音楽ナタリー Power Push - 04 Limited Sazabys
覚悟と決意を込めた2ndアルバム
誰が一番気持ち悪くなれるか?
──8曲目の「mahoroba」は和テイストの、少しエロチックな曲です。この曲だけ歌詞が敬語ですよね。
GEN あー、本当だ! 無意識でした。
──無意識だったんですね。
GEN この曲はセクシーな女性と“そういうこと”になってるってイメージなんですけど、今、敬語って言われて腑に落ちました。無意識に年上の異性をイメージしてたんです。
──なるほど。あと後半の間奏……。
GEN ああ、キモいところですね(笑)。
──あの部分では、何が行われているんですか?
KOUHEI 歌詞の内容は知らなかったんですけど、メロディ的に怪しげな感じだったので、普通の間奏にしたくなくて。ギターリフから昭和っぽさを感じて、頭の中に昭和のお化け屋敷が思い浮かんだので、それっぽくしてみました。GENのベースにはテンポを取ってもらって、俺とHIROKAZとRYU-TAで「誰が一番気持ち悪くなれるか?」を競いました(笑)。
HIROKAZ ミックスのあとにさらにギターを足して。だいぶカオスな音になりました。
KOUHEI 最後は「わー! キモイキモイ!」とか言いながら遊んでたっすね。
GEN こういうことをこのバンドでできるとは思わなかったですね。僕は普段、サイケとか音響系のキモい音楽も聴いてて、よさは知ってるんですけど、このバンドではやろうとも思ったことがなかったので。面白かったです。
──これもやはり、全員のスキルアップがあったからできたことかもしれないですね。
GEN はい、そうだと思います。だから自分の想像を超えました。
半音下げ、やっぱりカッコいいなあ
──10曲目の「Telepathy」の前奏も面白いですよね。
KOUHEI 「ピピピピピ」!
RYU-TA カウベル入れたやつだ。
GEN カッコいい曲が増えてきたぶん、僕らのかわいい部分、おバカな部分を見せる曲を作りたいなって思って。
KOUHEI 「どうやったらアホっぽい音になるか?」ばっかり考えてましたね。1番はタンバリンで、2番はマラカスにしてみたり。
──今作はそういう遊び心がさまざまなところに散りばめられています。9曲目「discord」はRYU-TAさんのシャウトが炸裂するハードコアチューンで。
GEN これはもともともっとメロコアっぽい曲だったんですけど、間奏をもう少し重たくしてみようって話をして今の形になりました。
KOUHEI どうしようって考えていく中で、半音下げにしてみた瞬間に楽しくなっちゃって。
RYU-TA 「半音下げにするだけでこんな重くなるんだ!」って。
HIROKAZ 半音下げにたどり着くまで長かったよね。
GEN そう、原型のメロコアっぽい曲もわりとよかったから。「これをなくすのはもったいない」って思ってたんですけど、最終的にはもう全部なくして、ただ重い。
──特にRYU-TAさんはハードコアが好きですし、フォーリミでこれまでハードコアチューンがなかったのが意外です。
KOUHEI ライブで半音下げるってなると、どうしても竿を変えなきゃいけないじゃないですか。そうすると流れが変わっちゃうので避けてたんですよね。
GEN レギュラーチューニングでやってるプライドみたいなものもなんとなくあったんですよね。04 Limited Sazabysってバンド名がちょっとラウドバンドっぽいじゃないですか。だからか昔はラウドバンドのイベントに呼ばれることも多くて。みんながゴリゴリの半音下げで勝負してる中で、レギュラーチューニングでキラキラしてる感じが僕らのスタイルだと思ってたんです。でも半音下げ、やっぱりカッコいいなあって思いました(笑)。
HIROKAZ 初めてだし、テンション上がっちゃうんですね。
──ボーカルを取っているRYU-TAさんは、どういうイメージで?
RYU-TA もともとこういう音楽が好きなので、どういうイメージで歌おうかって考えたときに、FC FIVEが浮かんで。あとはA.O.Wですね。
GEN 日本のハードコアの感じだよね。
RYU-TA うん。その人たちの影響で僕はハードコアを知れたので、リスペクトを込めて歌いました。
──これまでもRYU-TAさんがデスボイスで歌う曲はありましたが、この曲はまた違う感じがしますね。
KOUHEI シャウトというより“歌”な感じするよね。
GEN 僕の中では、RYU-TAがちゃんとメロを歌うと悪魔感があるんですよ。
KOUHEI 聖飢魔II的な?
