「バンドやりたい!」と思える曲に
──GENさん以外のメンバーは歌詞を最後まで知らないというのが04 Limited Sazabysのいつもの制作スタイルですが、今回も?
KOUHEI はい。今回もどんな歌詞が乗っても大丈夫なオケを作りました。
──では今回の歌詞を読んだとき、どのような感想を持ちましたか?
KOUHEI 前作同様、今回も自分とリンクしました。知り合いの歯医者に行ったら、僕らのファンだと言う中学生の子に話しかけられて。ドラムをやってるって言ってすごくキラキラした目でドラムの話をしてくれたんですよ。ドラムを叩いてる動画も観せてくれて。そのときに「気付いたら自分が誰かに影響を与える人間になってるんだな」と感じたんです。Twitterとかでも「フォーリミ叩いてみました」みたいな動画をよく見かけるようになって。その子たちにとってヒーローかはわからないですけど、少なからず影響を与えてるんだなと。
──そうですね。
KOUHEI 今回の歌詞の中でも特に、「未来で合図を待ってて」というところが印象的で。昔の自分にも、ヒーローだった人もいれば、今も変わらずヒーローであり続けてる人もいるんですけど、僕はその後者になりたいなと。ずっと誰かのヒーローであり続けるために、技術も人間性も含めて、ずっと背中を見せ続けられる存在にならないとなと思いました。
──RYU-TAさんはどうですか?
RYU-TA いろんなバンドマンとか、バンドをやりたいと思ってる人に聴いてほしいなと思いました。さっきGENも言ってましたけど、この曲にはバンド感もあるので、この曲を聴いたら「バンドやりたい!」と思うかもなって。最近この曲をスタジオで練習してるんですけど、演奏しててもすごくワクワクします。
HIROKAZ 僕は、前向きでいて、それでも「まだ道は続くぞ」ということを示した最後の部分がいいなと。終わりきらないと言うか。「そういう見せ方もできるようになってきたのかー」って思いました。
──「先に進むだけ さらに進むだけ」のところですね。
GEN それを入れないと、得意の“言い逃げ感”がないなと思ったんですよね。
──言い逃げ感?
GEN 気持ちよく終わっちゃうなと。僕は最後にキュンとさせたいんですよ。「swim」の「さぁ、おいで」とか「Terminal」の「最後は君といたいから」とか。最後のフレーズでキュンとさせるというのが僕の得意技だと思ってるので(笑)。
言い足りないことを詰め込んだポエトリーリーディング
──今、少し話が出ましたが、曲の後半にはポエトリーリーディングのパートがありますね。今までにない手法で新鮮でした。
GEN 今回の曲、全体的にシンプルな言葉でわかりやすく歌えていて気に入ってるんですけど、自分の出したかった“ドラクエ感”とか“ワクワク感”をもっと入れたいなって思ってたんです。だから、言い足りなかったことを無理やり突っ込んだのがそのポエトリーのパートです。
──無理やり突っ込むにはこれだ!と。
GEN そうです(笑)。実は最初、この部分はシンガロングパートだったんですよ。歌があって簡単なメロディがあって。でもそれをやめてこれに。
──それはなぜですか?
GEN ちょっと青が過ぎるかなと。全体的にはすごく直球なので、どこかで多少裏切りたいなと思いました。ポエトリーにしたバージョンはメンバーも知らなかったので、ミックスの段階でみんな初めて聴いて「うーん……」ってなってて、僕的には「よし!」みたいな(笑)。
──メンバーをも裏切ったみたいな?
HIROKAZ 実際戸惑いましたね(笑)。
RYU-TA 俺は「ウォーウォー」がよかったんですよ、歌いたいし(笑)。
KOUHEI ポエトリーの発想自体が僕らにはなかったので最初は「どうかな?」と思ったんですけど、歌詞を書いてるGENから「ここはこういう歌詞で」という説明をされて、じゃあポエトリーにしようと。で、シンガロングは入れないことに決めました。
GEN RYU-TAは少し寂しそうでしたけどね。「歌いたかった」って(笑)。
“無”の瞬間を切り取った「夕凪」
──もう1曲の表題曲は初の漢字タイトルの「夕凪」。和風なメロディと艶っぽい歌詞が印象的です。
GEN KOUHEIからこの曲のオケをもらったときに、サビの音符の数が面白いなと思って。わらべ歌っぽさがあり、どこか不気味なんだけど耳当たりがいい感じに惹かれて、そこから歌詞のイメージを膨らませていきました。
──曲調からどのように歌詞を膨らませていったんですか?
