「週刊少年ジャンプ」＝「青春」「ヒーロー」「少年性」

──ここからはそんな10周年イヤーの最初にリリースされるシングル「My HERO / 夕凪」についてお話を聞かせてください。「My HERO」はテレビ東京系ドラマ「ドラマ24 第50弾特別企画『オー・マイ・ジャンプ！～少年ジャンプが地球を救う～』」のオープニングテーマです。初のドラマ主題歌ですね。

GEN　はい。歌詞はドラマの話をもらってから書きましたけど、曲はもともと作ってあった曲がハマったので、それを詰めていきました。

──この曲には全体的にマンガの「ONE PIECE」っぽさがありますよね。

GEN　そうです、そうです。

KOUHEI　特に終わり方に、青空の抜ける感じ、航海してる感じを残しました。

──“「ONE PIECE」っぽく”というのはメンバー間で統一してたんですか？

GEN　偶然です。でも「青さはいるよね」って話はしましたね。僕らが持ってる、いい意味での青さ。今回「青春」「ヒーロー」「少年性」がテーマだったので。

──そのテーマはドラマの製作陣からオーダーされたんですか？

GEN　いや、僕が「ジャンプ」からイメージしたテーマです。僕らだったら「ONE PIECE」とか「NARUTO-ナルト-」がドンピシャの青春で、ちょっと歳上の人たちだったら「スラムダンク」とか「ドラゴンボール」で、もっと上の人たちだったら「キン肉マン」っていうように、全世代の特に男の子はみんな青春時代に「ジャンプ」を通ってるなと思ったので。あと「ジャンプ」に出てくるヒーローって、あきらめないし、必要なときには仲間が増えて、自分たちの状況にあわせて乗り物が変わったりもするじゃないですか。僕は「ジャンプ」にそういうイメージを持っているので、そのイメージを曲にしたいなと。

GEN少年がヒーローになるまで

──ではそのテーマから歌詞はどのように作っていったんでしょうか？

GEN　「自分が憧れたヒーローってなんだろう？」「ヒーローに憧れていた自分ってどんなふうだっただろう？」と小さい頃の感覚を思い出していって。この曲、今の自分から昔の自分へ向けて歌ってるんですよ。ヒーローに憧れて突っ走ってた自分に対して、今の自分、言ってしまえばヒーローになりつつある自分からのアドバイスと言うか。

──じゃあ、制作時は図らずも04 Limited Sazabysを結成してからの10年を振り返ることにもなったのでは？

GEN　それも意識しましたね。「どんな気持ちでバンドを始めたかな？ 十代の頃はどういう気持ちだったかな？」を考えて。当時の自分がHi-STANDARDとかdustbox、locofrankを聴いて一発で好きになったときのあのトキメキ感、ワクワク感を、この曲で出したいなと思いました。あと僕らはバンドをやっていて、今もずっと「ジャンプ」みたいな青春の真っただ中にいると思っているので、そのバンドっぽさも表現できたらなと。

──「AIM」の初回限定盤に収録されている「YON FES 2016」のドキュメンタリーDVDで、GENさんは「みんながバンド始めたくてしょうがなくなるようなヒーローになりたい」と言っていましたよね。2年経ったら「自分たちがヒーローになりつつある」と言えるようになっているのはものすごく大きい変化だと思いました。その感覚はいつから芽生えたんですか？

GEN　最近ですね。「YON FES」を成功させて武道館（参照：フォーリミ、名古屋のライブハウスからたどり着いた“最高の晴れ舞台”武道館で熱演）が決まったくらいですかね。

──ちなみにその、なりつつある「ヒーロー」と言うのはリスナーから見たヒーローという意味ですか？ それとも昔の自分から見たヒーロー？

GEN　みんなから見たヒーローにもなれていると思うんですけど、今だったら昔の自分から見ても納得せざるを得ないヒーローにもなれてると思っています。

苦しかった時期はすべて裏技に

──ヒーローになるまでの道のりを歌ってるわけですが、それで終わるんじゃなくて最後には「先に進む」という気持ちも入っていて。

GEN　昔は不安とか悲しさに浸る曲か、逆に前向きな曲のどっちかしか書けなかったんですけど、最近、1曲の中で不安も前向きな気持ちも入れられるようになったなって思ってて。「不安だけど先に進む」という内容を。

──それはどうしてだと思いますか？

GEN　僕らが実際に苦しんで、それを乗り越えた先に楽しいこととかいい景色があったからかな。「みんなも前に進んだら絶対にいいことがあるよ」とは言えないけど、「俺らは不安を戦って超えてきた結果、いろんなものをつかんだけど、お前はどうなん？」とは言える。

──苦しかった時期を乗り越えたことで自信が付いたんでしょうね。

GEN　僕の中で、つらかった時期とか苦労した時間、精神的にうまくいかなったときが全部“裏技”になってるんですよね。ああ、そうだ、この曲の歌詞は「ONE PIECE」もそうなんですけど、ドラクエ（テレビゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズ）も意識してて。うまくいかなかった時間も全部通るべき部屋だったんだなと思えてると言うか。「病んでた頃の部屋」とか（笑）。

──その部屋に立ち寄ったから手に入れられたアイテムがいっぱいあって。

GEN　そう。「あのとき、あそこのばあさんにあの道聞いてなかったらゆくゆくはその洞窟通れてないからな」みたいな（笑）。