音楽ナタリー Power Push - 04 Limited Sazabys

覚悟と決意を込めた2ndアルバム

聴いて育ってきたJ-POPの影響を出せた

──「eureka」を聴かせていただいてまず最初に、全体的にメロディがこれまでよりも際立っている印象を受けました。

GEN 今までは海外のパンクからの影響がすごく強かったと思うんですけど、今回は昔よく聴いてたJ-POPの影響が出せたかなという気はします。

──聴いていたJ-POPというのは、具体的にどのあたりでしょうか?

GEN スピッツ、My Little Lover、CHARAとかthe brilliant greenとか。このあたりのJ-POPって全体的にちょっと切なくて、好きなんですよね。その、僕たちが好きで聴いてきたものを僕らなりに解釈した感じがします。ああ、あとKinKi Kidsとか。

──ちょっと歌謡曲っぽさもあって。

GEN そうです。そのあたりの影響が今回は初めてメロディに出せたかな。

──それはどうして出せたんでしょうか?

04 Limited Sazabys

GEN なんでですかねえ……。あ、[Alexandros]とのセッションでスピッツをやったからかなあ。(参照:フォーリミGENと[Alexandros]、スピッツ「楓」をセッション

──改めて聴き直したから?

GEN 聴き直すっていうか、ずっと聴いてるんですけどね。昔はただ聴いてただけだったんですけど、今は「ああ、ここがよければ、ここは減らしてもいいんだな」って音楽的に聴くことができるようになったからですかね。

──バンドのスキルが上がったことで取り入れられるようになったり、自分の中で「これはフォーリミらしくない」と思っていた壁みたいなものが壊れたりしているのかもしれないですね。

GEN かもしれない。昔だったら「こういうふうに歌うとダサくなっちゃうんじゃないか」って思ってたフレーズも、今だったら「ダサくなんないでしょ」っていう自信があります。

わかりやすい歌詞じゃ勝てない

──歌詞は全体的に決意を感じられる歌詞が多いなと。

GEN そうですね。特に今回は、前以上に未来の希望を書こうっていう意志があったから、余計歌詞に出てるのかもしれない。

──「前以上に未来の希望を書こう」と思ったのはどうしてですか?

GEN 「climb」の歌詞にもありますが、「ここまできたなら自分を信じるしかない」っていう気持ちがあって。上京して環境も変わって、いよいよ新しいところで戦うので、もう未来を信じたい、信じるしかないなと。

──なるほど。あと今作では全体的に歌詞が抽象的になったという印象を受けました。初期っぽくなったというか。

GEN そうかもしれないです。僕の曲の歌詞も、周りのバンドの歌詞もどんどんわかりやすくなってる気がしてるんです。KEYTALKもBLUE ENCOUNTもWANIMAも、みんなすごい伝わりやすく「背中を押す」っていうメッセージがあって。僕らは同じところで戦っても勝てないなと思ったんですよね。

──どうして?

GEN 僕はそもそもそんなにポジティブじゃないし、熱い人間でもない。だから僕が背中を押し続けても、限界があるんですよ。やっぱり僕は、メッセージよりも想像力、「景色が見えるかどうか」というところを意識して書いていくことのほうが合ってるなと気付きました。

初めてアレンジャーを起用

──ここからは収録曲について聞かせてください。2曲目「Feel」にはアレンジャーとしてakkinさんのお名前がクレジットされています。フォーリミがアレンジャーを入れるのは初めてですよね。これはどういう経緯ですか?

GEN 今回のアルバム制作はかなり強行スケジュールだったので、マネージャーが「1曲アレンジャーに投げてみるのはどう?」と提案してくれて。この曲はすでにデモがあったので、やってみようかなと。

──実際にアレンジャーさんと曲を作ってみていかがでした?

GEN 最初にakkinさんが送ってきてくれた叩きの時点ですごくよかったです。自分たちでは思い付かないハモとか、今までの僕らにはないギターフレーズとかが入っていたので。

KOUHEI(Dr, Cho)

KOUHEI しかもその叩きを元に僕たちが「もうちょっとこうしたい」ってイメージを返すと、きちんと僕たちの意見を汲んだアレンジに変えてくれて。

GEN 僕のイメージだと、プロデューサーとかアレンジャーって「もっとこうしろ!」って言ってくる人だったんですよ。「全然だめだ、こんなんじゃない!」みたいな。嫌なイメージがすごいあったんですけど、akkinさんは僕らの意見を尊重してくれて、僕らの意見を元にそれをよりよくすることを考えてくれた。いい経験になりましたね。特にギター陣は勉強になったんじゃない?

RYU-TA そうですね。「こういう感じに……」って漠然としたイメージを伝えると「こんなのはどう?」っていろんなフレーズを考えてくれて、一緒に作ってるって感じがしましたね。

HIROKAZ いつも自分で考えると、手癖とかが出てきちゃうんですけど、akkinさんからはその癖をまったく無視したフレーズが出てくるので新鮮でしたね。

ニューアルバム「eureka」 / 2016年9月14日発売 / 日本コロムビア
初回限定盤 [CD+DVD] 3456円 / COZP-1228~9
通常盤 [CD] 2700円 / COCP-39661
CD収録曲
  1. Horizon
  2. Feel
  3. drops
  4. Warp
  5. paradise
  6. climb
  7. Night on
  8. mahoroba
  9. discord
  10. Telepathy
  11. Letter
  12. eureka
初回限定盤付属DVD 収録内容
  • AIM tour 2016 final @TOYOSU PIT
  • AIM tour Diary
  • NEWS 04
  • AIMツアー 慰安旅行?
04 Limited Sazabys(フォーリミテッドサザビーズ)

04 Limited Sazabys

2008年に愛知県名古屋市にて結成された、GEN(B, Vo)、HIROKAZ(G)、RYU-TA(G, Cho)、KOUHEI(Dr, Cho)によるロックバンド。2013年5月に発表した2ndミニアルバム「sonor」より日本語詞を多く取り入れ、楽曲の幅を広げる。メロディックパンクやギターロック、ラウドロックなど、さまざまなジャンルのバンドと競演を重ね、2014年2月に3rdミニアルバム「monolith」、同年9月に1stシングル「YON」をリリース。2015年4月に1stフルアルバム「CAVU」を日本コロムビアから発売し、メジャーデビューを果たした。同年10月にメジャー1stシングル「TOY」を、2016年3月に1st DVD「MOMENT」を発売。4月には初の主催フェス「YON FES 2016」を大成功に収めた。ニューシングル「AIM」を6月に発表し、9月に2ndフルアルバム「eureka」をリリース。2017年2月に初の東京・日本武道館公演を行う。