化したり新しくなったり変わったりとか、そういうことはし続けていけるとは思うんで、いつも通りのまま、10-FEETをさらに一歩先へ進めていく。そういう意識ですかね、うん。

NAOKI 確かに、「THE FIRST SLAM DUNK」をきっかけにより多くの人に10-FEETというバンドを知ってもらえた実感はあって。でも、ライブにおいてはいつも通りと言いますか、今まで僕らがやってきたことをステージでやるだけ。ライブバンドという意識が強いから、感覚がブレることなく続けられているのかなと思います。

KOUICHI だからこそ、「第ゼロ感」から10-FEETを知った人に対しては「もっといっぱいいい曲あるんやで?」というのを提示できるライブをたくさんやらなあかんなと思ってます。

KOUICHI(Dr, Cho)

KOUICHI(Dr, Cho)

ネガティブな感情をポジティブの燃料にできる「京都大作戦」

──そのライブに関してですが、4月に京都市勧業館 みやこめっせ 第3展示場、5月に横浜アリーナでワンマンライブ「10-FEET ONE-MAN LIVE 2024 ~急なワンマンごめんな祭~」が開催されました。大きな会場で単独公演をやるのも、今までになかった新しい試みでしたよね。

TAKUMA アリーナライブに関しては、ある日うちのマネージャーが「この日とこの日、ここの会場が空いてますよ」と教えてくれたことがきっかけで。そういうデカい会場って1、2年前から押さえていないと、やりたい日にできないというのはもちろん知っていましたし、理由とか意味合いのある日付ではなかったけど、喜んでくれる人がいるのであれば「1回チャレンジしてみようかな?」という感じでやってみました。

──そういうチャンスがあるのであれば、トライしてみようと。そこに対しては常にオープンなわけですね。そして今回のシングル発売後の週末には、今年も「京都大作戦」が控えています。シングルの初回限定盤DVDには「京都大作戦2023~今年は可能な限り全フェスに参加してくだ祭!~」の映像が収録されていますが、ひさしぶりに声出しOKの状況下で実施された昨年は皆さんの中でどんな2日間でしたか?

KOUICHI かつて目の当たりにしていた光景が戻ってきた印象が強くて、「そうそう、こんな感じやったな。これこれ!」と思いながらやってましたね。みんなも楽しそうやし。

NAOKI サブタイトルに「今年は可能な限り全フェスに参加してくだ祭!」と銘打ってやったんですけど、「これぞフェス!」という感覚が帰ってきた1年でもあったのかな。コロナ禍の数年はいろいろ対策をしっかり用意したんですけど、昨年はようやくコロナ以前と近い状況で開催できたので、出演者側もお客さんも素直にうれしい気持ちを噛み締めていたと思いますし、僕たちが本当にやりたかったことがやっとできたという感覚は、特に昨年は強かったです。

NAOKI(B, Vo)

NAOKI(B, Vo)

TAKUMA 源氏ノ舞台と、もう1つのステージの牛若ノ舞台で音楽をやったり、鞍馬ノ間では仲間たちがバスケットボールの試合をしていたりして、僕は1日中走り回っているんですよね。運動会みたいな運動量で、走り回っていると頭の中がまっさらな状態になって本当に大事なことしか考えられない。好きな人やものだけを集めた場所で走り回って騒ぎまくっていられることで、いい2日間やなと思います。日常ではじっくり考える時間も多々あるから、それがしんどいと思う日もあるんです。もちろんそういう時間があるからこそポジティブにこれからのことを考えたり、あるいは過去を振り返って勉強したりして、自分のアティテュードを鍛えられる。それはそれでいいんですけど、僕は性格的に「京都大作戦」のような日のほうがポジティブでいられるんです。仲間たちに会って、まっさらな状態になって楽しんでいると、普段のネガティブな感情もポジティブの燃料にできるような気がして、いい日やなと思ってます。

──そういう思いで、今年も2日間臨もうと。

TAKUMA そうですね。天気がある程度悪くても、暑かったとしても楽しめると思います。ただトゥーマッチじゃないことは願います。

──KOUICHIさん、NAOKIさんが今年の「京都大作戦」に期待していることは?

KOUICHI 先に言っておきますけど……カラオケブースがあるので、そこで歌います!

NAOKI 今年初めて源氏ノ舞台に出てもらうアーティストがいたり、「京都大作戦」自体に初めて出演してもらうアーティストがいたり。みんな僕らが大好きな、ライブがすごくカッコいいアーティストなので、お客さんがそれぞれのアーティストを好きになるきっかけがたくさん増えたらいいなと思ってます。

10-FEET

10-FEET

ライブ情報

京都大作戦2024

京都大作戦2024

1日目

2024年7月6日(土)京都府 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
OPEN 9:30 / START 11:00

<出演者>

源氏ノ舞台
Ken Yokoyama / Saucy Dog / サンボマスター / 湘南乃風 / dustbox / 10-FEET / FOMARE / HEY-SMITH

牛若ノ舞台
炙りなタウン / GUMX / サバシスター / SIX LOUNGE / SHANK / Maki / RED SPIDER

鞍馬ノ間
EGOLA / 大阪籠球会 / TEAM ISHIKAWA / TEAM-S / TEAM NICK / TEAM HAPPY LUCKY FROM SOMECITY OSAKA / TEAM FUKUOKA / ちきゅう
京都ハンナリーズ(エキシビションマッチ)


2日目

2024年7月7日(日)京都府 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
OPEN 9:30 / START 11:00

<出演者>

源氏ノ舞台
ENTH / SUPER BEAVER / 10-FEET / 東京スカパラダイスオーケストラ / Dragon Ash / マキシマム ザ ホルモン / RIZE / ROTTENGRAFFTY

牛若ノ舞台
アルステイク / Age Factory / THE SKIPPERS / Fire EX. / プッシュプルポット / Paledusk / MAYSON's PARTY

鞍馬ノ間
EGOLA / 大阪籠球会 / TEAM ISHIKAWA / TEAM-S / TEAM NICK / TEAM HAPPY LUCKY FROM SOMECITY OSAKA / TEAM FUKUOKA / ちきゅう
京都ハンナリーズ(エキシビションマッチ)

プロフィール

10-FEET(テンフィート)

TAKUMA(Vo, G)、NAOKI(B, Vo)、KOUICHI(Dr, Cho)によるスリーピースバンド。メロディックパンク、ヘヴィメタル、レゲエ、ヒップホップ、ギターポップ、ボサノバなどのさまざまなジャンルを取り入れたサウンドで人気を集める。結成以来精力的にライブ活動を続け、その迫力満点のライブパフォーマンスや人間味あふれる深いメッセージが込められた楽曲、笑顔を誘い出すキャラクターでも音楽ファンを魅了。2007年からはバンド主催の野外フェス「京都大作戦」を開催し、地元・京都から音楽シーンを盛り上げている。2022年12月公開の映画「THE FIRST SLAM DUNK」に提供したエンディング主題歌「第ゼロ感」でも話題を呼んだ。2024年7月3日にはニューシングル「helm'N bass」をCDリリース。7月6、7日には京都・京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージで主催野外フェス「京都大作戦2024」を開催する。