GEN 仮メロの段階で頭の中に「夕凪」って言葉が浮かんで。夕凪って、陸と海の温度の関係で無風になる状態のことなんですよね。その無風とか無音っぽいイメージを膨らませて書いていきました。例えば不意に悲しい連絡……古い友人の死の知らせがきたときとかって、受け止めるまで何秒か時間がかかるじゃないですか。聞いてハッとなって、「マジかー」ってなるまでの数秒間。そのことを歌ってます。心が痛み出す前の、何が起きてるかよくわかんないっていう。別れを切り出されたときとかもそうですけど、一瞬、自分がここにいない感じがする、その瞬間を言葉にしてます。
──「My HERO」がわかりやすいシンプルな歌詞なのに比べて、「夕凪」は抽象的で。その対比も楽しめますね。
GEN 「My HERO」がシンプルでわかりやすいので、「夕凪」は解釈の余白を残すような曲にしたいなと。内容は抽象的なんですけど、難しい言葉は使わないように意識しました。
次のページ »
4形態でのリリース
- 04 Limited Sazabys「My HERO / 夕凪」
- 2018年3月14日発売 / 日本コロムビア
-
12cmCD
1000円 / COCA-17431 -
8cmCD
(完全生産限定)
1000円 / CODA-4001カセットテープ
(完全生産限定)
1000円 / COSA-2359アナログレコード
(完全生産限定)
1000円 / COKA-63
- 収録曲
-
- My HERO
- 夕凪
公演情報
- YON FES 2018
-
- 2018年4月7日(土)愛知県 愛・地球博記念公園(モリコロパーク)
<出演者>
04 Limited Sazabys / Dizzy Sunfist / go!go!vanillas / THE ORAL CIGARETTES / ORANGE RANGE / SHANK / SIX LOUNGE / teto / yonige / キュウソネコカミ / 四星球 - 2018年4月8日(日)愛知県 愛・地球博記念公園(モリコロパーク)
<出演者>
04 Limited Sazabys / BiSH / COUNTRY YARD / Crossfaith / DATS / ENTH / HEY-SMITH / My Hair is Bad / フレデリック / フレンズ / マキシマム ザ ホルモン
- 2018年4月7日(土)愛知県 愛・地球博記念公園(モリコロパーク)
- 04 Limited Sazabys 10th Anniversary Live
-
- 2018年4月29日(日・祝)神奈川県 横浜アリーナ
- 2018年5月5日(土・祝)愛知県 日本ガイシホール
- 2018年5月11日(金)大阪府 大阪城ホール
- 04 Limited Sazabys(フォーリミテッドサザビーズ)
- 2008年に愛知県名古屋市にて結成された、GEN(B, Vo)、HIROKAZ(G)、RYU-TA(G, Cho)、KOUHEI(Dr, Cho)によるロックバンド。2013年5月に発表した2ndミニアルバム「sonor」より日本語詞を多く取り入れ、楽曲の幅を広げる。メロディックパンクやギターロック、ラウドロックなど、さまざまなジャンルのバンドと競演を重ね、2014年2月に3rdミニアルバム「monolith」、同年9月に1stシングル「YON」をリリース。2015年4月に1stフルアルバム「CAVU」を日本コロムビアから発売し、メジャーデビューを果たした。同年10月にメジャー1stシングル「TOY」を、2016年3月に1st DVD「MOMENT」を発売。4月には初の主催フェス「YON FES 2016」を大成功に収めた。ニューシングル「AIM」を6月に発表し、9月に2ndフルアルバム「eureka」をリリース。2017年2月に初の東京・日本武道館公演を成功に収め、8月にシングル「Squall」を発表した。2018年3月にドラマ「ドラマ24 第50弾特別企画『オー・マイ・ジャンプ!~少年ジャンプが地球を救う~』」のオープニングテーマ「My HERO」を収録したシングル「My HERO / 夕凪」をリリース。4月から5月にかけて、バンドの結成10周年を記念したライブ「04 Limited Sazabys 10th Anniversary Live」を神奈川・横浜アリーナ、愛知・日本ガイシホール、大阪・大阪城ホールにて行う。