GEN そうそうそうそう!
──ライブでも盛り上がりそうですね。
GEN 俺らは気持ちいいと思うんすよ。
KOUHEI お客さんがどこまでついてこれるかがちょっと心配ですね。
メンバーをも泣かしにかかったバラード「eureka」
──そしてアルバムの最後を飾るのはバラード「eureka」です。この曲はバラードを作ろうと思って作っていったんですか?
GEN そうですね。バラードっていうよりは、ミドルテンポな曲が欲しいなってずっとメンバーで話してたんです。日本武道館でのライブも決まっていたので、武道館で映えるようないい曲を作りたいってずっと思ってたんですけど全然できなくて。レコーディング前日のスタジオの最後の30分ぐらいでできました。
──切なさのにじむメロディですね。
GEN はい、泣かそうと思って歌ってました(笑)。
──歌詞には「新しい土地 新しい街 新しい暮らしの中へ」とありますが、この曲で書かれているのは上京するご自身の気持ちですか?
GEN はい。もろに上京のことを歌っています。中でもBメロはメンバーも泣かしにかかってますね。みんな、これ聴いて泣くんじゃないかと(笑)。
RYU-TA 泣いて……ないっすよ(笑)。でもやっぱり今の状況にぴったりで、グッとくるものはあります。
GEN 自分の状況を描いたので、僕も気持ちが乗りました。
──そしてこの曲が表題曲に。
GEN はい、しちゃいました。曲のタイトルっていつも最後に決めるんですけど、この曲にはアルバムのタイトルとして決まっていた「eureka」を付けようと思いました。
──アルバムのタイトルが先に決まってて、この曲にそのタイトルを付けたんですか?
GEN はい、「monolith」(2014年2月発売のミニアルバム)のときもそうでした。「monolith」っていうアルバムのタイトルだけずっと決めてて。そっか、「表題曲」って自信ある曲にしか付けないんだと思いますね。「こいつは作品を背負ってもいい曲だな」みたいな曲にしか。
──「eureka」というタイトルはどう決めたんですか?
GEN どうやって決めたんだったかな? なんとなくです。「eureka」っていう言葉が先に出てきて。でも「ユリイカ」の意味をちゃんと把握してなくて、漠然と神々しいっていうイメージだけがあったんですよね。なんとなく「新しい土地」みたいなイメージがあったので決めて。あとからちゃんと意味を調べたら「見つけた」「発見」みたいな意味があって、結果的にぴったりでした。
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- ニューアルバム「eureka」 / 2016年9月14日発売 / 日本コロムビア
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3456円 / COZP-1228~9
- 通常盤 [CD] 2700円 / COCP-39661
CD収録曲
- Horizon
- Feel
- drops
- Warp
- paradise
- climb
- Night on
- mahoroba
- discord
- Telepathy
- Letter
- eureka
初回限定盤付属DVD 収録内容
- AIM tour 2016 final @TOYOSU PIT
- AIM tour Diary
- NEWS 04
- AIMツアー 慰安旅行?
04 Limited Sazabys(フォーリミテッドサザビーズ)
2008年に愛知県名古屋市にて結成された、GEN(B, Vo)、HIROKAZ(G)、RYU-TA(G, Cho)、KOUHEI(Dr, Cho)によるロックバンド。2013年5月に発表した2ndミニアルバム「sonor」より日本語詞を多く取り入れ、楽曲の幅を広げる。メロディックパンクやギターロック、ラウドロックなど、さまざまなジャンルのバンドと競演を重ね、2014年2月に3rdミニアルバム「monolith」、同年9月に1stシングル「YON」をリリース。2015年4月に1stフルアルバム「CAVU」を日本コロムビアから発売し、メジャーデビューを果たした。同年10月にメジャー1stシングル「TOY」を、2016年3月に1st DVD「MOMENT」を発売。4月には初の主催フェス「YON FES 2016」を大成功に収めた。ニューシングル「AIM」を6月に発表し、9月に2ndフルアルバム「eureka」をリリース。2017年2月に初の東京・日本武道館公演を行う。